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HEMS(ヘムス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HEMS(ヘムス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ホームエネルギーマネジメントシステム (ホームエネルギーマネジメントシステム)

英語表記

HEMS (ヘムス)

用語解説

HEMSは、Home Energy Management Systemの略称であり、日本語では家庭用エネルギー管理システムと訳される。これは、家庭内で使用されるエネルギーを統合的に管理し、消費の最適化を図るためのシステムである。具体的には、IT技術を活用して電力などのエネルギー使用量を「見える化」し、家電や住宅設備を自動で「制御」することで、省エネルギー、光熱費の削減、そして快適な生活の実現を目指す。HEMSは、モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)技術が家庭内に応用された代表的な事例の一つと位置づけられる。従来、個別に動作していた家電や設備をネットワークで相互に接続し、エネルギーという観点から一元的に管理・運用する点が最大の特徴である。

HEMSのシステムは、複数の構成要素が連携して機能する。その中核をなすのが「HEMSコントローラー」と呼ばれる装置である。これは家庭内LANに接続され、各機器からの情報を集約し、制御命令を出す司令塔の役割を担う。ゲートウェイとしての機能も持ち、家庭内の機器と外部のクラウドサーバーとを接続する。次に重要なのが、電力会社が設置する「スマートメーター」である。これは家全体の電力使用量をリアルタイムで計測し、そのデータをHEMSコントローラーに送信する。これにより、家庭の総エネルギー消費量を正確に把握することが可能となる。さらに、分電盤に「計測ユニット」を取り付けることで、部屋ごとや特定の家電ごとの詳細な電力使用量を計測することもできる。そして、HEMSの制御対象となるのが、エアコン、照明、給湯器(エコキュート)、床暖房といった「HEMS対応家電・設備」である。これらの機器はHEMSコントローラーからの指示に従って動作する通信機能を備えている。ユーザーは、スマートフォンやタブレット、専用のモニターなどの「表示・操作端末」を通じて、エネルギーの使用状況を確認したり、機器の遠隔操作を行ったりする。

HEMSが提供する主要な機能は、大きく分けて「見える化」「制御」「最適化」の三つである。第一の「見える化」は、エネルギー消費に関する情報をユーザーに分かりやすく提示する機能だ。家全体の電力使用量はもとより、どの部屋で、どの家電が、いつ、どれくらいの電力を使っているかをグラフや数値でリアルタイムに確認できる。太陽光発電システムや蓄電池を導入している家庭では、発電量、売電量、蓄電量なども一目で把握できる。これにより、無駄な電力消費の原因を特定し、省エネ意識の向上を促す。第二の「制御」は、見える化で得られた情報に基づき、家電や設備を能動的にコントロールする機能である。例えば、外出先からスマートフォンでエアコンの電源を消したり、帰宅前に電源を入れたりする遠隔操作が可能となる。また、電力使用量があらかじめ設定した上限値を超えそうになった際に、自動で一部の家電の出力を抑えるといった自動制御も実現する。第三の「最適化」は、HEMSの最も高度な機能である。これは、太陽光発電システムの発電量予測、蓄電池の残量、電力会社の料金プラン、さらには天気予報といった様々なデータを統合的に分析し、エネルギーコストが最小になるように機器の動作を自動で調整する機能である。例えば、日中の太陽光発電による余剰電力を、売電するのではなく蓄電池への充電やエコキュートの沸き上げに優先的に使用することで、電力の自家消費率を高める。また、AIが各家庭の生活パターンを学習し、より精度の高いエネルギーマネジメントを行う機能も実用化されている。

このようなHEMSを支えるシステムエンジニアリングの観点では、いくつかの重要な技術要素が存在する。機器間の通信には、日本のスマートハウス向けに策定された「ECHONET Lite」という標準通信プロトコルが広く採用されている。この規格により、異なるメーカーの家電や設備であっても相互に接続し、協調して動作させることが可能となる。システムエンジニアは、このプロトコルを理解し、機器間の安定したデータ連携を実装する必要がある。また、収集した膨大なエネルギーデータの蓄積や分析、AIによる最適化ロジックの実行にはクラウド技術が不可欠である。家庭内のHEMSコントローラーとクラウドサーバー間の安全な通信の確保、スケーラブルなデータ基盤の設計・構築、そしてユーザーフレンドリーなアプリケーション開発など、システムエンジニアが担う役割は多岐にわたる。家庭内のエネルギーという機微な情報を取り扱うため、サイバーセキュリティ対策も極めて重要となる。HEMSは、ハードウェア、組み込みソフトウェア、ネットワーク、クラウド、AIといった多様な技術領域が融合した複合的なシステムであり、システムエンジニアにとって挑戦しがいのある分野と言える。

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