【ITニュース解説】My DevOps Journey: Part 1 — Learning Linux Through Real-World Tasks
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「My DevOps Journey: Part 1 — Learning Linux Through Real-World Tasks」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
DevOpsの土台となるLinuxを、実務に近いファイル操作(CRUD)やコマンド学習を通して学ぶ重要性を解説。筆者が直面したサーバー内での現在地確認、ファイル編集・削除といった初期の課題と解決策を具体的に示し、初心者にもLinuxがDevOpsの要だと伝える。
ITニュース解説
システムエンジニアとしてキャリアをスタートするにあたり、DevOpsという分野に興味を持つ人も多いだろう。DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた考え方で、ソフトウェアをより速く、より高品質に提供するためのアプローチだ。このDevOpsの世界に足を踏み入れる際、最初に何から学ぶべきかという選択肢に直面する。Docker、Jenkins、Kubernetesといった最新ツールから入るか、それとも基礎から固めるか。多くの経験者が推奨するのは、後者の「基礎からの学習」であり、その中でも特に重要となるのがLinuxの知識だ。
現代のIT環境において、LinuxはDevOpsの土台そのものである。例えば、クラウドサービス大手であるAWSのEC2インスタンスやAzureの仮想マシン、あるいはKubernetesといったコンテナオーケストレーションのノードのほとんどはLinux上で動作している。また、Dockerコンテナのベースイメージも、UbuntuやAlpine、DebianといったLinuxディストリビューションが使われることが一般的だ。さらに、システムの安定稼働に欠かせないログ管理、外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール、ユーザーやプログラムのアクセス権限設定といったセキュリティに関する機能も、Linux上で細かく設定され、管理される。そして、DevOpsの核ともいえるAnsibleやTerraformのような自動化ツールも、Linux環境で最も効率的に、そして安定して動作するように設計されている。これらを鑑みれば、Linuxの知識はDevOpsを目指す上で選択肢ではなく、必須のバックボーンであると断言できる。
著者は自身のDevOps学習の旅をLinuxから始め、実際にいくつかの初期の困難に直面しながらも、それを乗り越えてきた。その経験は、システムエンジニアを目指す初心者にとって非常に有益な教訓となる。
まず直面したのは、「サーバーのジャングルで迷子になる」という感覚だった。Linuxターミナルに初めてログインした時、どこにいるのか、何をすれば良いのかが全く分からず、コマンドを入力してもエラーばかり出てしまう状態だったという。この問題を解決するために、著者はいくつかの基本的なコマンドを習得した。現在いるディレクトリのパスを表示するpwdコマンド、現在のディレクトリにあるファイルやサブディレクトリの一覧を表示するlsコマンド、そして目的のディレクトリに移動するためのcdコマンドだ。この経験から得られた教訓は、実際のITチームでは、サーバーにログインしたらまず現在地を確認し、状況を把握してから変更を加えるのが基本であるということだ。闇雲にコマンドを打つのではなく、まずは「自分がどこにいるのか」を知ることが大切なのである。
次に直面した課題は、「ファイルの作成と編集」だった。DevOpsの現場では、Nginxの設定ファイル(/etc/nginx/nginx.conf)やホスト名とIPアドレスのマッピングを設定するファイル(/etc/hosts)など、様々な設定ファイルを頻繁に編集する必要がある。最初はtouchコマンドで空のファイルを作成できたものの、その中身をどう編集すれば良いか分からなかったという。これを解決するため、著者は二つの方法を学んだ。一つは、echo "内容" > ファイル名のように、echoコマンドとリダイレクト演算子>を使って、指定した内容でファイルを新規作成または上書きする方法。もう一つは、nano ファイル名のように、nanoというテキストエディタを使ってインタラクティブにファイルを編集する方法だ。これは、実際のシステム運用における設定ファイル管理に直結する重要なスキルだ。
また、著者は「ファイルの誤上書き」という経験もした。>演算子を使ってファイルを上書きするつもりが、誤って大切なファイルの内容を消してしまったというのだ。この時、>(上書き)と>>(追記)という二つのリダイレクト演算子の違いを学んだ。>はファイルの内容をすべて消去して新しい内容を書き込むのに対し、>>は既存のファイル内容の末尾に新しい内容を追加する。この小さな違いを理解していなかったがために発生したミスは、実際のIT現場で設定ファイルのたった一つの変更がサービス全体を停止させるような、大きな影響をもたらす可能性を示している。コマンド一つ、演算子一つが持つ「力」を理解することの重要性を痛感させる出来事だった。
そして、「削除の力とリスク」も大きな学びとなった。システム運用では、古いログファイルや一時ファイルを定期的に削除してディスクスペースを確保することは日常的な作業だ。しかし、もし誤って重要なファイルを削除してしまえば、システムに深刻なダメージを与えかねない。著者はこの危険性を身をもって体験した。この教訓から、rmコマンド(ファイルを削除するコマンド)を使う前に、必ず練習用のサンドボックスフォルダを作成し、そこで安全に練習する習慣を身につけた。実際の運用環境で重要なファイルを操作する前に、必ず安全な環境で試すという基本中の基本が、いかに大切であるかを示している。
これらの経験を通じて、著者はITエンジニアがファイルに対して行う操作のほとんどが、作成(Create)、読み取り(Read)、更新(Update)、削除(Delete)といういわゆる「CRUD」操作に集約されることを理解した。DevOpsエンジニアは日々、設定ファイルを作成し、ログを読み取り、設定を更新し、そして不要なファイルをクリーンアップするといったCRUD操作を実際に行っている。つまり、ターミナルで行う一つ一つのコマンドが、DevOpsエンジニアの日常業務と密接に結びついているのだ。
この学習の旅の第一部から得られた主な学びは、LinuxがDevOpsの揺るぎない基盤であるということ、そしてターミナル操作は一見複雑に見えるが、その一つ一つのコマンドが実際のITタスクに繋がっているということだ。さらに、CRUDという概念は単なる理論ではなく、DevOpsエンジニアの日常業務そのものであることも理解できた。そして、ファイルを誤って上書きしたり削除したりといったミスは、安全な環境で実践している限り、最高の教師となる。
この次には、Linuxのファイルシステム階層について深く掘り下げていく予定だという。ログファイルがどこに保存され、設定ファイルがどこにあり、ユーザーファイルがどこにあるのかといった、ファイルがシステム内でどのように配置されているかを知ることは、各コマンドの使い方を知ることと同じくらい重要だからである。基礎をしっかりと固めることが、その後のDevOps学習をスムーズに進めるための鍵となるだろう。