Java Message Service(ジェイメス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Java Message Service(ジェイメス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ジャバメッセージサービス (ジャバメッセージサービス)

英語表記

Java Message Service (ジャバメッセージサービス)

用語解説

Java Message Service、通称JMSは、Javaプラットフォームで動作するアプリケーション間で、メッセージと呼ばれるデータを非同期で送受信するための標準的なAPI(Application Programming Interface)仕様である。これは特定のメッセージング製品に依存しない、統一されたプログラミングインターフェースを提供することを目的としている。JMSを理解することは、コンポーネントが互いに独立して動作する、柔軟で堅牢なシステムを構築する上で極めて重要である。

システムのコンポーネント同士が直接通信を行う同期的な処理では、片方の処理が終わるまでもう一方が待機する必要があり、システム全体の応答性が低下する原因となりうる。また、通信相手の障害が直接的に自分自身の障害につながるなど、密結合な関係性によってシステムの可用性や拡張性が損なわれやすい。JMSは、このような課題を解決するために、メッセージング指向ミドルウェア(MOM)と呼ばれる専用のサーバーソフトウェアを介した非同期通信を実現する。送信側アプリケーションはMOMにメッセージを送信するだけで自身の処理を完了でき、受信側の応答を待つ必要がない。受信側アプリケーションは、自身の都合の良いタイミングでMOMからメッセージを取得し、処理を実行する。このように送信側と受信側が時間的にも空間的にも分離されることで、互いに依存しない疎結合なシステムが実現され、パフォーマンス、スケーラビリティ、耐障害性が大幅に向上する。

JMSのアーキテクチャは、いくつかの主要な要素で構成されている。まず、メッセージング機能そのものを提供するミドルウェアが「JMSプロバイダ」である。これはJMS仕様を実装した具体的な製品であり、Apache ActiveMQやIBM MQなどが代表例として挙げられる。JMS APIを利用してメッセージを送受信するJavaアプリケーションを「JMSクライアント」と呼ぶ。クライアント間で交換されるデータの単位が「JMSメッセージ」であり、これにはヘッダ、プロパティ、ボディの三つの部分がある。ヘッダにはメッセージの宛先や有効期限といった制御情報が、プロパティにはアプリケーション固有の属性が、そしてボディには実際のデータ本体が格納される。クライアントがJMSプロバイダに接続するためには「ConnectionFactory」オブジェクトが、メッセージの宛先を特定するためには「Destination」オブジェクトが必要となる。これらのオブジェクトは管理者がJMSプロバイダ側で設定し、クライアントは通常、JNDI(Java Naming and Directory Interface)という仕組みを通じてこれらを取得する。

JMSは、通信の目的に応じて二つの主要なメッセージングモデルを定義している。一つは「Point-to-Point(PTP)」モデルである。このモデルでは、メッセージの宛先として「キュー(Queue)」が使用される。送信者はメッセージを特定のキューに送信し、受信者はそのキューからメッセージを取り出す。一つのメッセージは、複数の受信者がキューを監視していたとしても、そのうちの一つの受信者によってのみ消費されることが保証される。これは、特定のタスクを一度だけ実行させたい場合や、複数のワーカーで処理を分担する負荷分散のシナリオに適している。キューに送信されたメッセージは、受信者がオンラインになるまで安全に保管される。

もう一つのモデルは「Publish/Subscribe(Pub/Sub)」モデルである。このモデルでは、メッセージの宛先として「トピック(Topic)」が用いられる。発行者(Publisher)がトピックにメッセージを発行すると、そのトピックを購読(Subscribe)しているすべての購読者(Subscriber)が、同じメッセージのコピーを受信する。これは、株価情報やニュース速報の配信のように、一つの情報を不特定多数の関係者へ一斉に通知するブロードキャスト型の通信に最適である。購読には、購読者がオンラインの間だけメッセージを受け取る非永続的購読と、オフラインの間に発行されたメッセージも後で受け取れるようにする永続的購読の二種類がある。

JMSは、メッセージが失われることなく確実に宛先に届けるための信頼性保証の仕組みも備えている。例えば、メッセージを永続化する設定により、JMSプロバイダがダウンしても再起動後にメッセージを復元できる。また、受信者がメッセージを正常に処理したことをプロバイダに通知する確認応答の仕組みや、複数のメッセージ送受信を一つの不可分な処理単位として扱うトランザクション機能も提供されており、エンタープライズシステムに求められる高い信頼性を満たすことができる。このように、JMSはJavaにおける非同期メッセージングの標準として、システム間連携のあり方を定義し、疎結合で拡張性の高いアーキテクチャの実現に貢献する重要な技術である。

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