【ITニュース解説】kyverno / kyverno
2025年09月13日に「GitHub Trending」が公開したITニュース「kyverno / kyverno」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Kyvernoは、クラウド上で動作するシステム(Cloud Native)の設定やセキュリティに関する「ルール」(ポリシー)を自動で管理するツールだ。これにより、システムが安全かつ一貫した状態で運用されることを保証する。
ITニュース解説
Kyvernoは、現代のITシステム開発において非常に重要な「Cloud Native」という考え方に基づいた「ポリシー管理」を行うためのツールである。システムエンジニアを目指す皆さんが今後関わるであろうクラウド環境、特にKubernetes(クーバネティス)と呼ばれるコンテナ管理プラットフォームにおいて、システムの一貫性、セキュリティ、そしてコンプライアンスを自動的に維持するために開発された。
まず、Kyvernoが扱う「Cloud Native」という概念について簡単に説明する。Cloud Nativeとは、クラウドのメリットを最大限に活用するために、アプリケーションの設計、開発、デプロイ、運用方法を最適化するアプローチを指す。具体的には、アプリケーションを小さな部品(マイクロサービス)に分け、それぞれをコンテナという軽量な仮想化技術でパッケージ化し、Kubernetesのようなオーケストレーションツールで管理するのが一般的だ。この方法により、システムは柔軟にスケールし、障害にも強く、開発サイクルも高速になる。
しかし、このような複雑で動的なCloud Native環境では、管理すべき設定項目やセキュリティルールが膨大になる。例えば、どのコンテナイメージを使うべきか、どのポートを開放すべきか、リソースの使用量に上限を設けるべきか、といった多岐にわたるルールが存在する。これらのルールを「ポリシー」と呼び、システム全体でこれらを確実に適用し、一貫性を保つことが「ポリシー管理」である。手動でこれらのポリシーを管理しようとすると、ミスが発生しやすくなり、システムの脆弱性につながるだけでなく、運用コストも増大してしまう。
そこでKyvernoの出番となる。Kyvernoは、Kubernetes環境に特化したポリシーエンジンだ。Kubernetesのリソース(アプリケーションの設定情報など)が作成されたり、更新されたりする際に、そのリソースが定義されたポリシーに適合しているかを自動的にチェックする。これはKubernetesの「Admission Controller(アドミッションコントローラー)」という仕組みと連携して行われる。Admission Controllerは、Kubernetesクラスターにリソースが永続化される前に、リクエストを傍受し、必要に応じて検証や変更を加えることができる機能である。
Kyvernoの大きな特徴は、ポリシーを「YAML(ヤムル)」という形式で記述できる点にある。YAMLはKubernetesのほとんどの設定ファイルで使われている、人間が読みやすく書きやすいデータ記述形式だ。そのため、Kubernetesの操作に慣れているシステムエンジニアであれば、新しい複雑なプログラミング言語を学ぶことなく、直感的にポリシーを作成、管理できる。
Kyvernoで設定できるポリシーには、大きく分けていくつかの種類がある。 一つ目は「バリデーション(Validation)」ポリシーだ。これは、新しいリソースが作成されたり、既存のリソースが更新されたりする際に、それが事前に定義されたルールに合致しているかを検証する。例えば、「セキュリティの観点から、特定のレジストリにあるコンテナイメージ以外は使用を禁止する」「すべてのPodには、リソースの使用量上限(リミット)を必ず設定する」といったルールを強制できる。もしルールに違反するリソースがデプロイされようとすると、Kyvernoはそれを拒否し、システムの安全性と一貫性を保つ。
二つ目は「ミューテーション(Mutation)」ポリシーだ。これは、リソースがKubernetesクラスターに取り込まれる際に、その内容を自動的に変更する。例えば、「すべてのNamespace(名前空間)に特定のラベルを自動的に付与する」「デフォルトのネットワークポリシーを自動的に適用する」といったことができる。これにより、開発者が意識せずとも、必要な設定が自動的に適用され、設定漏れを防ぐことができる。
三つ目は「ジェネレーション(Generation)」ポリシーだ。これは、特定のリソースが作成された際に、それに関連する別のリソースを自動的に生成する。例えば、「新しいNamespaceが作られたら、そのNamespace用のネットワークポリシーやクォータ(リソース割り当て制限)を自動的に作成する」といったことが可能になる。これにより、管理者は繰り返し行う設定作業から解放され、運用の自動化をさらに進めることができる。
Kyvernoは、単にポリシーを適用するだけでなく、既存のKubernetesクラスターに対して監査モードでポリシーを適用し、どのリソースがどのポリシーに違反しているかをレポートする機能も持っている。これにより、現在のシステムの状態を把握し、潜在的な問題を特定して修正することが容易になる。
なぜKyvernoのようなツールが重要なのか。現代のシステム開発では、多数の開発者やチームが協力して、非常に多くのマイクロサービスを開発し、デプロイする。この状況で、各々が自由な設定を行うと、セキュリティホールが生まれたり、パフォーマンスが悪化したり、あるいは法規制への準拠が難しくなったりする。Kyvernoは、これらの問題を自動的かつ一貫した方法で解決し、システム全体の信頼性とセキュリティを向上させる。結果として、運用チームの負担を軽減し、開発者は安心して開発に集中できる環境を提供する。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、Cloud Nativeの技術は避けて通れない道となるだろう。その中でも、Kubernetesの管理と運用の効率化、そしてセキュリティの確保は非常に重要なテーマである。Kyvernoは、これらの課題を解決するための強力なツールの一つとして、今後もその重要性を増していくと考えられる。Kubernetesの深い理解とともに、Kyvernoのようなポリシー管理ツールを学ぶことは、より安全で効率的なシステムを構築する能力を身につける上で不可欠なステップとなるだろう。