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IoE(アイオーイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

IoE(アイオーイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

モノのインターネット (モノノインターネット)

英語表記

Internet of Everything (インターネット・オブ・エブリシング)

用語解説

IoEはInternet of Everythingの略称であり、「すべてのインターネット」と訳される。これは、現代のIT技術を理解する上で重要な概念の一つである。多くの人が耳にしたことのある「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を、さらに拡張・発展させた考え方として位置づけられている。IoTが、家電製品や産業機械といった物理的な「モノ」をインターネットに接続し、相互に通信させる技術や概念であるのに対し、IoEはそれに加えて「人(People)」「データ(Data)」「プロセス(Process)」という三つの要素を統合し、これら四つの要素すべてがインターネットを介して有機的に連携することで、新たな価値を創造することを目指す。つまり、IoEは単にモノを繋ぐだけでなく、人々の活動やそこから生まれるデータ、そして業務の流れそのものまでをネットワークに取り込み、全体として最適化されたインテリジェントなシステムを構築しようとする、より包括的なビジョンである。

IoEを構成する四つの要素について、より詳しく見ていく。第一の要素は「モノ(Things)」である。これはIoTにおけるモノと同様で、センサーやアクチュエーターなどを内蔵し、インターネットに接続された物理的なオブジェクト全般を指す。スマートフォンやスマートスピーカーといった身近なデバイスから、工場の生産ラインを動かす機械、交通量を監視するセンサー、農地の状態を計測する機器まで、その範囲は非常に広い。これらのモノは、物理世界の状態をデータ化して収集したり、ネットワークからの指示に応じて物理的な動作を行ったりする、IoEの末端の接点として機能する。

第二の要素は「人(People)」である。IoEでは、人々もネットワークの重要な構成要素(ノード)として捉えられる。人々はスマートフォンやウェアラブルデバイス、PCなどを通じて常にネットワークに接続されている。そして、SNSへの投稿、Webサイトの閲覧履歴、位置情報、生体データなど、意識的・無意識的に膨大なデータを生成している。また、人は単なるデータの生成源に留まらず、情報を解釈し、意思決定を行い、システムにフィードバックを与える主体でもある。IoEは、このような人々の行動や知見をシステムに組み込むことで、より状況に適した、人間中心のサービスを実現しようとする。

第三の要素は「データ(Data)」である。モノや人から収集される情報は、そのままでは単なる数値や文字列の羅列に過ぎない。これが「生データ」である。IoEの核心は、この膨大な生データを収集、分析、処理することによって、意味のある「情報(Information)」へと変換し、さらには将来の予測や最適な行動を示唆する「知見(Insight)」を導き出すことにある。ビッグデータ解析技術やAI(人工知能)、機械学習といった技術がここで重要な役割を果たす。データは、他の三つの要素が連携するための燃料であり、価値創造の源泉となる。

第四の要素は「プロセス(Process)」である。これは、モノ、人、データという三つの要素を適切に連携させるための仕組みや手順、ワークフローを指す。正しい情報が、正しいタイミングで、正しい人や機械に届けられ、適切なアクションが実行されるように、業務の流れ全体を設計・最適化することが目的である。例えば、工場の機械(モノ)が異常な振動(データ)を検知した場合、即座に保守担当者(人)のスマートフォンに警告と作業指示書を送信し、同時に代替の生産ラインを稼働させる、といった一連の流れがプロセスにあたる。プロセスがなければ、各要素はバラバラに機能するだけで、全体としての価値を最大化することはできない。

このように、IoEはIoTを内包しつつも、そのスコープを大幅に広げた概念である。IoTが「いかにしてモノをインターネットに繋ぐか」という技術的な接続性に焦点を当てるのに対し、IoEは「繋がったモノ、人、データ、プロセスをいかに連携させ、新たな価値を生み出すか」というビジネスや社会全体の変革に焦点を当てる。スマートファクトリーの例では、機械の稼働データを収集するのはIoTの領域だが、そのデータを分析して故障を予知し、部品の自動発注プロセスと連携させ、保守担当者のスケジュールを自動で調整するといった一連の流れを構築するのはIoEの領域となる。

IoEが実現する社会では、製造、医療、交通、エネルギー、農業など、あらゆる産業で革新が期待される。例えば、スマートシティでは、交通センサーや監視カメラ(モノ)からのリアルタイムデータ(データ)をAIが分析し、交通信号の制御や公共交通機関の運行スケジュール(プロセス)を最適化することで、渋滞の緩和やエネルギー効率の向上を実現する。市民(人)は、スマートフォンアプリを通じて、パーソナライズされた交通情報や公共サービスを受け取ることができる。

システムエンジニアを目指す者にとって、IoEは非常に重要なキーワードとなる。IoEシステムの構築には、デバイスを制御する組込み技術、膨大なデータを処理するクラウドコンピューティングやデータベース技術、データを価値ある情報に変えるAI・機械学習の知識、そしてこれらすべてを安全に繋ぐネットワーク技術とセキュリティ技術など、極めて広範なスキルセットが要求される。個別の技術要素を理解するだけでなく、モノ、人、データ、プロセスという四つの要素がどのように相互作用し、ビジネスや社会の課題を解決するのかという全体像を捉え、システム全体を設計・構築する能力が不可欠となる。IoEは、技術が社会に与える影響を深く理解し、より良い未来を創造するための壮大なビジョンを示しているのである。

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