【ITニュース解説】First Steps: Securing Your New Company's Laptop.

2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「First Steps: Securing Your New Company's Laptop.」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

会社のPCを受け取ったら、まず物理的な確認とOSの完全アップデートを行う。次にファイアウォールとディスク暗号化を有効化し、指定のウイルス対策ソフトを導入。日常業務は標準ユーザー権限で行い、パスワード管理ツールも活用することがセキュリティの基本だ。

ITニュース解説

企業から新しいノートパソコンを支給された際、業務を開始する前に適切なセキュリティ設定を施すことは極めて重要である。この初期設定は、個人のデバイスを守るだけでなく、企業全体のネットワークと情報資産をサイバー攻撃の脅威から保護するための第一歩となる。システムエンジニアを目指す上で、これらの基本的なセキュリティ対策を理解し、実践できる能力は必須のスキルと言える。まず、パソコンの電源を入れる前に、物理的な状態を確認する必要がある。これは、輸送中や保管中に第三者による不正な開封や改造、いわゆるタンパリングが行われていないかを確かめるためだ。箱の封印シールが剥がれていたり、再封印された形跡がないか、またノートパソコン本体のネジや筐体に不審な点がないかを注意深く観察する。同時に、本体に記載されているシリアル番号を控え、会社のIT部門が定める手順に従って資産登録を行う。これにより、支給されたデバイスが正規のものであり、改ざんされていないことを保証する。物理的な確認が完了したら、初期設定とシステムのアップデートを行う。この際、公共のWi-Fiのような不特定多数が利用するネットワークに接続してはならない。通信内容が盗聴されるリスクがあるため、必ず自宅やオフィスの信頼できるプライベートネットワークを使用する。OSの初期設定を終えてデスクトップ画面が表示されたら、何よりも先にOSのアップデートを実行する。WindowsであればWindows Update、macOSであればソフトウェア・アップデートだ。アップデートには、発見されたばかりの脆弱性を修正するための重要なセキュリティパッチが含まれていることが多いため、一度だけでなく、システムが「最新の状態です」と表示されるまで繰り返し確認し、適用する必要がある。次に、基本的な防御機能を有効化する。一つはファイアウォールである。ファイアウォールは、ネットワークからの不正な通信を監視し、ブロックする役割を持つ。WindowsやmacOSには標準でこの機能が搭載されているため、設定画面を開き、必ず有効になっていることを確認する。もう一つは、フルディスク暗号化である。WindowsのBitLockerやmacOSのFileVaultがこれにあたる。この機能を有効にすると、ハードディスクやSSDに保存されている全てのデータが暗号化される。万が一、ノートパソコンが盗難に遭ったり紛失したりした場合でも、第三者がストレージを取り出して直接データを読み出そうとしても、解読は極めて困難になる。OS標準のセキュリティ機能に加え、企業が指定するエンドポイント保護ソフトウェアを導入する。エンドポイントとは、ネットワークに接続されたパソコンやスマートフォンのような末端機器を指す。多くの企業では、OS標準のウイルス対策ソフトよりも高機能で、IT部門が一元的に管理できる専用のソフトウェアを導入している。このソフトウェアをインストールし、最新の定義ファイルに更新した上で、システム全体のスキャンを実行する。これにより、初期段階でマルウェアなどが混入していないクリーンな状態であることを確認し、今後の脅威に対する防御体制を確立する。セキュリティを強化するためには、ユーザーアカウントの権限を適切に管理することが不可欠である。日常的な業務、例えばメールの確認、資料作成、ウェブブラウジングなどを行う際は、管理者権限を持たない「標準ユーザー」アカウントを使用する。ソフトウェアのインストールやシステム設定の変更といった、システム全体に影響を及ぼす操作を行う場合にのみ、「管理者」アカウントを使用するように使い分ける。この「最小権限の原則」を遵守することで、万が一マルウェアに感染したとしても、その被害を限定的な範囲に留め、システムの中核部分が改変されるといった深刻な事態を防ぐことができる。パスワード管理は、情報セキュリティの根幹をなす要素である。ウェブブラウザにパスワードを保存する機能は便利だが、セキュリティリスクがあるため使用を避け、専用のパスワードマネージャーを導入することが強く推奨される。パスワードマネージャーを使えば、利用するサービスごとに複雑で推測されにくいユニークなパスワードを自動生成し、安全に保管することができる。これにより、一つのサービスでパスワードが漏洩しても、他のサービスに被害が及ぶ「パスワードリスト攻撃」のリスクを大幅に低減できる。また、会社が推奨するセキュリティレベルの高いウェブブラウザや、追跡をブロックするプライバシー保護系の拡張機能を設定することも有効な対策となる。OSには、利便性のために位置情報追跡、パーソナライズ広告、利用状況のデータ共有など、様々な機能がデフォルトで有効になっている場合がある。これらのプライバシー設定を一つずつ見直し、業務に不要な機能はすべて無効化する。意図しない情報共有は、プライバシーの侵害だけでなく、セキュリティリスクにもつながり得る。加えて、パソコン購入時にプリインストールされている不要なソフトウェア、いわゆる「ブロートウェア」をアンインストールすることも重要だ。これらのソフトウェアは、システムのパフォーマンスを低下させるだけでなく、それ自体がセキュリティ上の脆弱性となる可能性があるため、業務に必須のもの以外は慎重に削除するべきである。最後に、ノートパソコンを会社の管理システムへ接続する。多くの企業では、MDM(モバイルデバイス管理)というシステムを導入しており、これにデバイスを登録することで、IT部門がセキュリティポリシーを一括適用したり、暗号化の状態を管理したりできるようになる。紛失・盗難時には、MDMを通じて遠隔でデータを消去(リモートワイプ)することも可能だ。また、社外から社内のネットワークに安全にアクセスするためには、VPN(仮想プライベートネットワーク)クライアントなどの指定されたソフトウェアをインストールする必要がある。これらの手順を完了させることで、ノートパソコンは会社のセキュリティポリシーに準拠した状態で、正式に業務利用できる状態となる。以上のステップを確実に実行することで、新しいノートパソコンは安全かつ信頼性の高い業務ツールとして機能する。