MDI-X(エムディーアイエックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
MDI-X(エムディーアイエックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エムディーアイエックス (エムディーアイエックス)
英語表記
MDI-X (エムディーアイエックス)
用語解説
MDI-X(エムディーアイ-エックス)は、イーサネットの物理層におけるインターフェース技術の一つである。この技術は、ネットワーク機器同士を接続する際に、ケーブルの種類(ストレートケーブルまたはクロスケーブル)を意識することなく接続できるようにするために開発された。本来、イーサネット機器を接続する際には、送信と受信の信号線が正しく接続される必要がある。例えば、コンピューターとスイッチのように異なる種類の機器間を接続する場合はストレートケーブルを使用し、コンピューター同士やスイッチ同士のように同種の機器間を直接接続する場合はクロスケーブルを使用するのが従来のルールであった。MDI-Xは、この複雑なケーブル選択の問題を解決し、ネットワーク構築の簡素化に大きく貢献した。今日のほとんどのイーサネット機器には、さらに進化したAuto MDI/MDI-X機能が搭載されており、接続の柔軟性を最大限に高めている。
MDIはMedium Dependent Interfaceの略であり、イーサネットの物理的なインターフェースを指す。具体的には、イーサネットケーブルを接続するポートのピン配置や電気的特性に関する仕様を定めている。イーサネットケーブルには、データを送信するための送信線(Tx: Transmit)と、データを受信するための受信線(Rx: Receive)がある。一般的に、コンピューターなどのデータ端末装置(DTE: Data Terminal Equipment)に搭載されているポートをMDIポートと呼び、送信ピンはデータを送り出し、受信ピンはデータを受け取るように構成されている。一方、スイッチやハブなどのデータ通信装置(DCE: Data Communication Equipment)に搭載されているポートは、相手がMDIポートであることを前提として、内部で送信ピンと受信ピンが反転している。この反転したピン配置を持つポートがMDI-Xポートである。MDI-Xの「X」は「Crossover」(交差)を意味し、ポート内部で送信・受信の信号線が交差していることを示唆している。
ストレートケーブルは、ケーブルの両端で各ピンが同じ位置に接続されている。つまり、一方の端の送信ピンはもう一方の端でも送信ピンに、受信ピンは受信ピンに接続される。したがって、ストレートケーブルは、MDIポートを持つDTE(例: PC)と、MDI-Xポートを持つDCE(例: スイッチやハブ)を接続するのに適している。この組み合わせでは、DTEの送信がMDI-Xポートの受信に、DTEの受信がMDI-Xポートの送信に接続されるため、信号が正しく行き交う。これにより、DTEの送信がDCEの受信に、DCEの送信がDTEの受信に繋がるという、通信に必要な送受信の対応関係が成立する。
これに対して、クロスケーブルは、ケーブル内部で送信線と受信線が交差するように配線されている。具体的には、一方の端の送信ピンがもう一方の端では受信ピンに、受信ピンは送信ピンに接続される。そのため、クロスケーブルは、MDIポートを持つDTE同士(例: PCとPC)や、MDI-Xポートを持つDCE同士(例: スイッチとスイッチ)を直接接続する際に必要とされた。例えば、PCとPCをクロスケーブルで接続すると、一方のPCの送信は他方のPCの受信に、一方のPCの受信は他方のPCの送信に接続され、通信が成立する。MDI-Xポートを持つ機器同士を接続する場合も、片方のMDI-Xポートの送信がもう一方のMDI-Xポートの受信に接続されるように、ケーブル側で信号線を交差させる必要があった。
MDI-Xの技術は、このようなケーブルの種類による使い分けの煩雑さを解消するために登場した。MDI-Xポートを持つ機器は、内部で送信・受信のピン配置を切り替えることができる能力を持つ。より正確には、MDI-Xポートは、DTE側のMDIポートとストレートケーブルで接続することを前提に、自身がDCEとして機能するためにピン配置を反転させている。しかし、現代のほとんどのイーサネット機器には、「Auto MDI/MDI-X」(オートエムディーアイ/エムディーアイ-エックス)と呼ばれる自動判別機能が搭載されている。この機能は、接続されたケーブルがストレートケーブルかクロスケーブルかを自動的に判別し、さらに相手側のポートがMDIポートかMDI-Xポートかを自動的に検出する。そして、その結果に基づいて、自機のポート内部で送信・受信のピン接続を自動的に切り替える。
このAuto MDI/MDI-X機能により、ユーザーは接続する機器の種類やケーブルの種類を一切意識することなく、常にストレートケーブルを使用してイーサネット機器同士を接続できるようになった。例えば、PCとスイッチ、PCとPC、スイッチとスイッチといったあらゆる組み合わせにおいて、一本のストレートケーブルで通信を確立できる。機器が自動的にピン配置を調整するため、クロスケーブルの必要性は事実上なくなったと言って良い。この自動判別プロセスは、機器がリンクアップする際に、物理層レベルで特別な信号パターンをやり取りすることで行われる。具体的には、ポートから送出される信号の極性やタイミングを検出することで、接続相手のポートタイプやケーブルの種類を判断し、必要であれば自身の送信・受信チャンネルを入れ替える。これにより、誤ったケーブル接続による通信不具合を防ぎ、ネットワークの構築と運用の利便性を飛躍的に向上させた。MDI-XおよびAuto MDI/MDI-Xは、イーサネット技術の進化において、物理的な接続の柔軟性を高める上で非常に重要な役割を果たしている。