【ITニュース解説】Open source chord & beat detection application
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Open source chord & beat detection application」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ディープラーニングとLLMを活用したオープンソースの楽曲分析ツール「ChordMini」が公開。楽曲を分析し、コード進行、ビート、歌詞を自動で検出・可視化する。ギターのコードダイアグラム表示や、LLMによる楽曲構造の分析も可能だ。
ITニュース解説
音楽と最先端のAI技術を融合させたオープンソースアプリケーション「ChordMini」が公開された。このツールは、楽曲を分析するための多様な機能を備えており、特にディープラーニングと大規模言語モデル(LLM)という二つのAI技術を組み合わせている点が特徴である。システム開発において、複数の技術を統合して新しい価値を創出する好例と言える。
ChordMiniの中核機能の一つが、ディープラーニングモデルを活用したコード認識である。ディープラーニングとは、人間の脳の神経回路網を模倣したアルゴリズムであり、大量のデータからパターンや特徴を自動で学習する能力を持つ。このアプリケーションでは、膨大な数の楽曲データをAIに学習させることで、入力された音楽の音響信号を解析し、そこに含まれる和音、すなわちコードを瞬時に識別する。その精度は高く、12種類のキー(ハ長調やイ短調など)と25種類のコードタイプを組み合わせた301種類もの複雑なコードラベルを判別可能である。さらに、認識したコードをギターでどのように押さえればよいかを示すダイアグラム(図)も表示する機能を持つ。これにより、ミュージシャンや音楽学習者は、耳で聴いただけでは判別が難しいコード進行を正確に把握し、演奏に役立てることができる。
また、楽曲のビート、つまり拍を自動で検出するビート追跡機能も搭載されている。音楽の根幹をなすリズムを正確に捉え、どのタイミングでコードが切り替わるのかを視覚的に表示する。この機能は、内蔵されたメトロノームと同期しており、ユーザーは曲のリズムに合わせてコード進行を確認できるため、楽器の練習や楽曲の構造理解に非常に有効である。歌詞の表示機能も統合されており、歌詞とタイムスタンプが記録された標準的なフォーマットであるLRCファイルに対応しているほか、「music.ai」という外部サービスのAPIを利用して、楽曲の音声から歌詞を自動で文字起こしすることも可能だ。ここで言うAPI(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやサービスが互いに連携するための窓口となる規約のことであり、外部の高度な機能を自身のアプリケーションに組み込む際に利用される、現代的なシステム開発に不可欠な技術である。
ChordMiniが特に革新的である点は、大規模言語モデル(LLM)を楽曲のより抽象的な分析に応用していることだ。LLMは、ChatGPTなどで知られる通り、膨大なテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成したり、文脈を理解したりする能力に長けたAIである。ChordMiniではこの能力を音楽分析に転用している。例えば、ディープラーニングモデルが検出したコード進行に対して、音楽理論的な文脈を考慮した補正を行う。曲全体の調(キー)の流れや転調をLLMが理解し、「この部分のコードは、単純な音の構成だけでなく、前後の流れから判断すると、こちらのコードとして解釈するのが音楽的に自然である」といった、より高度な判断を下すことができる。さらに、曲全体の構造を分析し、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビといった構成要素を自動で判別して色分け表示する機能もLLMによって実現されている。これは、LLMが単語や文の繋がりから文章の構造を理解する能力を、音の繋がりから楽曲の構造を理解するタスクに応用したものだ。
このChordMiniはオープンソースソフトウェアとして公開されている。オープンソースとは、プログラムの設計図であるソースコードが一般に公開され、誰でも自由に利用、修正、再配布ができる開発モデルのことである。これにより、世界中の開発者がChordMiniの機能改善やバグ修正に貢献することが可能になる。システムエンジニアを目指す者にとって、実際のアプリケーションのコードを読み解き、開発に参加することは、実践的なスキルを磨く上で非常に貴重な機会となるだろう。このプロジェクトは、音響信号処理、ディープラーニング、LLM、API連携といった多様な技術要素が詰まっており、現代的なアプリケーション開発の縮図とも言える。音楽という身近なテーマを通じて、最先端のIT技術がどのように活用されているかを具体的に学べる優れた教材でもある。