【ITニュース解説】「VPNにつなげば安全」とは限らない? むしろ危ないケースとは
2025年09月12日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「「VPNにつなげば安全」とは限らない? むしろ危ないケースとは」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
VPNは通信を保護するツールだが、必ずしも安全ではない。特にモバイルVPNは便利だが、利用方法によってはかえって危険なケースもある。VPNが持つ潜在的なリスクを理解し、その注意点を押さえて適切に利用することが重要だ。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す初心者が、インターネットの安全な利用について学ぶ上で、VPNは重要なキーワードである。VPNとは「Virtual Private Network」の略で、日本語では「仮想プライベートネットワーク」と訳される技術だ。これは、インターネットのような不特定多数が利用する公共のネットワーク上に、あたかも自分たち専用の閉じたネットワークがあるかのように、安全な通信経路を構築する仕組みを指す。具体的には、通信内容が第三者によって盗み見られたり、改ざんされたりすることを防ぐために、データが暗号化され、利用者の実際のIPアドレスが隠蔽される。これにより、特に公共のWi-Fiスポットなどセキュリティが不確かな場所からインターネットを利用する際に、情報漏洩のリスクを低減できるとされている。また、企業においては、従業員が自宅や外出先から社内ネットワークに安全にアクセスするための手段として広く活用されており、モバイルVPNのように移動中でも接続が途切れにくいといった利便性も提供されるため、多くの人がVPNを「安全な通信」の代名詞のように捉えている。
しかし、「VPNにつなげば全てが安全になる」という考え方は、実は危険な誤解を含んでいる。VPNは確かに通信のセキュリティを高める強力なツールではあるが、その機能には限界があり、むしろ使い方を間違えたり、特定の状況下では新たなリスクを生み出す可能性もあるからだ。システムエンジニアとしてネットワークセキュリティを考える際には、VPNのメリットだけでなく、その裏に潜むリスクについても正確に理解しておく必要がある。
VPNに潜む具体的なリスクの一つは、利用するVPNプロバイダ、つまりVPNサービスを提供する業者の信頼性に関わる問題である。世の中には無料のVPNサービスも数多く存在するが、これらのサービスの中には、利用者の通信ログを収集し、その情報を第三者に販売したり、広告配信に利用したりするケースが報告されている。また、中にはマルウェアが仕込まれていたり、利用者のデバイスに不必要な権限を要求したりする悪質なサービスも存在する。VPNは利用者のすべての通信をそのプロバイダのサーバー経由でルーティングするため、信頼できないプロバイダを選んでしまうと、通信の暗号化によって第三者からの盗聴は防げても、肝心のVPNプロバイダ自身にすべての通信内容が筒抜けになる危険がある。これは、たとえ通信が暗号化されていても、VPNプロバイダ自身がすべての通信内容を把握できる状態であり、その情報の取り扱いによっては利用者に不利益が生じる危険があることを意味する。そのため、VPNを利用する際には、提供元の信頼性、ログポリシー、セキュリティ対策の状況などを十分に調査し、慎重に選定することが非常に重要になる。
また、VPNは通信経路を保護するが、必ずしも利用者のデバイス自体や、アクセス先のウェブサイトの安全性を保証するものではない点も重要な注意点だ。例えば、もし利用しているパソコンやスマートフォンがすでにマルウェアに感染していた場合、VPNを介して通信しても、そのマルウェアによる情報漏洩や不正操作を防ぐことはできない。VPNはあくまで通信がトンネルを通る間を安全にするものであり、トンネルの入り口や出口、あるいはトンネル自体が安全だとしても、その中を走るデータやデバイス上のアプリケーションがすでに汚染されていれば、安全とは言えない。フィッシング詐欺や悪意のあるウェブサイトへのアクセスも同様で、VPN接続中でも、そのような危険なサイトにアクセスしてしまえば、個人情報が盗まれたり、デバイスが攻撃されたりするリスクは依然として存在する。VPNは、インターネットという広大な空間における通信の経路を保護するものであり、最終的な目的地や出発地の安全性を直接保証するものではないという認識が不可欠だ。
さらに、VPNソフトウェア自体の設定ミスや、プロトコルの脆弱性もリスクとなり得る。VPNクライアントソフトウェアの不適切な設定は、意図せず通信の一部がVPN経路を通らずに直接インターネットに流れてしまう「IPリーク」といった事態を引き起こす可能性がある。これでは、せっかくVPNを使ってIPアドレスを隠蔽しようとした意味がなくなってしまう。また、VPNプロトコルやソフトウェア自体に未知の脆弱性が発見された場合、それを悪用されて通信内容が解読されたり、VPN接続を迂回されてしまったりする可能性もゼロではない。システムは常に進化し、新たな攻撃手法が生まれるため、VPNソフトウェアも定期的にアップデートを行い、常に最新のセキュリティパッチが適用されている状態を維持することが求められる。
これらのリスクを踏まえ、VPNを安全に利用するためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要がある。まず最も重要なのは、信頼できるVPNプロバイダを選択することだ。無料サービスは避け、信頼性と実績があり、明確なノーログポリシー(通信ログを記録しない方針)を掲げている有料サービスを選ぶべきである。多くの有料サービスは、透明性の高いプライバシーポリシーと、強固なセキュリティ対策を講じている。次に、VPNはセキュリティ対策の一部であることを理解し、これだけで全ての脅威から守られるわけではないという認識を持つことが大切だ。VPNは通信経路を保護するが、デバイス自体のセキュリティは、ウイルス対策ソフトウェアの導入、OSやアプリケーションの定期的なアップデート、強力なパスワードの使用、二段階認証の活用など、総合的な対策によって強化する必要がある。最後に、VPNクライアントソフトウェアの適切な設定と最新状態の維持も欠かせない。不明な設定は変更せず、必要に応じて専門家の助言を求めることも検討すべきだ。VPNは、適切に利用すれば非常に強力なセキュリティツールとなり得るが、その限界と潜在的なリスクを理解し、他のセキュリティ対策と組み合わせることで、初めて真に安全なインターネット利用が実現する。システムエンジニアを目指すならば、このような多角的な視点からセキュリティ技術を捉える能力を養うことが不可欠である。