HFP(エイチエフピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
HFP(エイチエフピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ハンズフリープロファイル (ハンズフリープロファイル)
英語表記
Hands-Free Profile (ハンズフリープロファイル)
用語解説
HFPは、Hands-Free Profileの略称であり、無線通信技術であるBluetoothで利用されるプロファイルの一つである。Bluetoothプロファイルとは、デバイスの種類や用途に応じて、通信の手順やコマンド、データの形式などを定めた規格の集合体を指す。これにより、異なるメーカーのBluetooth対応機器同士であっても、同じプロファイルに対応していれば相互に接続し、特定の機能を利用することが可能となる。HFPは、その中でも特に音声通話に特化しており、スマートフォンや携帯電話をカバンやポケットに入れたまま、ワイヤレスヘッドセットやカーナビゲーションシステムなどを通じてハンズフリーで通話を行うために設計された。具体的には、電話の発信や着信、通話の終了、音量調整といった一連の操作を、手元のヘッドセットのボタンや音声コマンドで実行できるようにする役割を担っている。このプロファイルの普及により、運転中や作業中など、両手が塞がっている状況でも安全かつ便利にコミュニケーションを取ることが一般的となった。
HFPの詳細について解説する。HFPを用いた通信は、二つの役割を持つデバイス間で成立する。一つはAG(Audio Gateway)と呼ばれる役割で、これは通信網への入り口となるデバイス、主にスマートフォンや携帯電話が担う。もう一つはHF(Hands-Free)と呼ばれる役割で、ハンズフリー機能を提供するヘッドセットやカーナビゲーションシステムなどがこれにあたる。AGが基地局との通信を中継し、HFがユーザーとの間で音声入出力や操作インターフェースを提供するという役割分担がなされている。HFPでは、これらの役割間で標準化されたコマンドセット(ATコマンド)を用いて通信が行われる。これにより、HFデバイスからAGデバイスに対して、リダイヤル、短縮ダイヤルでの発信、着信への応答や拒否、通話の保留や終了といった複雑な操作を指示することが可能となる。さらに、AGからHFへ発信者番号情報やバッテリー残量、電波強度といったステータス情報を通知する機能も備えているため、ユーザーはスマートフォン本体の画面を見ることなく、通話に関する多くの情報を把握できる。
HFPと類似したプロファイルにHSP(Headset Profile)が存在する。HSPはHFPよりも古くからある規格で、より基本的なハンズフリー通話機能を提供する。具体的には、モノラル音声の送受信と、ごく単純な発着信や終話の操作のみをサポートする。一方、HFPはHSPの機能を包含しつつ、前述したリダイヤルや三者通話の制御、音声認識機能(スマートフォンのSiriやGoogleアシスタントなど)の起動といった、より高度で多彩な機能を追加した上位互換のプロファイルである。現在市販されているほとんどのハンズフリー対応機器はHFPをサポートしており、HSPは旧式の機器との互換性を維持するために残されている側面が強い。
HFPで扱われる音声データは、特定のコーデックによって圧縮・符号化されて伝送される。初期のバージョンでは、主にCVSD(Continuous Variable Slope Delta modulation)やPCM(Pulse Code Modulation)といったコーデックが用いられていた。これらは通話品質としては十分であったが、サンプリング周波数が8kHzに限定されるため、音楽再生で用いられるプロファイル(A2DP)と比較すると音質は劣るものであった。しかし、技術の進歩に伴い、HFP 1.6以降のバージョンではmSBC(modified Sub-Band Codec)という広帯域コーデックがオプションとして追加された。mSBCはサンプリング周波数が16kHzに対応しており、従来のコーデックよりも広い周波数帯域の音声を伝送できるため、よりクリアで自然な音質の通話、いわゆる「HD Voice」を実現できる。接続するAGとHFの双方がこのmSBCに対応している場合に、高品質な通話が可能となる。システム開発においては、ターゲットとするデバイスがどのバージョンのHFPをサポートし、どのコーデックに対応しているかを仕様書で確認することが、期待される通話品質を確保する上で重要となる。