【ITニュース解説】Rust/GoアプリケーションのAWS Lambda向けクロスビルド方法

2025年09月07日に「Qiita」が公開したITニュース「Rust/GoアプリケーションのAWS Lambda向けクロスビルド方法」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

RustとGoで書かれたアプリケーションをAWS Lambdaで動かすため、Linux環境向けのクロスビルド手順を解説。異なるOS上で開発したコードをLambda上で実行可能な形式に変換する方法を、具体的な手順を交えて説明する。初心者でも、環境構築からデプロイまでの一連の流れを理解できる。

ITニュース解説

AWS LambdaでRustやGoで書かれたプログラム(アプリケーション)を動かすためには、いくつかの準備が必要になる。特に、自分のパソコン(多くの場合、WindowsやmacOS)で開発したプログラムを、AWS Lambdaが動く環境(Linux)で実行できるようにする必要がある。これを「クロスビルド」と呼ぶ。この記事では、RustとGoのアプリケーションをAWS Lambda向けにクロスビルドする方法を解説する。

まず、なぜクロスビルドが必要なのかを理解しよう。AWS LambdaはAmazon Web Services (AWS) が提供するサーバーレスコンピューティングサービスだ。サーバーレスとは、サーバーの管理をユーザーが行う必要がないという意味だ。AWS Lambdaは、ユーザーがアップロードしたコードを、必要な時に自動的に実行してくれる。

AWS Lambdaが実際にコードを実行する環境は、Amazon LinuxというLinuxの一種だ。つまり、自分のパソコンで開発したプログラムをそのままAWS Lambdaにアップロードしても、動かない可能性がある。なぜなら、プログラムは特定のOSやCPUアーキテクチャに合わせて作られているからだ。

例えば、Windowsで動くように作られたプログラム(.exeファイルなど)は、macOSやLinuxでは動かない。同様に、macOSで動くように作られたプログラムは、WindowsやLinuxでは動かないことが多い。

そこで必要になるのがクロスビルドだ。クロスビルドとは、あるOSやCPUアーキテクチャ向けにプログラムをコンパイル(機械語に翻訳)する際に、別のOSやCPUアーキテクチャ上でコンパイルを行うことだ。例えば、Windows上でLinux向けのプログラムをコンパイルする場合、これがクロスビルドになる。

Rustの場合、クロスコンパイルを簡単に行うためのツールが用意されている。rustupというRustのバージョン管理ツールを使うと、異なるターゲットアーキテクチャを簡単に追加できる。例えば、Linux向けのターゲットを追加するには、rustup target add x86_64-unknown-linux-gnuというコマンドを実行する。

ターゲットを追加したら、cargo buildコマンドでプログラムをビルドする際に、--targetオプションを指定する。例えば、cargo build --release --target x86_64-unknown-linux-gnuとすると、Linux向けの実行ファイルが生成される。

ただし、これだけではAWS Lambdaで動かすための準備は完了しない。AWS Lambdaは、アップロードされたコードを/var/taskというディレクトリに展開して実行する。そのため、生成された実行ファイルを、必要なライブラリと一緒にzipファイルにまとめる必要がある。

Goの場合も同様に、クロスコンパイルが可能だ。Goには、GOOSGOARCHという環境変数があり、これらを設定することで、ターゲットOSとアーキテクチャを指定できる。例えば、Linux向けのプログラムをコンパイルするには、GOOS=linux GOARCH=amd64 go build -o mainというコマンドを実行する。

GOOS=linuxは、ターゲットOSをLinuxに設定し、GOARCH=amd64は、ターゲットアーキテクチャを64ビットのAMD(x86互換)アーキテクチャに設定する。-o mainは、生成される実行ファイルの名前をmainに指定する。

Rustと同様に、Goでクロスコンパイルしたプログラムも、AWS Lambdaにアップロードする前にzipファイルにまとめる必要がある。

クロスビルドを行う際に注意すべき点として、依存関係の解決がある。プログラムが外部のライブラリに依存している場合、クロスコンパイル時にそれらのライブラリもターゲットアーキテクチャに合わせてビルドする必要がある。Rustの場合は、cargoが自動的に依存関係を解決してくれることが多いが、Goの場合は、自分で依存関係を管理する必要がある場合がある。

AWS Lambdaにアップロードするzipファイルには、実行ファイルだけでなく、必要な設定ファイルやその他のリソースも一緒に含めることができる。例えば、設定ファイルを使って、プログラムの動作をカスタマイズしたり、APIキーなどの機密情報を安全に管理したりすることができる。

また、AWS Lambdaの実行環境には、いくつかの制約がある。例えば、実行時間の上限や、利用できるメモリの上限などだ。これらの制約を考慮して、プログラムを設計する必要がある。

クロスビルドは、AWS Lambdaでプログラムを動かすための重要なステップだ。RustやGoのような言語を使うことで、効率的にクロスコンパイルを行い、AWS Lambdaの恩恵を受けることができる。これらの手順を理解し、実践することで、サーバーレスアーキテクチャを活用したアプリケーション開発をスムーズに進めることができるだろう。

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