第5世代移動通信システム (ダイゴセダイイドウツウシンシステム) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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第5世代移動通信システム (ダイゴセダイイドウツウシンシステム) の読み方

日本語表記

第5世代移動通信システム (ダイゴセダイイドウツウシンシステム)

英語表記

5th generation mobile communication system (フィフスジェネレーションモバイルコミュニケーションシステム)

第5世代移動通信システム (ダイゴセダイイドウツウシンシステム) の意味や用語解説

第5世代移動通信システムとは、従来の第4世代移動通信システム(4G)の後継として開発された、より高度な無線通信技術の総称である。これは社会のデジタル化を推進し、産業や日常生活に大きな変革をもたらす基盤技術となる。第5世代移動通信システムは、主に「超高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という三つの主要な特徴を持つ。 一つ目の「超高速大容量」は、現在の4Gと比較してピーク通信速度で最大20Gbps、実効速度でも数Gbpsの通信を可能にする。これにより、4K/8Kの高精細映像のリアルタイム配信や、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)といった大容量コンテンツの快適な利用が可能となる。この高速化は、主にミリ波(mmWave:24GHz以上の高周波数帯)の活用と、Massive MIMO(マッシブマイモ)と呼ばれる多数のアンテナ素子を用いた空間多重技術によって支えられている。Massive MIMOは、複数のユーザーに対して同時に独立した電波を送受信することで、通信容量を大幅に向上させる。データ伝送効率を高める変調方式や符号化方式の進化も重要な役割を担う。 二つ目の「超低遅延」は、データを送信してから受信するまでの遅延をミリ秒単位まで短縮する能力である。これにより、人間の反応速度を上回る高速な制御が必要な分野での活用が可能となる。この低遅延は、ネットワークの末端にデータ処理機能を配置するエッジコンピューティングの概念と連携して実現される。データ処理をユーザーに近いエッジ部分に分散配置することで、データの往復時間を短縮し、リアルタイム性が求められるサービスでの遅延を最小限に抑える。自動運転車の車両制御、遠隔ロボット手術、産業用ロボットの協調制御など、高度な遠隔操作を伴う分野で不可欠な技術となる。 三つ目の「多数同時接続」は、一つの基地局が同時に接続できるデバイスの数を飛躍的に増やす能力である。これは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスのように、センサーや機器が大量にネットワークに接続される状況に対応するために不可欠な特徴である。スマートメーターや環境センサー、ウェアラブルデバイスなど、多数の低電力デバイスが頻繁にデータを送信する状況を想定し、5Gはこれらからの接続要求を効率的に処理できる。電力効率の改善も重要な要素であり、デバイスのバッテリー寿命を延ばし、メンテナンスの手間を削減することでIoTシステムの普及を加速させる。この多数同時接続能力により、スマートシティやスマートファクトリーなど広範囲なIoT環境の構築が可能となり、あらゆる「モノ」がインターネットに接続され、協調動作する社会の実現が期待される。 第5世代移動通信システムを支えるネットワークアーキテクチャも大きく進化している。ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)やネットワーク機能仮想化(NFV)といった技術が積極的に活用され、ネットワークの柔軟性と効率性が高められている。SDNは、ネットワーク機器の制御機能とデータ転送機能を分離し、ネットワーク全体の管理をソフトウェアで一元的に行う。NFVは、ネットワーク機器の機能を汎用サーバー上でソフトウェアとして実行し、特定のハードウェアに依存しない柔軟なネットワーク構築を可能にする。これらの技術の上に「ネットワークスライシング」という重要な概念が実現される。ネットワークスライシングとは、一つの物理的なネットワークインフラストラクチャの上に、用途や要件に応じて仮想的な複数の論理ネットワーク(スライス)を動的に構築する技術である。自動運転、動画視聴、IoTデバイスといった用途別に、超低遅延・高信頼性、超高速大容量、多数接続・省電力などの特性を持つスライスをといった形で、それぞれのサービスに最適なネットワーク環境を提供できる。これにより、多様なサービス要求に柔軟に対応し、ネットワークリソースの効率的な利用が可能となる。 このように、第5世代移動通信システムは、社会のあらゆる産業やインフラに変革をもたらす可能性を秘めている。MaaS(Mobility as a Service)のような次世代交通システム、遠隔医療、スマートファクトリーなど、5Gの活用によって新たなサービスやビジネスが次々と生まれることが期待される。現在の5G技術はまだ進化の途上にあり、今後も様々な技術改良や標準化が進められていく。そして、この5Gの先に、Beyond 5Gや6Gといった未来の通信技術へと繋がっていく。

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