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【ITニュース解説】マイクロサービス時代に欠かせない「信頼できるネットワーク」の条件とは?

2025年09月08日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「マイクロサービス時代に欠かせない「信頼できるネットワーク」の条件とは?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

マイクロサービス環境では、ネットワークの信頼性と性能の両立が不可欠だ。システムが安定して動くには、稼働状況の監視やIPアドレスの適切な割り当てなど、運用において考慮すべき点が多数ある。

ITニュース解説

現代のソフトウェア開発において、「マイクロサービス」というアーキテクチャが主流になりつつある。これは、巨大な一つのアプリケーションを、それぞれが独立した小さな機能の集まりとして開発・運用する手法だ。例えば、オンラインショッピングサイトを想像してみると、商品の検索機能、カート機能、決済機能などがそれぞれ独立した小さなサービスとして動いている。もし一つのサービスに問題が発生しても、他のサービスには影響を与えにくく、機能ごとに担当チームが分かれて開発を進められるため、開発速度が向上し、柔軟なシステム構築が可能になるというメリットがある。

しかし、このマイクロサービスアーキテクチャには、これまでのシステムとは異なる課題も存在する。特に重要になるのが「ネットワーク」である。なぜなら、独立した小さなサービス同士が連携して一つの大きな機能を提供するためには、サービス間の頻繁な通信が不可欠だからだ。これらの通信がスムーズに行われなければ、システム全体のパフォーマンスが低下したり、サービスが停止したりする可能性がある。したがって、マイクロサービス時代において、システムを安定稼働させるためには、「信頼できるネットワーク」の構築が極めて重要となる。

信頼できるネットワークの最初の条件は「監視(Observability)」の徹底である。多数のサービスが複雑に連携するマイクロサービス環境では、どこで問題が発生しているのか、なぜパフォーマンスが低下しているのかを把握することが非常に難しい。そのため、各サービス間の通信状況、各サービスのリソース使用状況、エラーの発生状況などを詳細に可視化し、常に監視する仕組みが必要となる。アプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツールや、複数のサービスをまたがるリクエストの処理経路を追跡する分散トレーシングといった技術が、問題の早期発見と迅速な解決を支援する。これにより、システム全体の健全性を保ち、予期せぬトラブルにも素早く対応できるようになる。

次に重要なのは、「IPアドレスの割り当てと管理(IPAM)」そして「サービスディスカバリ」の仕組みだ。マイクロサービスでは、必要に応じてサービスが動的に生成されたり削除されたりする。コンテナや仮想マシンといった技術が用いられると、これらのサービスには一時的にIPアドレスが割り当てられることになる。サービス数が増大すると、手動でのIPアドレス管理は現実的ではなくなり、アドレスの枯渇や衝突といった問題が発生しやすくなる。そこで、IPアドレスの自動割り当てや管理を行うIPAMツールが不可欠となる。さらに、他のサービスが動的に変化するサービスの位置(IPアドレスやポート番号)を自動的に見つけ出せる「サービスディスカバリ」の仕組みも重要だ。これにはDNS(Domain Name System)やロードバランサー、あるいはサービスメッシュと呼ばれる技術が活用される。サービスメッシュは、サービス間の通信を代理で行うことで、認証、暗号化、ロードバランシング、監視などの機能を容易に実現し、ネットワーク管理の複雑さを軽減する役割を担う。

もちろん、「高可用性」と「パフォーマンス」もネットワークの信頼性を左右する重要な要素である。ネットワーク機器や通信経路に障害が発生した場合でも、システムが停止することなくサービスを提供し続けられるよう、ネットワークの冗長化は必須となる。複数のネットワーク機器や回線を準備し、障害発生時には自動的に代替経路へ切り替わるように設計する必要がある。また、サービス間の通信量が増大するため、十分な帯域幅を確保し、低遅延で高速な通信を実現するネットワーク性能も求められる。これにより、ユーザーはストレスなくサービスを利用でき、サービス間の連携もスムーズに進む。

さらに、「セキュリティ」もマイクロサービスネットワークにおいて最優先で考慮すべき点だ。サービス間の通信が増えるということは、それだけ外部からの攻撃対象が増えるということでもある。従来のセキュリティ対策では、システム全体を単一の境界で守る考え方が一般的だったが、マイクロサービスではサービスごとに細かくネットワークを分割し、それぞれのサービスに必要な最小限のアクセスのみを許可する「マイクロセグメンテーション」という手法が有効だ。これは、たとえ一つのサービスが攻撃されても、他のサービスへの影響を最小限に抑えることを目的としている。「ゼロトラスト」という考え方も重要で、ネットワークの内外を問わず、すべての通信を信頼せず常に認証・認可を行うことで、より強固なセキュリティ環境を構築する。通信の暗号化や、サービス間の認証も欠かせない。

最後に、「自動化とオーケストレーション」そして「弾力性(スケーラビリティ)」が挙げられる。マイクロサービス環境は変化が激しく、手動でのネットワーク設定や管理では、そのスピードに追いつくことができない。ネットワークのプロビジョニング、構成変更、セキュリティポリシーの適用、監視設定などを自動化する「Infrastructure as Code (IaC)」の導入は必須となる。Kubernetesのようなコンテナオーケストレーションツールと連携し、サービスがデプロイされると同時に必要なネットワーク設定が自動的に行われるような仕組みが理想的だ。また、ビジネスの変化やユーザー数の増減に応じて、ネットワークリソースを柔軟に拡張したり縮小したりできる「弾力性」も重要だ。これにより、無駄なリソースを抱えることなく、常に最適な状態でシステムを運用できるようになる。

これらの要素が統合されて初めて、マイクロサービスアーキテクチャを最大限に活かすことができる「信頼できるネットワーク」が実現する。システムエンジニアを目指す上で、このようなネットワークの重要性と、それを実現するための多様な技術や考え方について理解を深めることは、現代の複雑なITシステムを支える上で不可欠な知識となるだろう。

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