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【ITニュース解説】PyPI Blog: Token Exfiltration Campaign via GitHub Actions Workflows

2025年09月17日に「Hacker News」が公開したITニュース「PyPI Blog: Token Exfiltration Campaign via GitHub Actions Workflows」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

PyPIは、GitHub Actionsのワークフローを悪用したトークン漏洩キャンペーンについて警告した。これは、ソフトウェア開発の自動化に使われるGitHub Actionsの設定ミスや脆弱性を突き、アカウント認証に必要なトークンを不正に外部へ流出させる攻撃だ。利用者は自身のプロジェクトのセキュリティ設定を確認し、対策を講じるべきだ。

ITニュース解説

今回のニュースは、Pythonのパッケージ管理システムであるPyPI(パイピーアイ)において、GitHub Actions(ギットハブアクションズ)のワークフローが悪用され、PyPIにパッケージを公開するための認証情報、すなわち「トークン」が窃取される可能性があった攻撃キャンペーンについて報じている。これは、ソフトウェア開発の現場で自動化が進む現代において、開発者が直面する新たなセキュリティリスクを浮き彫りにする重要な出来事である。

まず、PyPIについて説明する。PyPIは「Python Package Index」の略で、Pythonプログラミング言語で開発されたさまざまなソフトウェアパッケージ(ライブラリやフレームワークなど)が公開され、世界中の開発者が利用する場所だ。Pythonを使って開発を行う際、多くの機能は既存のパッケージを組み合わせて実現されるため、PyPIはPythonエコシステムの中核をなす、非常に重要なインフラといえる。まるでスマートフォンのアプリストアのように、必要な機能を持つパッケージをここからダウンロードして利用している。そのため、PyPIに登録されているパッケージの信頼性は、多くのPythonプロジェクトのセキュリティに直結する。

次に、GitHub Actionsについて理解しよう。GitHub Actionsは、ソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHub上で、コードのテストやビルド、デプロイといった一連の作業を自動化するための機能である。開発者は、GitHubリポジトリに特定のファイルを配置することで、「ワークフロー」と呼ばれる自動処理の指示書を作成する。例えば、新しいコードがリポジトリにプッシュされるたびに自動でテストを実行したり、テストに合格したら自動で新しいバージョンのソフトウェアをPyPIに公開したりといったことが可能になる。これにより、開発者は手作業によるミスを減らし、開発効率を大幅に向上させられる。

今回の攻撃キャンペーンは、このGitHub Actionsのワークフローが悪用され、PyPIにパッケージを公開するためのAPIトークンという認証情報が狙われたものだ。APIトークンとは、PyPIに対して「このパッケージを公開する許可を持つのは私だ」と証明するための秘密の鍵のようなもので、これがなければ誰も勝手にパッケージを公開したり、既存のパッケージを更新したりはできない。したがって、このAPIトークンが第三者に窃取されてしまうと、攻撃者は開発者になりすまして、悪意のあるコードを含むパッケージをPyPIに公開したり、既存の正規パッケージを改ざんしたりする危険性がある。これは「サプライチェーン攻撃」の一種であり、一つのパッケージが改ざんされることで、そのパッケージを利用しているすべてのプロジェクトに悪影響が及ぶ可能性がある、非常に深刻な事態となる。

具体的な攻撃の手口としては、攻撃者がGitHub Actionsのワークフロー設定に存在する脆弱性や設定ミスを悪用し、本来は秘密にされるべきPyPIのAPIトークンを外部のサーバーに送信したり、ログに出力させたりすることで窃取を試みた。例えば、オープンソースプロジェクトでは、誰でもプルリクエスト(コード変更の提案)を送ることができる場合がある。もし、そのプルリクエストが悪意のあるもので、既存のワークフローにトークンを窃取するようなステップを巧妙に組み込もうとしたり、あるいは依存しているサードパーティ製のGitHub Actions自体が悪意をもって改ざんされたりしていた場合、開発者が意図しない形でトークンが漏洩する可能性がある。特に、ワークフロー内でAPIトークンが環境変数として設定されている場合、その変数が不注意にもログに出力されるような記述があれば、攻撃者に読み取られる危険性があるのだ。

このような事態を防ぐため、PyPI運営チームは、開発者に対してより安全な認証方法への移行を強く推奨している。その一つが「Trusted Publishers」と呼ばれる機能である。この機能を利用すると、GitHub Actionsのワークフロー内でPyPIのAPIトークンを直接扱うことなく、GitHubとPyPIが連携して安全に認証を行うことができる。これにより、ワークフローの環境変数としてトークンを露出させる必要がなくなり、トークンが窃取されるリスクを大幅に低減できる。これは、APIトークンを金庫の鍵だとするなら、直接鍵を持ち歩くのではなく、必要なときにだけ金庫と身元が確認されたら自動的に扉が開く仕組みを導入するようなものだ。

開発者は、自身のGitHub Actionsワークフローを定期的に見直し、外部からのプルリクエストをマージする際には、その内容に不審な点がないかを慎重にレビューする必要がある。また、使用しているサードパーティ製のGitHub Actionsやライブラリのセキュリティ情報にも常に注意を払い、最小限の権限で動作させる「最小権限の原則」を徹底することも重要だ。たとえば、パッケージの公開にしか使わないトークンに、リポジトリの全ファイルを削除するような広範な権限を与えないといった配慮が求められる。

今回の攻撃キャンペーンは、開発の自動化が進むにつれて、その自動化ツール自体が新たな攻撃経路となりうることを教えてくれる。システムエンジニアを目指す上で、効率的な開発手法を学ぶことはもちろん重要だが、それに伴うセキュリティリスクを常に意識し、最新の脅威と対策について学び続ける姿勢が不可欠となる。今回の件は、自分たちの手で作り上げるソフトウェアの信頼性を守るために、開発者一人ひとりがセキュリティに対する意識を高く持ち続けることの重要性を改めて示している。

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