RID(アールアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RID(アールアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
相対識別子 (ソウタイシキシヨウシ)
英語表記
RID (アールアイディー)
用語解説
RID(Relative Identifier)は、WindowsのActive Directory環境において、ドメイン内の各セキュリティプリンシパル(ユーザー、グループ、コンピューターなどのセキュリティ識別情報を持つオブジェクト)を一意に識別するための番号である。RIDはSID(Security Identifier)の一部を構成し、ドメイン内でオブジェクトが作成される際に割り当てられる。SIDがWindows環境におけるセキュリティオブジェクト全体を一意に識別するのに対し、RIDは特定のドメイン内での相対的な識別子として機能する。システムはRIDを用いて、どのオブジェクトがどのようなアクセス権を持つかを判断し、セキュリティポリシーの適用やリソースへのアクセス制御を行うため、Windowsベースのネットワーク環境におけるセキュリティと管理の根幹をなす重要な要素の一つである。
RIDは単独で機能するわけではなく、SIDというより大きな識別子の一部として存在する。SIDは「S-1-5-21-ドメイン識別子-RID」のような形式で構成され、Windowsシステム全体でオブジェクトを一意に識別する。このSIDのうち、「S-1-5-21」は固定のプレフィックス、「ドメイン識別子」は特定のドメインを一意に識別する番号であり、そして最後の「RID」がそのドメイン内で各セキュリティプリンシパルを識別する番号となる。つまり、SIDが地球上の住所だとすれば、ドメイン識別子が「国」や「都道府県」にあたり、RIDは「市区町村以下の詳細な番地」のようなものと考えると理解しやすいだろう。これにより、たとえ異なるドメインに同じ名前のユーザーが存在したとしても、SID全体としては一意に識別され、それぞれのアクセス権限が混同されることはない。RIDはドメイン内でのみ一意性を保証するため、同じRIDが異なるドメインに存在することはあり得る。
Active Directoryでは、新しいユーザーアカウントやグループ、コンピューターアカウントなどが作成されるたびに、そのオブジェクトに対して一意のRIDが割り当てられる。このRIDの割り当てプロセスは、Active Directoryのドメインコントローラーが担う役割の一つであり、特に「RIDマスター」と呼ばれる特定のドメインコントローラーがこの重要な機能を管理する。RIDマスターは、Active DirectoryのFSMO(Flexible Single Master Operation)ロールの一つであり、ドメイン内のRID割り当ての一貫性と一意性を保証する単一の権威的なソースとして機能する。RIDマスターは、ドメイン内のすべてのドメインコントローラーが使用するRIDプールの生成と配布を制御する責任を負う。
RIDマスターは、RIDプールと呼ばれる一連の未使用のRIDのブロックを管理している。新しいオブジェクトが作成される際、ドメインコントローラーは、自身が割り当て可能なRIDのブロック(RIDプール)を使い果たしそうになると、RIDマスターにRIDの新しいブロックを要求する。RIDマスターは、そのドメインコントローラーに対して未使用のRIDのブロック(例えば、500個や1000個のRIDの範囲)を払い出す。払い出されたRIDのブロックを受け取ったドメインコントローラーは、そのブロック内のRIDを順番に新しいオブジェクトに割り当てていく。この仕組みにより、複数のドメインコントローラーが存在する環境でも、RIDの重複を防ぎながら効率的にオブジェクトに一意の識別子を割り当てることが可能となる。これにより、ドメイン内の各オブジェクトが常に一意のRIDを持つことが保証され、セキュリティ上の問題や混乱が発生することを防ぐ。
RIDは整数値であり、通常はアカウントやグループの作成順に増加していく。RIDの数値は有限であるため、非常に大規模なドメインで膨大な数のセキュリティプリンシパルが作成され続けた場合、RIDが枯渇する可能性もゼロではない。RIDの最大値は約20億と非常に大きいが、長期間運用される大規模な環境では考慮すべき課題となる。もしRIDが枯渇してしまった場合、システムは新しいセキュリティプリンシパルを作成できなくなり、新規ユーザーの追加や新しいコンピューターのドメイン参加ができなくなるなど、ドメインの機能に重大な影響を及ぼす。このような事態を避けるためには、定期的にRIDマスターのイベントログを監視し、RIDプールの残量を把握することが重要である。特にイベントID 16650、16651、16652はRIDプールの状況を示す重要な警告である。RIDの枯渇が近づいている兆候が見られた場合は、Active Directoryの設計を見直したり、不要なオブジェクトを削除したりするなどの対策が必要となる。
RIDは、システムのセキュリティと管理において非常に重要な役割を担っている。各オブジェクトに一意のRIDが割り当てられることで、Windowsはそれぞれのオブジェクトの権限を正確に管理し、不正なアクセスを防ぐことができる。また、RIDを通じてオブジェクトのライフサイクル(作成、変更、削除)を追跡し、監査ログを通じてセキュリティイベントを詳細に記録することも可能となる。したがって、RIDの適切な管理は、Active Directoryの健全性とセキュリティを維持するために不可欠な要素と言える。システムエンジニアを目指す上では、RIDがどのように機能し、Active Directory環境でどのような役割を果たすかを理解することは、堅牢なシステム構築と運用を行う上で基本中の基本となる知識である。