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【ITニュース解説】MetaとCrowdStrike、AIセキュリティツールの評価ベンチマークを発表

2025年09月16日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「MetaとCrowdStrike、AIセキュリティツールの評価ベンチマークを発表」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

MetaとCrowdStrikeは、AIセキュリティモデルの性能を評価するオープンソースベンチマーク「CyberSOCEval」を発表した。これは、企業などのセキュリティ部門(SOC)でAIの有効性をテストし、セキュリティ対策を向上させる。

ITニュース解説

最近、テクノロジーの世界で大きな話題となっている発表があった。インターネットサービス大手であるMetaと、サイバーセキュリティの専門企業であるCrowdStrikeが手を組み、「CyberSOCEval(サイバーエスオーシーエバル)」という新しいツールセットを公開したのだ。これは、人工知能、つまりAIがサイバーセキュリティの分野でどれだけ役立つか、その能力を具体的に評価するための基準となる。

CyberSOCEvalは、特に企業のセキュリティオペレーションセンター、略してSOC(ソック)と呼ばれる部署で使われるAIモデルの性能を測るためのオープンソースのベンチマークスイートだ。ベンチマークとは、性能を比較したり評価したりするための基準やテストのことで、このスイートはAIがセキュリティの脅威をどれだけ正確に、そして効率的に検知し、分析し、対応できるかを客観的に評価するための様々なテストシナリオやデータを含んでいる。

なぜ今、このツールが必要なのか。現在、サイバー攻撃はますます巧妙化し、その量も膨大になっている。人間の力だけでは、これらすべての脅威に対応しきれなくなってきているのが現状だ。そこで注目されているのがAIの活用である。AIは大量のデータの中から異常なパターンを素早く見つけ出し、人間のアナリストでは気づきにくい脅威を検知する能力を持つ。しかし、AIモデルが本当にセキュリティ強化に貢献できるのか、その信頼性や実用性をどう評価すれば良いのかという課題があった。これまでは、それぞれの企業が独自の方法でAIツールの効果を測定していたため、異なるAIモデル間での比較が難しく、業界全体で統一された評価基準が求められていた。CyberSOCEvalは、まさにこのギャップを埋めるために開発されたもので、AIモデルの性能を公平かつ客観的に比較・評価することを可能にする。

ここでSOCについて少し説明する。SOCは、企業や組織のネットワーク、システム、データなどをサイバー攻撃から守るための専門部署だ。24時間体制でシステムの監視を行い、不審な活動やセキュリティインシデント(事件・事故)を検知した場合、その分析を行い、適切な対応策を講じるのが主な役割である。例えば、従業員が誤って不審なメールを開いてしまった場合や、外部からシステムへの不正アクセスが試みられた場合など、SOCはこれらの脅威をいち早く察知し、被害を最小限に抑えるための行動をとる。AIは、このSOCの業務を支援し、アナリストの負担を軽減し、より迅速で正確な判断を可能にする大きな可能性を秘めている。しかし、AIが誤った判断を下したり、重要な脅威を見逃したりするリスクもゼロではないため、その性能を厳しく評価することが不可欠となる。

CyberSOCEvalは、AIモデルが具体的にどのようなタスクをどれだけ上手にこなせるかを評価する。例えば、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の検知能力、フィッシングメール(詐欺メール)の識別能力、異常なネットワークトラフィック(通信量)の検出能力などである。さらに、AIが特定された脅威に対して適切な優先順位をつけられるか、あるいは本当に危険なものを危険と判断し(正検知)、そうでないものを危険と誤って判断しないか(誤検知を減らす)といったことも重要な評価ポイントとなる。実際のSOCの運用環境に近いシナリオでAIをテストすることで、その実用的な性能を正確に把握することを目指す。これは、AIが現実世界の複雑なサイバー脅威にどれだけ効果的に対応できるかを測る上で非常に重要だ。

CyberSOCEvalが「オープンソース」として公開された点も非常に重要だ。オープンソースとは、そのプログラムの設計図であるソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布できる形式を指す。この形式をとることで、世界中のセキュリティ専門家やAI開発者がCyberSOCEvalの改善に協力したり、新たなテストシナリオを追加したりすることが可能になる。これにより、特定の企業に依存しない、公平で透明性の高い評価基準が確立されやすくなる。また、多くの人が利用することで、業界全体でAIセキュリティツールの評価方法が標準化され、結果としてより安全で信頼性の高いAIツールが開発されることにつながると期待されている。

今回の発表には、AI技術の最先端を走るMetaと、サイバーセキュリティ分野で豊富な実績を持つCrowdStrikeという、異なる分野のトップ企業が関わっている。Metaは、大規模なAIモデルの開発と運用において深い知見を持っており、AIがどのように機能し、どのように最適化されるべきかについて専門的な知識を提供する。一方、CrowdStrikeは、実際のサイバー脅威の状況や、SOCが直面する課題、必要なセキュリティ対策について実践的な情報を提供する。この二社の協力によって、AIの専門知識とサイバーセキュリティの現場の知見が融合し、理論と実践の両面から非常に効果的なベンチマークスイートが生まれたと言える。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このニュースは将来のキャリアを考える上で非常に示唆に富んでいる。今後、ITシステムの設計、開発、運用、そしてセキュリティ対策のあらゆる場面でAIが活用されるようになるのは確実だ。AIが生成したコードの品質を評価したり、AIを活用したセキュリティシステムを導入・管理したりするスキルは、将来のシステムエンジニアにとって不可欠なものとなるだろう。このCyberSOCEvalのような標準化された評価基準の登場は、AI技術をシステムに組み込む際に、その性能や安全性を客観的に判断するための重要な道具となる。サイバーセキュリティの知識とAIの評価スキルを身につけることは、将来性のあるシステムエンジニアになるための大きな強みとなるだろう。オープンソースのプロジェクトに触れることで、コミュニティで協力して技術を進化させる方法も学ぶことができる。

MetaとCrowdStrikeによるCyberSOCEvalの発表は、AIがサイバーセキュリティ分野でどれだけ信頼できるかを評価するための大きな一歩と言える。これにより、AIベースのセキュリティツールの開発が加速され、その品質が向上し、結果として私たちを取り巻くデジタル環境がより安全になることが期待される。AIとセキュリティの融合は、IT業界の未来を形作る重要なトレンドの一つであり、システムエンジニアを目指す人々は、この動向に注目し、関連する知識やスキルを積極的に習得していくことが求められる。

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