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【ITニュース解説】事業停止50日、被害額17億円――物流の「関通」社長が語るランサムウェア感染、復旧までのいきさつと教訓

2025年09月17日に「@IT」が公開したITニュース「事業停止50日、被害額17億円――物流の「関通」社長が語るランサムウェア感染、復旧までのいきさつと教訓」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

物流企業「関通」はランサムウェアに感染し、約50日間の事業停止と17億円の被害を受けた。社長はセミナーで、当時の状況から復旧までの経緯と得られた教訓を詳しく紹介した。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、サイバー攻撃は単なるニュース記事の中の出来事ではなく、将来の仕事に直結する重要なテーマだ。今回は、総合物流企業である関通が受けたランサムウェア感染被害の事例を通して、サイバーセキュリティの重要性とその脅威の現実を具体的に見ていく。

ランサムウェアとは、悪意のあるソフトウェアの一種で、コンピュータシステムやデータを暗号化し、利用できなくする。そして、その解除と引き換えに「身代金(ランサム)」を要求するのが特徴だ。今回の関通の事例では、まさにこのランサムウェアが原因で甚大な被害が発生した。

関通は兵庫県尼崎市に本社を置く総合物流企業であり、商品の入出荷、在庫管理、配送手配など、多岐にわたる物流業務を担っている。現代の物流は、これらの業務のほとんどがITシステムによって管理されているため、システムの停止は事業活動そのものの停止を意味する。まさに、企業の心臓が止まるような状況と言えるだろう。

2024年9月、関通はランサムウェア感染の被害に遭った。これは彼らのITシステム全体に大きな打撃を与え、業務に必要なサーバーやパソコン内のデータが暗号化され、アクセス不能に陥ったと推測される。結果として、関通は約50日間という長期間にわたって事業を停止せざるを得なくなった。物流企業にとって、50日間の事業停止は計り知れない打撃だ。商品の入出荷は滞り、顧客への配送は麻痺し、ビジネスパートナーとの信頼関係にも影響を及ぼす。システムの復旧には多大な時間と費用がかかり、その間に失われた事業機会や信用失墜も考慮すると、被害額は17億円にも上ったという。この金額は、システムの復旧費用だけでなく、業務停止による売上減少、顧客への補償、そして失われた信用の回復にかかる費用なども含まれている可能性が高い。

このような大規模な被害が発生した背景には、ランサムウェア攻撃の手口が巧妙化していることと、企業側のセキュリティ対策が不十分であった可能性が考えられる。ランサムウェアは、不審なメールの添付ファイルやリンク、セキュリティの脆弱性を突いた攻撃など、様々な経路で侵入する。一度システム内に侵入されると、ネットワークを通じて瞬く間に他の機器やサーバーへ拡散し、重要なデータを暗号化してしまう。

では、関通はどのようにしてこの危機を乗り越えようとしたのか。ランサムウェアに感染した場合、まず重要なのは感染源を特定し、ネットワークから隔離することだ。これにより、被害の拡大を防ぐことができる。次に、暗号化されたデータの復旧が必要となるが、身代金を支払って復号キーを得る方法は推奨されないことが多い。なぜなら、身代金を支払っても必ずしもデータが復旧する保証はなく、さらなる攻撃を助長する恐れもあるからだ。そのため、多くの企業は事前に取得していたバックアップデータからのシステム復旧を目指す。

関通も、おそらく外部のセキュリティ専門家やITベンダーの協力を得ながら、システムの調査、感染箇所の特定、ネットワークの再構築、そしてバックアップデータからの復旧作業に奔走したことだろう。しかし、50日もの事業停止期間があったことから、バックアップが十分でなかったか、あるいはバックアップデータそのものが感染していたか、または復旧プロセスが極めて複雑であったか、いずれにしても復旧が非常に困難であったことが伺える。

この関通の事例から、システムエンジニアを目指す皆さんは多くの教訓を得られるはずだ。

第一に、予防策の徹底の重要性だ。 最新のセキュリティソフトウェアの導入、OSやアプリケーションの定期的なアップデートは必須だ。また、不審なメールや添付ファイルを開かない、怪しいウェブサイトにはアクセスしないといった基本的な利用者側の意識も極めて重要となる。多要素認証の導入や、強力でユニークなパスワードの利用も、不正アクセスを防ぐ上で効果的だ。システムエンジニアとしては、システム設計段階からセキュリティを考慮した堅牢なシステムを構築する視点が不可欠となる。

第二に、バックアップ戦略の確立の重要性だ。 万が一の事態に備え、定期的に重要なデータのバックアップを取ることはもちろん、そのバックアップが安全な場所(オフラインなど)に保管されているか、そして実際に復旧可能かを定期的にテストする必要がある。今回の関通の事例からも、バックアップの重要性は明白であり、それが事業継続の生命線となることを理解しておくべきだ。

第三に、インシデントレスポンス計画の策定だ。 もしサイバー攻撃を受けた場合、どのように初動対応を行い、誰に連絡し、どのような手順で復旧を進めるかを事前に具体的に定めておく必要がある。緊急時に慌てることなく、冷静かつ迅速に対応できる体制を構築しておくことが、被害を最小限に抑える鍵となる。これには、技術的な専門知識だけでなく、危機管理の視点も求められる。

最後に、従業員全体のセキュリティ意識の向上が不可欠だ。 どんなに優れたシステムを構築しても、従業員一人ひとりのセキュリティ意識が低ければ、そこから脆弱性が生まれる可能性がある。システムエンジニアとして、技術的な対策だけでなく、利用者教育や啓発活動にも積極的に関わっていく必要があるだろう。

関通の事例は、サイバー攻撃が企業の存続を脅かす現実的なリスクであることを示している。システムエンジニアを目指す皆さんには、単にシステムを開発・運用するだけでなく、そのシステムをどのように守り、ビジネスを継続させるかという視点が常に求められる。今回の教訓を深く心に刻み、将来のキャリアにおいてサイバーセキュリティの専門知識と意識を常に高めていくことが重要だ。

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