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【ITニュース解説】Google is shutting down Tables, its Airtable rival

2025年09月12日に「TechCrunch」が公開したITニュース「Google is shutting down Tables, its Airtable rival」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Googleは、Airtableの競合サービス「Tables」を2025年12月16日に終了すると発表した。Tablesはそれ以降サポートされなくなり、利用者はデータをGoogle SheetsまたはAppSheetへエクスポートまたは移行するよう推奨されている。

ITニュース解説

Googleが提供していた「Tables」というサービスが、2025年12月16日をもってサポートを終了することが発表された。このニュースは、IT業界に身を置く私たちにとって、クラウドサービスの利用における重要な側面を改めて考えさせるものだ。特に、これからシステムエンジニアを目指す人にとっては、SaaS(Software as a Service)のライフサイクルや、企業が提供するサービスを取り巻くさまざまな事情を理解する良い機会となるだろう。

まず、Google Tablesがどのようなサービスだったのかを説明する。Tablesは、米国のAirtableという人気サービスに対抗する形でGoogleが開発したプロダクトだった。これらのサービスは、いわゆる「Webデータベース」または「スマートスプレッドシート」と呼ばれるカテゴリーに属する。一般的なスプレッドシートツール、例えばGoogle SheetsやMicrosoft Excelのような表形式のデータ管理ツールと似ているが、その根底にはデータベースの考え方がある。具体的には、単なる表としてデータを管理するだけでなく、複数の表(データベースでいうテーブル)を関連付けて、より複雑なデータ構造を扱える点が特徴だ。例えば、顧客情報と注文履歴、商品マスターといった異なる情報をそれぞれ別の表で管理し、それらをIDなどで紐付けて一元的に参照したり、分析したりできる。

TablesやAirtableのようなツールは、専門的なプログラミング知識がなくても、視覚的な操作でデータベースのようなシステムを構築できる「ノーコード」または「ローコード」ツールとして注目を集めていた。プロジェクト管理、顧客管理、コンテンツ管理、あるいはイベントの参加者管理など、様々なビジネスシーンで活用され、特に中小企業や非IT部門のユーザーが、手軽に業務プロセスを効率化するための「自分たちのアプリ」を作るのに役立っていた。Google Tablesも、このような需要に応えるべく、Googleのエコシステム内で同様の機能を提供しようとしていたと言える。

しかし、GoogleはTablesの終了を決定し、ユーザーにはデータをGoogle SheetsかAppSheetに移行するよう促している。なぜGoogleはTablesの提供を終了するのか。公式な詳細な理由は明かされていないが、一般的に、大手IT企業がサービスを終了する背景にはいくつかの要因が考えられる。一つは、市場での競争が激しい中で、競合サービスに対する優位性を確立できなかった可能性だ。Airtableのような先行サービスが強いブランド力とコミュニティを築いていた中で、後発のTablesが十分なユーザーを獲得できなかったのかもしれない。

また、Google社内には既に類似の機能を持つサービスが存在していたことも、終了の一因として考えられる。Google Sheetsは言わずと知れた表計算ツールであり、データ管理の基本的なニーズは満たせる。そして、AppSheetは、ノーコードでビジネスアプリケーションを開発できるプラットフォームとして、Tablesが目指していたような、データに基づいたカスタムアプリケーション構築の領域をカバーしている。もしかしたら、Tablesはこれら既存サービスとの間で、機能やターゲットユーザーの棲み分けが曖昧になってしまい、事業戦略上、統合や整理が必要と判断されたのかもしれない。リソースを集中させ、より強力なサービスに注力するという企業戦略の一環とも考えられる。

このサービス終了は、現在のユーザーにデータ移行という課題を突きつけることになる。Googleは代替としてGoogle SheetsとAppSheetを推奨しているが、これらはTablesとは異なる性質を持つツールであり、ユーザーのニーズに合わせて選択する必要がある。

Google Sheetsは、表計算ソフトとしての機能が中心であり、データ管理の柔軟性やデータベースとしての高度な機能はTablesに及ばない。単純なリスト管理や数値集計、共同編集といった用途には非常に強力だが、複数のテーブルを関連付けて複雑なデータモデルを構築したり、独自のワークフローを組み込んだりするには、限界がある。Tablesの機能をスプレッドシートに置き換えるには、設計の工夫や、場合によってはGoogle Apps Script(GAS)といったプログラミングによる機能拡張が必要になるだろう。

一方、AppSheetは、ノーコードでビジネスアプリケーションを開発できるプラットフォームだ。Google SheetsやExcel、データベースサービスなどをデータソースとして利用し、それらのデータを基にしたモバイルアプリやWebアプリを構築できる。Tablesが実現していたような、データ入力フォームやビューのカスタマイズ、自動化されたワークフローの構築といった、よりアプリケーションに近い機能を求めていたユーザーにとっては、AppSheetの方が適切な移行先となる可能性が高い。ただし、AppSheetはTablesよりもさらにアプリケーション開発寄りのツールであり、使いこなすにはTablesとは異なる学習コストがかかる場合もある。

このニュースから、システムエンジニアを目指す皆さんが学ぶべきことは多い。 まず、SaaS(Software as a Service)の利用におけるリスクを理解することだ。クラウドサービスは手軽に導入でき、インフラ管理の手間もかからないため非常に便利だが、サービス提供者の都合で突然終了する可能性がある。ベンダーがサービスを停止すれば、その上に構築したシステムは利用できなくなる。今回のGoogle Tablesの例は、その典型的なケースと言える。

次に、データポータビリティとベンダーロックインの重要性だ。データポータビリティとは、自分のデータをあるサービスから別のサービスへ自由に移動できる能力のことだ。ベンダーロックインとは、特定のベンダーの製品やサービスに深く依存してしまい、他のベンダーへの移行が困難になる状態を指す。Google Tablesのユーザーは、サービスの終了に際してデータを別のサービスに移行する必要があるが、もしデータの形式が独自のベンダー依存のものであったり、エクスポート機能が不十分だったりすれば、移行は非常に困難になる。システム設計を行う際や、SaaSを選ぶ際には、将来的にサービスが終了したり、別のサービスに切り替える必要が出た場合に、データを容易に移動できるか(エクスポート形式、APIの提供状況など)を検討する視点が極めて重要になる。

また、ノーコード・ローコードツールの特性についても考えさせられる。これらのツールは開発を高速化し、非開発者でもアプリケーションを作成できるという大きなメリットがある。しかし、その手軽さの裏返しとして、特定のベンダーのプラットフォームに強く依存することになる。サービスの終了は、その依存性のリスクを浮き彫りにする。システムエンジニアとして、これらのツールがどのような場面で有効か、そしてどのような限界やリスクがあるかを理解し、適切に活用する判断力が求められる。

最後に、企業戦略とプロダクトライフサイクルの関係を学ぶことができる。Googleのような巨大企業であっても、市場の変化や内部の戦略転換によって、これまで提供してきたサービスを終了させることは珍しくない。これは、プロダクトが生まれ、成長し、成熟し、そしてやがて終了するという一連のライフサイクルがあることを示している。システム開発に携わる者は、技術選定やプロジェクト計画を立てる際に、単に目の前の機能や性能だけでなく、その技術やサービスが将来的にどうなるか、といった長期的視点も持つ必要がある。

Google Tablesの終了は、単なる一つのサービスの終わりではなく、私たちIT業界に身を置く人々、特にこれからシステム開発の道に進む皆さんにとって、クラウドサービスとの付き合い方、データ管理の重要性、そして移り変わるIT業界の現実を深く理解するための一つの教訓となるだろう。常に変化に対応し、リスクを管理しながら、最適なソリューションを選択する能力が求められる。

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