【ITニュース解説】Stop Memorizing, Start Scripting: My Journey to cli-bits
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Stop Memorizing, Start Scripting: My Journey to cli-bits」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
コマンドライン操作は全て覚える必要がない。日常の繰り返し作業は、好きなプログラミング言語でスクリプト化しよう。これにより作業効率が大幅に向上し、本来の業務に集中できる。著者は、自身の経験から生まれた便利なスクリプト集「cli-bits」を紹介している。
ITニュース解説
多くのシステムエンジニアが直面する課題の一つに、コマンドライン操作の習熟がある。コマンドラインは、コンピュータを直接操作するための強力なツールであり、使いこなすことで作業の生産性を大きく向上させると言われている。しかし、数えきれないほどのコマンドとその引数、さらにシェルスクリプトの複雑な構文を全て記憶するのは、多くの人にとって非常に困難な壁と感じられる。特別な記憶力を持つ人だけが使いこなせるものだという誤解さえ生じがちである。
だが、実際にはコマンドラインの全てを記憶する必要はない。真に重要なのは、日常的に繰り返す「ワークフロー」に焦点を当てることだ。毎日同じファイルを検索したり、特定のURLをブラウザで開いたり、といった定型的な作業を洗い出し、それらを一度スクリプトとして自動化してしまえば、以降はその内部の詳細を意識することなく、ワンコマンドで実行できるようになる。これは、特定のコマンドの細かな使い方を覚えるよりも、自身の作業の流れをスムーズにすることに集中する考え方である。
さらに、スクリプトを作成する際に、必ずしも複雑なBash構文を習得する必要はない。現代のプログラミング言語の多くは、スクリプトとして直接実行できる「インタープリタモード」をサポートしている。もし普段から使い慣れているお気に入りのプログラミング言語があるなら、それを使ってスクリプトを書くことが可能である。例えばJavaScriptであればNode.js、PythonであればPythonインタープリタを使って、シェルスクリプトのように実行できる。これにより、新しい言語の学習コストを抑えつつ、コマンドラインの自動化を始めることができる。
このような考え方に基づき、筆者は自身の日常業務で役立つ小さなスクリプトの集まり「cli-bits」を構築した。これは、日々の作業における小さな摩擦を取り除き、より本質的な作業に集中するための道具である。以下に、その具体的なスクリプトの例をいくつか紹介する。
まず「gitb」は、現在いるディレクトリのGitリポジトリにおける現在のブランチ名を表示するだけのシンプルなスクリプトである。しかし、これが非常に便利である。例えば、現在のブランチに対応するリモートブランチから変更をプルする際に、手動でブランチ名を入力する代わりに「gitb」の出力を利用することで、入力ミスを防ぎ、作業を効率化できる。
次に「youtrack」は、バグトラッキングシステムYoutrackの課題を自動で開くスクリプトだ。多くの開発現場では、Gitのブランチ名に課題番号を含める慣習がある。このスクリプトは、現在のブランチ名から課題番号を抽出し、それに対応するYoutrackのURLを自動で開く。GitHubやJiraなど、他のバグトラッカーにも同様の仕組みを適用できるだろう。これにより、手動でURLを構成してブラウザで開く手間が省ける。
ファイルダウンロードの管理は、多くの人にとって厄介な作業だ。ダウンロードしたファイルの場所や名前を覚えたり、毎回保存先を指定したりするのは手間がかかる。そこで筆者は、ダウンロードしたファイルを常にデフォルトのダウンロードフォルダに保存し、その後スクリプトで管理するワークフローを採用している。「lastDown」は、最近ダウンロードしたN個のファイルへの絶対パスを表示するスクリプトである。これにより、ダウンロードフォルダに散らばったファイルを簡単に特定できる。
そして、「moveHere」は、指定されたファイルを現在のディレクトリに移動させるスクリプトである。「lastDown」の出力と組み合わせることで、最近ダウンロードしたファイルを必要な作業ディレクトリに効率的に移動させることが可能になり、ダウンロードファイルの整理が格段に楽になる。
また、ファイルを削除する際に「rm」コマンドを使うことをためらう人もいるかもしれない。一度削除すると元に戻せないその不可逆性は、特に初心者にとって大きなストレスとなる。「trash」は、ファイルをシステムのごみ箱に移動させるスクリプトである。これにより、万が一誤ってファイルを削除しても復元が可能となり、安心してファイル操作を行えるようになる。
「getLine」は、標準入力から受け取ったテキストデータのうち、指定した行数の内容のみを選択して表示するスクリプトだ。例えば、「ls」コマンドで大量のファイルがリスト表示された際、その中から特定のファイルだけを選びたい場合に役立つ。さらに「lless」は、「getLine」と「less」コマンドを組み合わせたショートカットで、リストから選択したファイルを直接「less」で開くことができるため、ログファイルなどの内容確認がスムーズになる。
日付関連の操作も、スクリプトで自動化すると便利だ。「today」は、現在の日付、または指定した日数だけ前後の日付を特定の形式で出力するスクリプトである。ログファイルを日付ごとに整理する際などに、このスクリプトの出力を利用して日付名のディレクトリを自動で作成し、そこにファイルを移動させるといった使い方ができる。
最後に、「codeDebug」は、Visual Studio Codeでプロジェクトを開くだけでなく、TypeScript言語サービスをデバッグモードで起動するスクリプトである。特定の環境変数を設定する必要があるような特殊な起動オプションを、ワンコマンドで実行できるようにすることで、開発環境の準備を簡素化し、すぐにデバッグ作業に取り掛かれるようになる。
これらのスクリプトは、いずれも複雑なものではなく、日々の開発作業における小さな不便を解消するための実用的なツールである。コマンドラインの全てを暗記するのではなく、自分のワークフローの中で繰り返し行う作業を見つけ出し、それを自動化するスクリプトを作成することで、作業効率は大きく向上する。このアプローチは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、コマンドラインを恐れずに使いこなし、生産性を高めるための有効な一歩となるだろう。