【ITニュース解説】Taiwan open data as clean JSON: new companies, laws in English, drug licenses and recalls
2026年10月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Taiwan open data as clean JSON: new companies, laws in English, drug licenses and recalls」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
台湾政府は高品質なオープンデータを公開するが、中国語や特殊な日付形式で扱いにくい。このデータをクリーンな英語キー・ISO日付のJSONに変換するツールが開発された。新設企業、法令、医薬品ライセンス、製品リコール情報などをAPIで簡単に利用でき、システム開発に活用できる。
ITニュース解説
今回のニュース記事は、台湾政府が公開している「オープンデータ」を、より多くの人々、特にプログラミングやデータ活用に興味を持つシステムエンジニア(SE)の卵が簡単に利用できるように加工した事例を紹介するものだ。オープンデータとは、政府や自治体が保有する情報を、誰もが自由に利用、再利用、配布できる形で公開しているデータのことである。このデータの活用は、新しいサービス開発や社会課題の解決に繋がる可能性を秘めているため、世界中で注目されている。
台湾は高品質なオープンデータを多く公開しているが、そのままでは利用しにくいという課題があった。具体的には、多くのデータが中国語のヘッダーを持つCSVファイルや、データが一括でまとめて提供されるJSON形式で公開されている。また、日付表記が台湾独自の「中華民国暦(ROC暦)」であり、西暦に変換する必要がある点や、データが月ごとやカテゴリごとに分割された状態で提供されるため、複数のファイルを統合する手間がかかる点も課題だった。システムを開発する際には、このようなデータの形式や表記の不統一が、処理を複雑にし、開発のハードルを上げる要因となる。
そこで、この記事では、これらの課題を解決し、データを「Apify Actors」というツールを使って、より扱いやすい形に変換した取り組みが紹介されている。Apify Actorsとは、ウェブスクレイピングやAPI連携などを行い、データを収集・加工するためのプログラムを指す。このActorによって、元の中国語のキー(データの項目名)を英語に、ROC暦の日付を国際標準のISO形式に、そしてばらばらのファイルを統合して、プログラミングで扱いやすいクリーンなJSON形式で出力できるようにしている。これにより、システム開発者は、元の複雑なデータを直接処理する手間を省き、すぐにデータを活用できるようになった。
記事では、特に以下の4種類のデータセットがApify Actorsによってどのように変換され、どのような用途で役立つかが具体的に説明されている。
まず、「新会社登録情報」についてだ。台湾経済部が毎月公開している新規登録会社のリストで、月に約3,000社もの情報が含まれる。元のデータはそのままでは扱いにくいが、変換されたJSONデータは、会社のID、会社名(中国語)、登録日、登録月、所在地(県・区)、資本金、そしてライセンス情報などが英語のキーで提供される。このデータは、企業間取引(B2B)向けの営業リスト作成や、会計事務所、オフィス用品業者、市場調査会社などが新しい顧客を見つけるための情報源として非常に有用である。特定の月、地域、資本金の範囲、または事業内容のキーワードで絞り込んで検索することも可能だ。
次に、「法令(中国語・英語併記)」のデータである。台湾の法務部が公開しているすべての法令データで、多くの法律には公式の英語翻訳も付随している。Apify Actorは、一つの条文ごとに一つのレコード(データのかたまり)としてJSON形式で出力するため、これを検索システムに組み込んだり、AIエージェントに学習させたりすることが容易になる。データには、法律名、法律名の英語訳、条文番号、中国語の条文テキスト、英語の条文テキスト、最終改正日などが含まれる。特に興味深いのは、「englishMayBeOutdated(英語訳が古い可能性がある)」というフラグが設定されている点だ。これは、中国語の原文が改正された後も、英語訳が更新されていない場合に警告を示すもので、法的な正確性を保つ上で非常に重要な情報となる。
三つ目は、「医薬品・医療機器ライセンス」のデータである。台湾食品薬物管理署(FDA)が公開する、医薬品、医療機器、健康食品の承認、食品添加物の登録に関する約72,000件(キャンセル済み含む)の医薬品ライセンスと約105,000件の医療機器ライセンス情報が含まれる。このデータもApify ActorによってクリーンなJSONに変換され、ライセンスの種類、ライセンス番号、ステータス(有効・無効)、発行日、有効期限、製品名(英語)、剤形、有効成分、製造国などの情報が得られる。越境EC(海外との電子商取引)で商品を販売する際や、特定の製品が台湾で実際に認可されているかをチェックするコンプライアンス確認作業において、非常に役立つ。
最後に、「製品リコール監視」のデータだ。これは、台湾FDAが発表する国内外の製品リコール情報を統合したもので、台湾国内の医薬品リコール、医療機器の安全性警告、国境で拒否された輸入食品、そしてFDAが精査した国際的な食品リコールや医薬品警告(日本のリコール情報も含む)の5種類の情報が一つにまとめられている。データには、固有のID、国、カテゴリ(食品、医薬品など)、記録タイプ、公開日、製品名、リコールの理由、詳細な理由、原産国などの情報が含まれる。各レコードには安定したIDが付与されているため、定期的にデータを取得して、新しく発生したリコール情報のみを検出するといった利用方法も可能である。これは、食品関連企業や医薬品メーカー、流通業者などが製品の安全性を監視し、迅速に対応するために非常に価値のある情報源となる。
これらのデータはすべて一般公開されており、もし自分でデータを取得・加工したい場合は、data.gov.twや台湾FDAのオープンデータポータルから直接アクセスできる。その際に、システムエンジニアを目指す初心者が特に注意すべき点が二つある。一つは、前述した「中華民国暦(ROC暦)」の日付変換だ。ROC年の数字に1911を足すことで西暦に変換できることを覚えておく必要がある。もう一つは、データの利用ライセンス「Open Government Data License, version 1.0 (Taiwan)」に従うことだ。このライセンスは商用利用を許可しているものの、データの出典を明記する「アトリビューション」が義務付けられている。今回紹介されたApify Actorsが出力する各データにも、出典とライセンス情報が自動的に含まれているのはそのためである。また、政府のサーバーに過度な負荷をかけないよう、一度に大量のリクエストを送らず、適切な遅延を設けてアクセスする配慮も重要だ。
このように、オープンデータはそのままでは利用しにくいことが多いが、適切な技術と工夫によって、システム開発やビジネスに役立つ価値ある情報へと生まれ変わる。今回の事例は、データ加工やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の利用が、いかにデータの価値を高め、新しい可能性を生み出すかを示す良い例だ。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなデータの収集、加工、そして活用は、将来のキャリアにおいて不可欠なスキルとなるだろう。