【ITニュース解説】Stop, Review, Release: Email Holding in M365
2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Stop, Review, Release: Email Holding in M365」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Microsoft 365 Exchangeでは、メールを一時的に保留し、内容を確認してから配信できる。Transport Rules、Quarantine Policies、Moderation Settings、Delay Deliveryの4つの方法があり、セキュリティ強化やコンプライアンス順守のため、管理者がメールの流れを細かく制御するのに役立つ。
ITニュース解説
Microsoft 365 Exchange、一般にはExchange Onlineと呼ばれるこのサービスは、Microsoft 365スイートに含まれるクラウドベースのメールおよびカレンダーサービスである。これは、企業や組織が日々のコミュニケーションを行う上で不可欠なインフラであり、自社でサーバーを管理するオンプレミスのExchange Serverとは異なり、Microsoftのデータセンターにホストされるため、運用やメンテナンスの手間がかからないという利点がある。
企業におけるメールの運用では、単に送受信ができれば良いというわけではない。情報漏洩の防止、法令遵守(コンプライアンス)、セキュリティリスクへの対応といった観点から、メールの流れを厳密に制御する必要がある。ここで重要となるのが、Microsoft 365 Exchangeに備わるメールの「保留」機能だ。保留とは、特定の条件に合致するメールを、即座に受信者に配信せず、一時的に待機させることである。これにより、管理者はメールの内容を確認したり、セキュリティチェックを行ったり、特定の承認プロセスを経たりする時間を確保でき、誤送信や悪意のあるメールの流入を防ぐことが可能となる。システムエンジニアを目指す者にとって、このようなメールフローの制御は、企業システムの安定稼働とセキュリティ維持において必須の知識である。
Microsoft 365 Exchangeでメールを保留する方法は主に四つあり、それぞれ異なる目的やシナリオに対応している。
一つ目は「トランスポートルール(メールフロールール)」である。これは、メールが通過する際に適用される、非常に柔軟なルール設定機能だ。送信者のドメインやアドレス、受信者のグループ、メールの件名や内容といった条件を指定し、その条件を満たしたメールに対して、リダイレクト、遅延、検疫といったアクションを実行できる。例えば、社外の送信者から届くすべてのメールを、受信者に配信する前に管理者がレビューできるように保留する、といった設定が可能である。このルールはExchange管理センターの「メールフロー」→「ルール」から設定できる。
二つ目は「検疫ポリシー」だ。これは主に迷惑メールやフィッシング詐欺メールといった脅威から組織を守るために設計されている。Microsoft 365 Defenderと連携し、システムが疑わしいと判断したメールを、受信者の受信トレイではなく「検疫」と呼ばれる隔離領域に送る。これにより、セキュリティチームは隔離されたメールの内容を調査し、安全が確認されたものだけを配信したり、あるいは完全に削除したりといった判断を下せる。悪意のあるメールが社内に拡散するのを未然に防ぎ、情報セキュリティを強化する上で重要な役割を果たす。このポリシーはMicrosoft 365 Defenderの「Email & Collaboration」→「Policies & Rules」→「Threat Policies」から設定できる。
三つ目は「モデレーション設定」である。これは、特定のメールボックスや配布グループに対して、メールの送信を承認制にする機能だ。例えば、重要な情報共有を行うグループアドレスや役員向けのメールボックスなど、誤った情報が送られることによる影響が大きい場合に有効である。この設定を有効にすると、そのグループに送信されたメールは、すぐに配信されず、事前に指定されたモデレーター(承認者)の承認を待つことになる。モデレーターが内容を確認し、問題がなければ承認され、メールが配信される。これにより、情報の一貫性や正確性を保ち、承認されていない情報が不特定多数に送られるのを防ぐことができる。Exchange管理センターの「受信者」→「グループ」→グループの編集→「メッセージ承認」から設定が可能だ。
最後に、トランスポートルールを応用した「配信遅延」がある。これは、トランスポートルールを使って、メールの配信を一定時間だけ遅らせる機能だ。例えば、すべての送信メールを30分間保留するといった設定が可能で、この短い時間枠は、送信者が誤って送信してしまったメールを取り消したり、迅速なレビューを行ったりするための猶予期間となる。ただし、この方法は長期的な保留や詳細な承認プロセスには向かず、あくまで短時間での確認やキャンセルを目的としたものである。
これらのメール保留機能は、それぞれが異なる側面から企業の情報システムを保護し、運用を支援する。トランスポートルールは送信者、受信者、内容に基づいたきめ細やかな保留ロジックを実現し、検疫ポリシーは疑わしいメールを隔離してセキュリティを強化する。モデレーション設定は、機密性の高いグループや重要な人物へのメールフローを承認制にすることで、誤送信や不適切な情報伝達を防ぐ。そして、配信遅延は、短時間のレビュー期間を提供することで、ヒューマンエラーによる問題発生リスクを低減する。
システムエンジニアは、これらの機能を適切に組み合わせ、組織のセキュリティ要件、コンプライアンス義務、そして日々の業務効率のバランスを取りながら、最適なメールフローを設計・実装する必要がある。メールがユーザーに届くまでのプロセスをコントロールすることで、必要なメールは確実に、しかし適切なチェックを経て届くようにし、不要なメールや危険なメールは排除することが可能となる。このようなメール管理の知識と技術は、企業システムを安全かつ効率的に運用するために、システムエンジニアが身につけるべき重要なスキルの一部であると言えるだろう。