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Tivoli(ティボリ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Tivoli(ティボリ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

チボリ (チボリ)

英語表記

Tivoli (チボリ)

用語解説

Tivoliは、かつてIBMが提供していたITシステム管理製品群のブランド名である。Tivoliという名称は、もともとTivoli Systemsという独立した企業に由来し、1996年にIBMによって買収された後、IBMのシステム管理ソフトウェアの中核ブランドとして広く知られるようになった。その目的は、企業が抱える複雑なITインフラストラクチャ、具体的にはサーバー、ネットワーク、ストレージ、アプリケーション、セキュリティ、さらにはIT資産全体を効率的かつ統合的に管理することにあった。大規模な企業システムにおいて、人手による運用では限界がある中で、自動化、監視、最適化、セキュリティ強化といった側面から、IT運用の効率化と安定稼働を支援するツールとして利用された。

Tivoli製品群は、単一のソフトウェアではなく、多岐にわたる機能をカバーする一連のソフトウェアスイートとして提供された。その守備範囲は非常に広く、IT運用管理のほぼすべての領域を網羅していたと言っても過言ではない。例えば、システム全体の健全性をリアルタイムで監視し、パフォーマンスの問題や障害の兆候を早期に検知するための「監視・パフォーマンス管理」機能があった。これは、CPU使用率、メモリ消費量、ネットワークトラフィック、ディスクI/Oといった基本的なリソースから、データベースやアプリケーションの応答時間に至るまで、様々なメトリックを収集・分析し、異常があれば管理者に通知することで、問題発生前の予防保全や迅速なトラブルシューティングを可能にした。代表的な製品には、Tivoli Monitoringや、大規模なイベントを統合管理するTivoli Netcool/OMNIbusなどがあった。

また、企業の重要なデータを保護するための「ストレージ管理」機能もTivoliの柱の一つだった。Tivoli Storage Manager(現在のIBM Spectrum Protect)は、サーバーのバックアップとリカバリ、アーカイブ、災害復旧といったデータ保護のニーズに応え、多様なストレージデバイスと連携してデータの安全性を確保した。これにより、システムの障害や人的ミス、自然災害などによるデータ損失のリスクを最小限に抑え、ビジネス継続性を支える役割を担った。

今日のITシステムにおいて最も重要な要素の一つである「セキュリティ管理」もTivoliの得意とする分野だった。Tivoli Access ManagerやTivoli Identity Manager(現在のIBM Security Access Manager、IBM Security Identity Managerなどの前身)といった製品群は、企業内のユーザーのID(識別情報)を一元的に管理し、どのユーザーがどのシステムや情報にアクセスできるかを制御する「ID・アクセス管理」を提供した。これにより、不正アクセスを防ぎ、情報漏洩のリスクを低減するだけでなく、コンプライアンス(法令遵守)要件への対応も支援した。例えば、システムへのログイン履歴や操作履歴を記録し、監査証跡として利用できる機能も含まれていた。

さらに、ITインフラストラクチャ全体の「アセット・サービス管理」にもTivoliは力を入れた。これは、企業が所有するサーバー、ネットワーク機器、ソフトウェアライセンスといったIT資産を管理し、その構成情報、変更履歴、依存関係などを把握するためのもので、Tivoli Application Dependency Discovery Manager (TADDM) やTivoli Change and Configuration Management Database (CCMDB) といった製品が中心となった。これらのツールは、ITサービスの提供に必要な要素がどのように連携し、どのような状態にあるかを可視化することで、インシデント管理、問題管理、変更管理といったITサービスマネジメントのプロセスを効率化し、サービスの安定供給に貢献した。

他にも、企業のビジネスプロセスを構成するジョブやタスクの実行を自動化・最適化する「ワークロード管理」機能を持つTivoli Workload Schedulerなど、多種多様な製品が存在した。Tivoli製品群は、それぞれが特定の管理領域を担当しつつも、相互に連携し合うことで、企業全体のIT運用を統合的に、かつ効率的に管理できるソリューションを提供した。これにより、IT部門は運用にかかる手間を削減し、コストを最適化し、より戦略的なIT投資に集中できるようになった。

しかし、近年では、IBMの製品戦略の変化に伴い、「Tivoli」というブランド名が前面に出る機会は減少している。Tivoliの名を冠していた多くの製品は、より具体的な機能領域を示す新しいブランド名、例えば「IBM Spectrum」(ストレージ製品群)、「IBM Security」(セキュリティ製品群)、「IBM Cloud Pak for AIOps」(運用管理製品群)といった形で再編され、あるいはIBM Cloudのサービスとして提供されるようになっている。これは、クラウドコンピューティングやAI、DevOpsといった新たな技術トレンドに対応し、製品の位置づけをより明確にするための動きである。Tivoliというブランドそのものは歴史的なものとなりつつあるが、その根底にあった「統合的なITシステム管理」という思想と、そこで培われた技術やノウハウは、IBMの現在の多くの管理製品やサービスの中にしっかりと引き継がれ、進化を続けていると言える。システムエンジニアを目指す上では、Tivoliという名称が指していた広範なIT管理領域とその重要性を理解することが、今日の複雑なエンタープライズITシステムを管理していく上での基礎知識となる。

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