JDBCドライバ(ジェーディービーシー ドライバー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
JDBCドライバ(ジェーディービーシー ドライバー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
JDBCドライバー (ジェーディービーシードライバー)
英語表記
JDBC driver (ジェイディービーシー ドライバー)
用語解説
JDBCドライバは、Javaで開発されたアプリケーションが、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)と通信するために必要不可欠なソフトウェアコンポーネントである。Javaプログラムからデータベースへ接続し、データの照会や更新といった操作を行う際の橋渡し役を担う。データベース製品はOracle Database, MySQL, PostgreSQL, Microsoft SQL Serverなど多岐にわたり、それぞれが独自の通信プロトコルや仕様を持っている。Javaアプリケーションがこれらの差異を意識することなく、統一的な方法でデータベースを操作できるようにするために、JDBCドライバが存在する。具体的には、Javaの標準APIであるJDBC(Java Database Connectivity)の仕様に基づいて作成された、各データベース製品専用の変換器のような役割を果たす。アプリケーション開発者はJDBC APIが定める共通のインターフェースを用いてプログラミングを行い、JDBCドライバがその指示を特定のデータベースが理解できる形式に変換して実際の通信を実行する。この仕組みにより、Javaの大きな特徴である「Write Once, Run Anywhere(一度書けば、どこでも動く)」という思想が、データベースアクセスの領域においても実現されている。使用するデータベース製品が変更になった場合でも、アプリケーションのソースコードを大幅に修正することなく、対応するJDBCドライバを差し替えるだけで済むという高い移植性を確保できる点が、その最大の利点である。
JDBCドライバは、その実装方式によって大きく4つのタイプに分類される。タイプ1は「JDBC-ODBCブリッジドライバ」と呼ばれ、Windows環境で標準的なデータベース接続の仕組みであるODBC(Open Database Connectivity)を利用してデータベースと通信する。JavaからJDBC、ODBC、そしてデータベースへと複数の層を経由するため、処理性能が低く、またODBCドライバがクライアントマシンにインストールされている必要があるなど、プラットフォーム依存性が高い。現在では非推奨とされ、近年のJava開発環境ではほとんど使用されない。タイプ2は「ネイティブAPIドライバ」で、データベースベンダーが提供するC言語などで書かれたクライアントライブラリ(ネイティブライブラリ)を、Javaから呼び出すことで通信する。タイプ1よりは高速だが、同様にクライアント側にネイティブライブラリの導入が必要となり、プラットフォーム依存性の問題が残る。タイプ3は「ネットワークプロトコルドライバ」であり、クライアントとデータベースの間に専用のミドルウェアサーバーを配置する構成を取る。ドライバ自体はJavaで記述されており、特定のデータベースプロトコルに依存しない汎用的な通信をミドルウェアと行い、ミドルウェアがデータベース固有のプロトコルに変換する。クライアント側の構成はシンプルになるが、システム全体のアーキテクチャが複雑化する。タイプ4は「ネイティブプロトコルドライバ」または「Thinドライバ」と呼ばれ、現在最も広く利用されている方式である。このドライバは100% Javaで実装されており、ミドルウェアやネイティブライブラリを一切介さず、データベース固有のネットワークプロトコルを直接解釈して通信を行う。必要なのはドライバのJARファイルのみであるため、プラットフォームへの依存性がなく、導入が極めて容易でパフォーマンスも良好である。
アプリケーションでJDBCドライバを利用する際の基本的な手順は、まず使用するデータベース製品とバージョンに対応したJDBCドライバ(通常は拡張子が.jarのファイル形式)を入手し、アプリケーションのクラスパスに配置することから始まる。次に、プログラムコード内でデータベースへの接続を確立する。JDBC 4.0以降の仕様では、クラスパスにドライバが存在すれば自動的にロードされる仕組みが採用されているため、開発者が明示的にドライバをロードするコードを記述する必要はほとんどない。接続処理では、DriverManager.getConnection()メソッドを呼び出すのが一般的で、その際に引数として「JDBC URL」「データベースのユーザー名」「パスワード」の3つの情報を渡す。特にJDBC URLは、どのドライバを使用して、どのコンピュータ上のどのデータベースに接続するかを指定するための重要な接続文字列であり、その書式は「jdbc:サブプロトコル:データベース情報」という形式が基本となる。このサブプロトコルとデータベース情報の部分は、使用するJDBCドライバ、すなわちデータベース製品ごとに固有の形式で記述する必要がある。接続が成功すると、データベースとのセッションを表すConnectionオブジェクトが返却され、開発者はこのオブジェクトを通じてSQL文の実行や結果の取得といったデータベース操作を行うことができる。このように、JDBCドライバはJavaアプリケーションと多様なデータベース製品との間の複雑な通信処理を隠蔽し、開発者が統一的かつ簡潔なコードでデータベースアクセスを実装することを可能にする、極めて重要な技術である。