NVRAM(エヌブイラム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NVRAM(エヌブイラム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
不揮発性ランダムアクセスメモリ (フキハツセイランダムアクセスメモリ)
英語表記
NVRAM (エヌブイラム)
用語解説
コンピュータシステムにおいて、メモリはデータの保存に不可欠な要素である。その中でも「NVRAM(エヌブイラム)」とは、「Non-Volatile Random Access Memory」の略称であり、不揮発性ランダムアクセスメモリを意味する。一般的なメモリ(揮発性メモリ)であるDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)が、電源供給が停止すると保存していたデータが消去されてしまうのに対し、NVRAMは電源が供給されていなくてもデータを保持し続ける特性を持つ。同時に、ランダムアクセスが可能であるため、データに高速かつ任意のアドレスから読み書きができるというRAM(Random Access Memory)としての性質も併せ持つ。この特性により、システムの起動設定やネットワーク機器の設定など、電源を切っても消えては困るが、必要に応じて内容を更新したいという情報を保存するのに適したメモリである。
より詳細にNVRAMの機能と重要性を見ていこう。コンピュータシステムにおけるメモリは大きく「揮発性」と「不揮発性」に分けられる。DRAMやSRAMは揮発性メモリであり、主にPCのメインメモリやCPUキャッシュとして、一時的に大量のデータを高速に処理するために使われる。しかし、電源を切れば情報は失われる。これに対し、ROM(Read Only Memory)は不揮発性メモリの代表であり、BIOSやファームウェアといった基本的に書き換えが不要な、または特殊な手順を要する固定的なプログラムを保存するのに用いられる。NVRAMは、この揮発性RAMと不揮発性ROMの間に位置し、不揮発性というROMの特性と、高速なランダムアクセスおよび書き換えが可能というRAMの特性を融合したメモリと言える。つまり、NVRAMは、電源がなくてもデータを失わず、かつ必要に応じてそのデータを自由に読み書きし、更新できるという、両者の利点を併せ持つメモリ技術の総称である。
NVRAMは単一の技術を指すのではなく、複数の技術によって実現されている。最も古くから利用されてきたNVRAMの一種に「バッテリーバックアップSRAM」がある。これは、高速なSRAMと小型のリチウム電池などを組み合わせたもので、PCのマザーボード上に搭載され、BIOS(Basic Input/Output System)やUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)の設定情報(時刻、日付、起動順序、ハードウェア構成など)を保存する「CMOS RAM」として広く知られていた。電源がPC本体から供給されない場合でも、バッテリーからの電力でSRAMの内容を維持する仕組みである。しかし、バッテリーには寿命があり、消耗すると設定情報が初期化されるという課題があった。
現代のシステムで主流となっているのは、「フラッシュメモリベースのNVRAM」である。これはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やNOR型、NAND型フラッシュメモリといった不揮発性メモリを基盤とする。これらのメモリは電気的にデータを消去・書き換えが可能であり、バッテリーが不要で半永久的にデータを保持できる点が大きな特徴である。書き込み速度はSRAMに劣るものの、大容量化に適しており、書き換え回数に制限がある(数万回から数百万回程度)という特性を持つ。現代のPCのUEFI設定情報、スマートフォンやタブレットの設定、USBメモリ、SDカード、そしてSSD(Solid State Drive)などに幅広く利用されており、特にSSDは、NAND型フラッシュメモリを多数搭載し、OSやアプリケーション、ユーザーデータを永続的に保存する大容量のストレージデバイスとして機能しているため、広義のNVRAMの一種と捉えることもできる。
さらに、次世代のNVRAM技術として期待されているものも存在する。「MRAM(Magnetoresistive RAM)」は、磁気抵抗効果を利用したメモリであり、不揮発性、高速アクセス、高い書き換え耐性を兼ね備える。現状では製造コストが高いが、将来的にCPUキャッシュや組み込みシステムでの利用が期待されている。「FeRAM(Ferroelectric RAM)」は、強誘電体を用いたメモリで、低消費電力、高速書き込み、高い書き換え回数を特徴とし、スマートカードやRFIDタグなどで既に実用化されている。「PCRAM(Phase-change RAM)」は、物質の相変化を利用するメモリで、MRAMやFeRAMと同様に高速性と不揮発性を両立する次世代メモリとして研究開発が進められている。これらの次世代技術は、既存のメモリ技術の限界を超える可能性を秘めており、より高性能で信頼性の高いシステム構築に貢献すると期待されている。
NVRAMの主な用途は多岐にわたる。最も身近な例は先述の通り、PCのBIOS/UEFI設定情報の保存である。これにより、電源をオフにしてもPCの起動設定が失われることなく、常にユーザーが意図した状態でシステムを起動できる。また、ルーターやスイッチといったネットワーク機器においても、IPアドレス、ルーティングテーブル、セキュリティ設定などの重要な設定情報を永続的に保存するためにNVRAMが活用されている。これにより、機器の再起動後もネットワーク環境をすぐに復旧させることが可能となる。組み込みシステムにおいてもNVRAMは不可欠である。例えば、産業用制御機器、自動車のECU(Electronic Control Unit)、家電製品などで、電源喪失後も機器の状態や設定、エラーログなどを保持するために利用される。
NVRAMがシステムにもたらすメリットは大きい。電源オフ後も設定が保持されるため、システムを再起動するたびに設定し直す手間が省け、起動時間を短縮できる。また、システムの状態を確実に永続化できるため、不慮の停電などがあっても設定が失われるリスクを低減し、システムの安定運用に貢献する。これは、現代のシステムが常に最適な状態で動作し続けるために非常に重要な要素である。一方でデメリットも存在する。一般的な揮発性RAMに比べて、同容量あたりのコストが高い傾向にあること、またフラッシュメモリベースのNVRAMでは書き換え回数に寿命があること、バッテリーバックアップSRAMではバッテリー自体の寿命があることなどが挙げられる。しかし、これらの課題は技術の進歩とともに改善されつつあり、NVRAMは現代の多様な情報システムにおいて不可欠な役割を担っている。システムエンジニアを目指す上では、NVRAMがどのような場面で、どのような目的で利用されているかを理解しておくことが重要である。