【ITニュース解説】【続】GitHub ActionsでAWS Lambdaを簡単かつ爆速でデプロイしよう!【TypeScript編】

2025年09月09日に「Qiita」が公開したITニュース「【続】GitHub ActionsでAWS Lambdaを簡単かつ爆速でデプロイしよう!【TypeScript編】」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

GitHub ActionsでAWS Lambda関数をデプロイするための新しい公式アクションがAWSから提供された。これにより、従来より簡単かつ高速なデプロイが可能になる。記事ではTypeScriptを使った具体的な手順を解説する。(118文字)

ITニュース解説

近年、ITインフラの世界では「サーバーレス」という考え方が主流になりつつあります。これは、開発者がサーバーの管理を意識することなく、プログラムコードの実行に集中できるAWS Lambdaのようなサービスを指します。アプリケーションを開発した後、ユーザーが利用できるようにサービスを公開する工程を「デプロイ」と呼びますが、この作業をいかに効率良く、ミスなく行うかが重要です。特に、コードを少し修正するたびに手動でデプロイ作業を行うのは非常に手間がかかり、人為的なミスの原因にもなります。そこで登場するのが「CI/CD」という仕組みです。CI/CDは、コードの変更を検知して、テストやデプロイといった一連の作業を自動的に実行する考え方やツールのことで、現代のソフトウェア開発に不可欠な要素となっています。その代表的なツールの一つが、ソースコード管理サービスGitHubに組み込まれている「GitHub Actions」です。

今回は、このGitHub Actionsを使って、AWS LambdaにTypeScriptで開発したアプリケーションを簡単かつ高速にデプロイする新しい手法について解説します。従来、GitHub ActionsからLambdaへデプロイするには、開発者がいくつかの手順を細かく設定ファイルに記述する必要がありました。具体的には、まずTypeScriptで書かれたコードを、コンピュータが直接実行できるJavaScriptの形式に変換する「ビルド(またはトランスパイル)」という作業を行います。次に、ビルドして生成されたファイルと、プログラムの動作に必要なライブラリ(依存関係)をすべてまとめて一つのZIPファイルに圧縮します。そして最後に、そのZIPファイルをAWSにアップロードし、Lambda関数を更新するという命令を実行する必要がありました。これらの手順は、それぞれに対応するコマンドを自分で調べて組み合わせる必要があり、初心者にとっては少し複雑な設定でした。

しかし、2023年8月にAWSがGitHub Actions向けの公式ツール(アクション)として「aws-actions/aws-lambda-deploy」を公開したことで、この状況は一変しました。この新しいツールは、これまで開発者が手動で行っていた面倒な作業の多くを自動で引き受けてくれます。具体的には、前述の「ZIPファイルへの圧縮」と「AWSへのアップロードと更新」という二つの工程を、たった一つの命令で完了させることができるのです。

この新しい手法を用いたデプロイの全体的な流れを見てみましょう。まず、開発者は自分のPCでTypeScriptを用いてLambda関数用のプログラムを作成し、GitHubのリポジトリに保存します。次に、GitHub Actionsの設定ファイル(ワークフローファイル)に、デプロイの手順を記述します。この設定ファイルには、「特定のブランチ(例えばmainブランチ)に新しいコードが追加されたら、自動的に以下の処理を実行しなさい」というルールを定義します。

具体的な処理手順は次のようになります。まず、GitHub Actionsの仮想マシン上で、リポジトリから最新のソースコードを取得します。次に、プログラムを動かすための実行環境(この場合はNode.js)を準備し、必要なライブラリをインストールします。そして、TypeScriptのコードをJavaScriptにビルドする命令を実行します。ここまでは従来の方法と大きくは変わりません。重要なのはその次です。あらかじめGitHubの「Secrets」という安全な場所に保存しておいたAWSの認証情報(アクセスキー)を使い、GitHub ActionsがAWSにアクセスできるようにします。そして最後に、新しい公式ツール「aws-actions/aws-lambda-deploy」を呼び出します。このとき、「どのLambda関数にデプロイするか」と「デプロイするファイルがどこにあるか」を指定するだけで、ツールが自動的にファイルの圧縮とAWSへのアップロード、そしてLambda関数の更新までをすべて実行してくれます。

この新しい方法がもたらすメリットは非常に大きいです。第一に、デプロイ設定が大幅に簡素化されるため、作業の手間が省け、設定ミスを減らすことができます。デプロイのための複雑なスクリプトを記述する必要がなくなるため、開発者はアプリケーションの機能開発という本来の作業により集中できるようになります。第二に、デプロイにかかる時間が短縮されます。AWS公式のツールはデプロイプロセスが最適化されているため、従来の自分でスクリプトを組む方法よりも高速に処理が完了することが期待できます。これにより、バグ修正や機能追加をより迅速にユーザーへ提供できるようになります。第三に、信頼性とメンテナンス性が向上します。AWSが公式に提供・維持管理しているツールであるため、将来的なAWSの仕様変更にも追従しやすく、安心して長期間利用し続けることができます。

このように、GitHub Actionsと新しい公式ツールを組み合わせることで、AWS Lambdaへのデプロイ作業は、これまで以上に簡単、高速、そして確実なものとなりました。システムエンジニアを目指す初心者にとって、コードを書くだけでなく、それをいかに効率よく安定してサービスとして動かし続けるかという視点は非常に重要です。CI/CDによるデプロイの自動化は、その中核をなす技術であり、このGitHub ActionsとAWS Lambdaの連携は、その実践的なスキルを学ぶ上で格好の題材と言えるでしょう。この手法を学ぶことで、モダンなサーバーレス開発のワークフローを体験し、より高度な開発スキルを身につける一歩となります。