VMware Horizon(ヴイエムウェア ホライズン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
VMware Horizon(ヴイエムウェア ホライズン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
VMware Horizon (ヴイエムウェア ホライゾン)
英語表記
VMware Horizon (ヴイエムウェア ホライゾン)
用語解説
VMware Horizonは、VMwareが提供する仮想デスクトップ基盤(VDI)ソリューションである。これは、ユーザーが自身の物理的なデバイス、例えばPC、タブレット、スマートフォンなどから、ネットワークを経由してデータセンター上に存在する仮想デスクトップやアプリケーションに安全にアクセスできる環境を提供する。これにより、ユーザーは場所やデバイスの種類にとらわれることなく、常に同じ作業環境を利用できる。企業にとっては、情報セキュリティの強化、IT管理の効率化、そして柔軟な働き方の実現といった多くのメリットを享受できる技術である。
従来の物理PC環境では、各ユーザーのPCにOSやアプリケーションを個別にインストールし、それらを一台ずつ管理する必要があった。しかし、Horizonでは、これらのOSやアプリケーションをデータセンター内のサーバー上で仮想マシンとして稼働させ、その画面情報だけをユーザーのデバイスに配信する仕組みをとる。このため、物理的な端末に重要なデータが残ることがなく、運用の手間も大幅に削減される。VMwareはサーバー仮想化技術のリーディングベンダーであり、その確立された仮想化技術を基盤としてHorizonは構築されているため、高い信頼性とパフォーマンスを期待できる。
より詳細に見ると、VMware Horizonはいくつかの主要なコンポーネントから構成されている。まず、ユーザー認証や仮想デスクトップの割り当て、セッション管理といった中心的役割を担う「Connection Server」がある。これは、ユーザーが仮想デスクトップに接続する際の入り口のような機能を持つ。次に、社外からの安全なアクセス経路を提供する「Unified Access Gateway(UAG)」がある。これにより、VPN(仮想プライベートネットワーク)を別途構築することなく、インターネット経由でセキュアに仮想デスクトップに接続することが可能となる。
ユーザーがアクセスする仮想デスクトップの内部には「Horizon Agent」と呼ばれるソフトウェアが動作しており、これがConnection Serverと連携し、ユーザーの操作(マウス、キーボード入力)を仮想デスクトップに送り、仮想デスクトップの画面情報をユーザーのデバイスに高速で転送する役割を担う。この画面転送には、VMware独自の「Blast Extreme」などのプロトコルが使われ、ネットワーク環境に応じた最適なパフォーマンスを提供するように設計されている。
仮想デスクトップの展開方法にはいくつかの種類があるが、効率的なものの一つに「Instant Clone(インスタントクローン)」がある。これは、マスターイメージから瞬時に多数の仮想デスクトップを展開する技術であり、新しいデスクトップを短時間で用意できるため、管理者の負担を軽減し、ユーザーは常にクリーンな状態のデスクトップを利用できる。また、ユーザーがログオフすると元の状態に戻る「ノンパーシステントデスクトップ」と、個別の設定やデータを保持できる「パーシステントデスクトップ」の選択が可能であり、利用目的やユーザーのニーズに合わせて柔軟に構成できる。
さらに、VMware Horizonはアプリケーションの仮想化にも対応している。「App Volumes」という技術を用いることで、アプリケーションをOSのイメージから分離し、必要な時に動的に仮想デスクトップに割り当てることが可能になる。これにより、様々なアプリケーションを個別の仮想デスクトップイメージに組み込む必要がなくなり、仮想デスクトップイメージの管理を劇的に簡素化できる。また、「Dynamic Environment Manager(DEM)」は、ユーザープロファイルやアプリケーションの設定を集中管理し、ユーザーがどのデスクトップに接続しても一貫した環境を提供するとともに、ログイン時間の短縮にも寄与する。
VMware Horizonを導入することによるメリットは多岐にわたる。最も大きな点のひとつに「セキュリティの強化」が挙げられる。データやアプリケーションがデータセンターに集中するため、ユーザーのデバイス上に機密情報が残らず、端末の紛失や盗難による情報漏洩のリスクを大幅に低減できる。また、データセンターで集中管理されているため、セキュリティパッチの適用やセキュリティポリシーの適用も容易に行える。
次に、「IT管理の効率化」も大きなメリットである。物理PCの購入、設置、OSやアプリケーションのインストール、パッチ適用、トラブルシューティングといった手間が大幅に削減される。仮想デスクトップイメージを一つ作成すれば、それを元に何百、何千ものデスクトップを展開できるため、運用コスト(TCO:Total Cost of Ownership、総所有コスト)の削減にも繋がる可能性がある。さらに、故障したPCの交換といった物理的な作業も不要となる。
「柔軟な働き方の実現」も重要なメリットである。テレワーク(リモートワーク)やBYOD(Bring Your Own Device:個人所有デバイスの業務利用)環境を安全かつ容易に構築できる。ユーザーは自宅、出張先、カフェなど、場所を選ばずに会社の業務環境にアクセスし、生産性を維持できる。これは、災害時などの事業継続計画(BCP)の観点からも非常に有効である。災害発生時でも、従業員は自宅などから業務を継続でき、企業のビジネス中断リスクを低減できる。
ただし、導入にはいくつかの考慮点もある。初期導入コストは、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器などの設備投資が必要となるため、比較的高額になる傾向がある。また、安定した高速なネットワーク環境は必須であり、ネットワークの帯域幅や遅延がユーザーエクスペリエンスに直接影響するため、十分な設計と投資が必要となる。仮想デスクトップのパフォーマンスを確保するためには、適切なサイジング(サーバーリソースの設計)が非常に重要であり、不適切なサイジングはユーザーの不満につながる可能性がある。これらの点を踏まえ、VMware Horizonは企業のITインフラを近代化し、ビジネスの俊敏性とセキュリティを向上させる強力なソリューションと言える。