LibreOffice(リブレオフィス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LibreOffice(リブレオフィス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

リブレオフィス (リブレオフィス)

英語表記

LibreOffice (リブレオフィス)

用語解説

LibreOfficeは、The Document Foundationという非営利団体によって開発が主導されている、無料で利用可能なオープンソースのオフィススイートである。オフィススイートとは、文書作成、表計算、プレゼンテーション資料作成など、事務作業で頻繁に利用される複数のソフトウェアを一つにまとめたパッケージのことを指す。LibreOfficeは、代表的な商用オフィススイートであるMicrosoft Officeと類似の機能を持ち、高い互換性を備えているため、その代替として個人利用から企業、教育機関、官公庁に至るまで世界中で広く活用されている。大きな特徴として、特定の企業に依存しないオープンソースソフトウェアであること、Windows、macOS、Linuxといった複数のオペレーティングシステムで動作するクロスプラットフォーム性を備えていること、そして国際標準規格であるOpenDocument Format (ODF) を標準のファイル形式として採用している点が挙げられる。これにより、ユーザーはライセンス費用を気にすることなく、環境に依存しない自由なドキュメント作成とデータ活用が可能となる。

LibreOfficeは、それぞれが特定の役割を持つ複数のアプリケーションで構成されている。中心となるのは、文書作成ソフトウェアの「Writer」である。これはMicrosoft Wordに相当するアプリケーションで、手紙やレポートのような単純な文書から、図表や索引を含む書籍のような長文で複雑な文書まで作成できる。スタイルの適用による統一感のある書式設定や、目次の自動生成といった高度な機能も備えている。次に、表計算ソフトウェアの「Calc」は、Microsoft Excelに相当する。数値データの集計や分析、グラフ作成に用いられ、多数の組み込み関数や、大量のデータを分析するためのピボットテーブルといった強力なツールを提供する。プレゼンテーション作成には「Impress」を使用する。これはMicrosoft PowerPointの代替となるソフトウェアで、スライドマスターによる統一されたデザインの適用、アニメーション効果、多彩な描画ツールなどを駆使して、視覚的に訴えかけるプレゼンテーション資料を作成することができる。これらの主要なアプリケーションに加え、LibreOfficeにはフローチャートや図面の作成に適したベクトル描画ツールの「Draw」、小規模なデータベースの作成と管理を行うための「Base」、そして論文やレポートに挿入する数式を記述するための「Math」といった専門的なツールも同梱されており、多岐にわたるドキュメント作成のニーズに応える構成となっている。

システムエンジニアを目指す者にとって、LibreOfficeの技術的な背景を理解することは重要である。まず、オープンソースソフトウェアであるという点は、単に無料である以上の意味を持つ。ソースコードが全世界に公開されているため、誰でもその動作を検証でき、セキュリティ上の脆弱性もコミュニティによって迅速に発見、修正されやすい。特定のベンダーの意向に開発が左右されることがなく、透明性と継続性が担保されている。また、標準ファイル形式として採用されているOpenDocument Format (ODF)は、特定のアプリケーションに依存しないオープンな規格である。これは、将来にわたってデータへのアクセス性を保証し、特定のソフトウェアがなければファイルを開けなくなるといった「ベンダーロックイン」のリスクを回避する上で極めて重要である。もちろん、デファクトスタンダードであるMicrosoft Office形式(DOCX, XLSX, PPTXなど)のファイルの読み込みや保存にも対応しているため、既存のドキュメント資産を扱うことも可能であるが、複雑なレイアウトやマクロを含むファイルでは、表示が崩れるなど完全な互換性が得られない場合もある点には留意が必要だ。さらに、LibreOfficeはコマンドラインからの操作が可能であり、サーバーサイドでドキュメントを自動的に生成・変換するようなシステムに組み込むことができる。例えば、Webシステムでユーザーが入力した情報をもとに見積書を自動作成し、PDFとしてダウンロードさせるといった処理を、LibreOfficeをバックグラウンドで利用して実装することが可能である。このように、LibreOfficeはデスクトップで利用するアプリケーションという側面に加え、システムの構成要素としても活用できる柔軟性を備えている。