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【ITニュース解説】STM32をUbuntuから書き込みたい

2025年09月07日に「Zenn」が公開したITニュース「STM32をUbuntuから書き込みたい」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Ubuntu環境で、組み込み機器用マイコンSTM32にプログラムを書き込む方法を解説。公式のコマンドラインツール「STM32_Programmer_CLI」の導入手順と、インストール時に発生した問題の解決策を記録。SSH経由での開発に有用な情報である。(118文字)

出典: STM32をUbuntuから書き込みたい | Zenn公開日:

ITニュース解説

組み込みシステム開発で広く利用されているSTM32マイクロコントローラ(マイコン)へ、Windowsのグラフィカルなツールではなく、Linuxの一種であるUbuntuのコマンドライン環境からプログラムを書き込むための具体的な手順と思考プロセスについて解説する。この技術は、開発プロセスの自動化や、遠隔地にある機器へのプログラム更新など、より高度な開発シーンで必要不可欠な知識となる。

まず、STM32とはSTマイクロエレクトロニクス社が提供する高性能な32ビットマイコンのシリーズ名である。家電製品から産業機械、IoTデバイスまで、世界中の電子機器に内蔵されている。開発者は、C言語などでプログラムを作成し、それをコンパイルして生成されたバイナリファイルをマイコン内部のフラッシュメモリに書き込むことで、意図した動作をさせる。この「書き込み」作業には、専用のツールが必要となる。

ST社は、この書き込み作業のための公式ツールとして「STM32CubeProgrammer」を提供している。このツールには、マウスで操作できるGUI版と、キーボードからコマンドを打ち込んで操作するCLI版(STM32_Programmer_CLI)が存在する。通常、初心者はGUI版から使い始めることが多いが、開発効率を追求するプロの現場ではCLI版が重宝される。なぜなら、CLIは一連の操作をスクリプトとして自動化したり、SSHなどを介してリモートサーバーから実行したりするのに適しているからである。特に、Yocto Projectなどを利用して組み込みLinux環境そのものを構築するような開発では、開発用のUbuntuマシンから直接、コマンドラインでターゲットデバイスを操作したいという要求が頻繁に発生する。

Ubuntu環境でSTM32_Programmer_CLIを利用する際、いくつかの典型的な問題に直面することがある。一つ目は、インストーラーの実行に関する問題である。STM32CubeProgrammerのインストーラーはJavaで開発されており、実行にはJava実行環境(JRE)がシステムにインストールされている必要がある。しかし、クリーンなUbuntu環境にはJREが含まれていない場合が多い。そのため、インストーラーを実行しようとすると、Javaが見つからない、あるいはバージョンが古いというエラーメッセージが表示されて処理が中断してしまう。この問題は、Ubuntuのパッケージ管理システムであるaptコマンドを用いて、sudo apt install default-jre を実行し、JREをインストールすることで解決できる。

二つ目は、ツールをインストールした後、実際にマイコンへ接続しようとした際に発生するUSB通信エラーである。これは、プログラムが物理的なハードウェア(USB経由で接続されたSTM32の書き込み装置、ST-LINKなど)にアクセスするための権限が、OSレベルで許可されていないことが主な原因である。Linuxシステムでは、セキュリティ上の理由から、一般ユーザーが勝手にハードウェアデバイスへアクセスできないように制限されている。この制限を適切に解除し、STM32CubeProgrammerがST-LINKを正しく認識・利用できるようにするための仕組みが「udevルール」である。udevは、デバイスがシステムに接続された際に、自動的にデバイスファイルを作成したり、アクセス権限を設定したりする機能を持つ。STM32CubeProgrammerのインストールディレクトリには、このudevルールを定義した設定ファイル群(拡張子が.rulesのファイル)が含まれている。これを、システムのudevルールが格納されているディレクトリ(/etc/udev/rules.d/)にコピーし、コマンドを使ってOSに新しいルールを再読み込みさせる必要がある。この設定を正しく行うことで、初めてOSはST-LINKを適切なデバイスとして認識し、プログラムからのアクセスを許可するようになる。

これらの準備が整うと、STM32_Programmer_CLIコマンドが利用可能になる。例えば、-c port=SWD のようなオプションでマイコンとの接続方法を指定し、-w オプションでプログラムファイル(バイナリファイル)を書き込み、-r オプションでメモリ内容を読み出すといった操作が、すべてコマンド一つで実行できる。これにより、ソースコードのビルドからマイコンへの書き込みまでを一つのスクリプトにまとめ、開発サイクルを高速化することが可能になる。GUIツールのように毎回マウスでボタンをクリックする必要がなくなり、ヒューマンエラーの削減と作業効率の大幅な向上に繋がるのである。システムエンジニアを目指す者にとって、GUIの裏側で何が行われているかを理解し、CLIによる操作を習得することは、単なる作業の効率化にとどまらず、システムの仕組みをより深く理解するための重要なステップとなる。

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