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【ITニュース解説】Stop Writing SQL by Hand: Building My MVP to Chat With Databases

2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「Stop Writing SQL by Hand: Building My MVP to Chat With Databases」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

SQLを直接書かずに、自然言語でデータベースに質問するとSQLと結果を即座に得られるツール「ChatWithDB」が開発された。SQL知識の有無に関わらず、データ活用を容易にし、開発者のクエリ作成・デバッグ時間を削減。軽量で高速なシステムを目指す。

ITニュース解説

このニュース記事は、システムエンジニアが日々の業務で直面するデータベース操作、特にSQL(Structured Query Language)を手書きで記述する作業の課題と、それを解決しようとする新しいアプローチについて説明している。筆者は、人間が自然言語、例えば英語で思考するにもかかわらず、データベースに指示を出す際にはSQLという特定の言語に思考を切り替える必要があることに疑問を抱いた。この疑問から、「ChatWithDB」という、自然言語でデータベースと対話できるツール(MVP、実用最小限の製品)の開発が始まったと述べている。

SQLは、データベースから情報を取得したり、データを更新したりするための非常に強力な言語であり、現代のシステム開発には欠かせない。しかし、その強力さの裏で、いくつかの課題が生じていると記事は指摘する。まず、チーム内の全員がSQLに習熟しているわけではない。プロダクトマネージャーは具体的な数値を知りたいだけであり、データアナリストは複雑なSQL構文と格闘することなく、データから直接的な洞察を得たいと考える。さらに、開発者自身でさえ、本来のアプリケーション機能開発に集中すべき時間を、複雑なSQLクエリのデバッグに費やしてしまうことがあるという。苦労してデータを手に入れたとしても、それを素早く可視化したいという次のニーズも課題となる。

これらの課題に対し、筆者は大規模な「エンドツーエンドのAI分析プラットフォーム」のような重厚なシステムではなく、軽量で高速なアプローチを選択した。そのアイデアは非常にシンプルである。まず、PostgresやMySQLのような一般的なデータベースに接続する。次に、ユーザーは「過去30日間の日次サインアップ数を教えて」といった、まるで人に質問するような自然言語で指示を出す。すると、システムは即座にその質問に対応するSQLクエリを自動生成し、実行して、その結果をユーザーに提示する。このアプローチの大きな利点は、追加のデータモデリング作業や複雑なシステム設定が一切不要である点だ。ただ質問するだけで答えが得られる、という直感的で使いやすい体験を目指している。

ChatWithDBを開発する過程で、筆者はいくつかの重要な知見を得たという。一つ目は「速度の重要性」である。大規模言語モデル(LLM)のようなAIがバックエンドで動作するシステムでは、ユーザーが質問を送信してから回答が返ってくるまでの時間が長すぎると、ユーザーはそのシステムへの信頼を失ってしまう。AIの生成する回答の質が高くても、待たされること自体がユーザーにとってのストレスとなり、システムの利用を妨げる原因となるのだ。

二つ目は「スキーマ認識の難しさ」である。データベースの「スキーマ」とは、データベース内のテーブル構成や、各カラム(列)のデータ型、テーブル間の関係性などを定義した設計図のようなものだ。LLMがユーザーの自然言語の質問を正確なSQLクエリに変換するためには、このスキーマ情報を理解し、適切なコンテキスト(文脈)として与える必要がある。しかし、データベースのすべてのスキーマ情報をLLMに渡してしまうと、処理に時間がかかり、システムの応答速度が低下してしまう。そのため、性能と精度の両方を最適化するためには、LLMに与えるべきスキーマ情報の量と質を慎重に調整することが極めて重要だと筆者は述べている。

三つ目は「UI(ユーザーインターフェース)の簡素さ」が成功の鍵を握るということだ。どんなに優れた機能を備えたシステムでも、そのインターフェースが複雑であれば、ユーザーは使いこなすことが難しい。現代のユーザーは、ChatGPTのようなシンプルで直感的なインターフェースに慣れているため、新しいシステムもそれに近い使いやすさを持っていることで、より多くのユーザーに受け入れられ、利用が促進されると筆者は考察している。

現在、筆者は自身のChatWithDBプロジェクトを通じて、この軽量で高速なアプローチが、あらゆる例外的な状況に対応しようとする大規模なエンタープライズ向けシステムよりも、実用的な価値があるかどうかを検証している段階にある。筆者はユーザーに対して、80%の一般的なクエリを高速に処理できるようなシンプルなツールを好むか、それともあらゆる可能性に対応しようとする、より重厚なシステムを好むかというフィードバックを求めている。この問いは、システム開発において「完璧な機能を目指すか、それとも実用性と効率性を優先するか」という普遍的な設計思想の議論を反映している。システムエンジニアを目指す上で、このような設計の考え方や、ユーザーの実際のニーズをどのように捉え、製品に落とし込むかという視点は非常に重要である。効率的かつ価値のあるツールを開発するためには、単なる技術力だけでなく、ユーザー体験やビジネス上の価値といった多角的な視点からアプローチすることが求められる。このプロジェクトは、AI技術とデータベース技術が融合することで、日々の開発作業をいかに効率化できるかを示す好例であり、今後の進化が注目される。