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【ITニュース解説】メインフレームのモダナイゼーションは2〜3倍のROIを創出--キンドリルが調査結果を発表

2025年09月18日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「メインフレームのモダナイゼーションは2〜3倍のROIを創出--キンドリルが調査結果を発表」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

キンドリル調査で、古い大型システム「メインフレーム」の現代化が2~3倍の投資効果を生むと分かった。企業はスキル不足やルール対応に悩みつつも、AIなどを使い、新しいIT環境でメインフレームの活用を進めている。

ITニュース解説

ニュース記事は、キンドリル社が実施した「メインフレームモダナイゼーション状況調査レポート」の結果について報告している。この調査は、500人のビジネスおよびITのリーダーを対象に行われたもので、企業の基幹システムを支えるメインフレームが、現代のビジネス環境でどのように変化し、活用されているかを示している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、メインフレームという言葉はあまり馴染みがないかもしれないが、これは企業の重要な業務を動かす、非常に信頼性が高く、大量のデータを高速で処理できる巨大なコンピューターシステムのことである。銀行のATM取引、航空会社の座席予約、証券会社の取引処理など、社会のインフラとも言えるような重要なシステムで今もなお現役で活躍している場合が多い。

このニュースの最も重要なポイントは、メインフレームの「モダナイゼーション」が、投資に対して2〜3倍という高い「ROI」(Return on Investment、投資収益率)を生み出しているという点である。ROIとは、投資した金額に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標で、2〜3倍というのは、例えば100万円投資したら200万円から300万円のリターンがあった、という意味になる。これは、メインフレームのシステムを現代の技術に合わせて新しくすることで、企業が大きなメリットを得られることを明確に示している。

では、なぜメインフレームのモダナイゼーションが必要なのだろうか。メインフレームは非常に堅牢で高性能だが、数十年前から稼働しているシステムも少なくない。技術の進化は目覚ましく、クラウドコンピューティングやAIといった新しい技術が登場している。古いシステムは、新しい技術との連携が難しかったり、運用コストがかさんだり、システムを扱える技術者が減少し続けたりするといった課題を抱えている。モダナイゼーションとは、単にシステムを買い替えることではなく、既存のメインフレーム資産を活かしつつ、最新の技術やアプローチを取り入れて、システムを現代のビジネスニーズに適合させる一連の取り組みを指す。例えば、メインフレームで動いているプログラムをより効率的な新しい言語に書き換えたり、メインフレームのデータをクラウド上で利用できるように連携させたり、ユーザーインターフェースを現代風に改善したりするなど、その手法は多岐にわたる。

しかし、モダナイゼーションは決して簡単な道のりではない。調査結果からは、多くの企業が「スキル不足」と「規制対応」という二つの大きな課題に直面していることが明らかになった。スキル不足とは、メインフレームの専門知識を持つ技術者が退職などで減少し、新しい技術を扱うエンジニアがメインフレームの知識を持たないため、適切な人材の確保が難しい状況を指す。また、金融機関や医療機関など、メインフレームを利用する多くの企業は、個人情報保護やデータセキュリティに関する厳しい「規制」を遵守する必要があり、モダナイゼーションの過程でこれらの規制を確実にクリアすることが求められるため、非常に慎重な対応が必要となる。

これらの課題にもかかわらず、企業はメインフレームのモダナイゼーションを積極的に進めている。その背景には、「柔軟なモダナイゼーション戦略」の採用がある。これは、一気に全てのシステムを刷新するのではなく、ビジネスの優先順位やリスクを考慮しながら、段階的に、あるいは部分的にモダナイゼーションを進めるアプローチである。例えば、メインフレームの特定の部分だけをマイクロサービス化してクラウドに移行したり、メインフレームの既存機能と新しいクラウドネイティブなアプリケーションを連携させたりすることで、リスクを最小限に抑えつつ、効率的にシステムを刷新していく。

さらに、企業はモダナイゼーションにおいて「AIを大規模に活用」していることもわかった。AIは、メインフレームの膨大なデータの分析を効率化したり、システムの異常を早期に検知して障害を未然に防いだり、あるいはメインフレーム上で動くアプリケーションの改修作業を支援したりするなど、様々な場面で活用されている。これにより、運用コストの削減やシステム全体のパフォーマンス向上、セキュリティ強化などが期待できる。

そして、最終的には「ハイブリッドIT環境におけるメインフレームの利用を強化」している点が注目される。ハイブリッドIT環境とは、オンプレミス(自社内で管理するサーバーやシステム)とクラウド(インターネット経由で利用するサービス)を組み合わせて利用するITインフラの形態のことである。メインフレームはオンプレミスの一部として位置づけられ、クラウド環境や他のオンプレミスシステムと密接に連携しながら、企業のITインフラ全体の中で重要な役割を果たし続けている。メインフレームの持つ高い信頼性やセキュリティはそのままに、クラウドの柔軟性やスケーラビリティを組み合わせることで、企業はより強力で適応性の高いシステムを構築できるのである。

この調査結果は、メインフレームが決して「過去の遺物」ではなく、モダナイゼーションによって現代のデジタル変革の中心に位置づけられ、今後も企業の成長を支え続ける重要な存在であることを示している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような基幹システムのモダナイゼーションは、今後も大きなビジネスチャンスと挑戦の場となるだろう。古い技術と新しい技術を融合させ、企業の未来を創造する、それが現代のシステムエンジニアに求められる役割の一つである。

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