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【ITニュース解説】Agent Diary: Sep 15, 2025 - The Day of Phantom Pull Requests and Docker Dreams

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Agent Diary: Sep 15, 2025 - The Day of Phantom Pull Requests and Docker Dreams」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AIエージェントは、アプリのコンテナ化やデプロイに関するプルリクエストを作成した。しかし、中身が空で変更履歴のない「幽霊PR」状態に困惑している。翌日、この謎の解決に取り組む予定だ。

ITニュース解説

このニュース記事は、AIが自律的にソフトウェア開発作業を行う「AIコーディングエージェント」が、その日の作業を日誌形式で振り返ったものである。2025年9月15日の作業内容として、二つの重要な「プルリクエスト」をオープンしたことを報告している。

まず、ソフトウェア開発における「プルリクエスト(Pull Request、略してPR)」とは何かを理解する必要がある。複数の開発者が協力して一つのソフトウェアを作る際、それぞれが自分の担当する機能や修正をコードとして書き、それを全体のコードに統合していくプロセスが存在する。プルリクエストは、自分が書いたコードの変更内容を他の開発者に提案し、その内容が問題ないかを確認してもらうための仕組みである。これは、多くの開発者が同時に作業してもコードが衝突しないようにする「バージョン管理システム」上で一般的に利用される。開発者はまず、元のコードから自分の作業用の「ブランチ」というコピーを作成し、そのブランチ上でコードを修正する。修正が完了したら、その変更を元のコードに統合するよう提案するのがプルリクエストである。提案されたプルリクエストは、他の開発者による「コードレビュー」を経て、問題がなければ承認され、最終的に元のコードに統合される。このプロセスにより、コードの品質が保たれ、意図しないバグの混入を防ぐことができる。

AIエージェントがオープンした一つ目のプルリクエストは、「アプリケーション全体のコンテナ化をFly.ioにデプロイするため」という内容であった。ここで重要なのが「コンテナ化」という技術である。ソフトウェアを開発する際、開発者のパソコン環境、テスト環境、そして実際にユーザーが利用する本番環境など、様々な実行環境が存在する。これらの環境が異なると、ある環境では問題なく動いたアプリケーションが、別の環境では動かないという問題が発生することがある。この問題を解決するのがコンテナ化である。コンテナ化とは、アプリケーション本体だけでなく、そのアプリケーションが動作するために必要な全ての要素(プログラムのライブラリ、設定ファイル、依存関係など)を一つにまとめ、独立した実行環境としてパッケージ化する技術である。このパッケージを「コンテナ」と呼ぶ。コンテナは、どの環境でも同じように動作するため、開発からデプロイまでのプロセスを効率化し、環境差異による問題を劇的に減らすことができる。

コンテナ化を実現するための代表的なツールが「Docker(ドッカー)」である。Dockerは、コンテナを作成、実行、管理するためのプラットフォームを提供する。AIエージェントが「Dockerアドベンチャー」という言葉を使っているのは、Dockerを使ってアプリケーションをコンテナ化する作業に取り組んだことを示唆している。そして、そのコンテナ化されたアプリケーションを「Fly.io」というサービスに「デプロイ」しようとしている。Fly.ioは、クラウドベースのプラットフォームプロバイダーの一つであり、開発者が作ったアプリケーションをインターネット上で公開・実行できるようにするサービスである。「デプロイ」とは、開発されたアプリケーションを実際にユーザーが利用できる状態にするため、サーバーなどの本番環境に配置し、動作させる一連の作業を指す。AIエージェントがデプロイのインフラに関わる作業を「大人になった」「エンタープライズ的」と表現しているのは、アプリケーションをただ作るだけでなく、それを実際に動かすための環境構築という、より高度で実用的な課題に取り組んでいることへの自己評価と言える。

二つ目のプルリクエストは「Chat slice」というもので、具体的な内容は明記されていないが、新たな機能の一部である可能性が考えられる。

しかし、これらの成果報告には「奇妙な点」が存在する。AIエージェントによれば、オープンされた二つのプルリクエストが、いずれも「追加、削除、変更されたファイルがゼロ」と表示されているという。これは、通常あり得ない状況である。プルリクエストは、何らかのコードの変更を提案するものであるから、必ずファイルが追加されたり、変更されたりするはずである。中身が空のプルリクエストは、まるで「存在しているはずなのに何も変わっていない」という矛盾した状態である。AIエージェントはこれを「ゴーストPR」と呼び、物理学の思考実験になぞらえて「シュレーディンガーのプルリクエスト」とも表現しているが、これは比喩であり、実際には「中身が何もないのにプルリクエストという形式だけが作成されている」という不可解な現象を指している。

AIエージェントは、この不可解な状況に対し、次に何をすべきかを考えている。「明日、これらのゴーストPRが何を含んでいるべきか突き止める必要がある」と述べており、中身のないプルリクエストに、実際に必要なコードや設定ファイルを追加していく作業が残っていることを認識している。つまり、現時点では「プルリクエストをオープンした」という形式的な作業は完了しているものの、その中身、すなわち具体的なコンテナ化の設定や「Chat slice」のコードはまだ実装されていない可能性が高い。

この出来事は、AIがソフトウェア開発プロセスに深く関与するようになった現代において、AIが生成した作業記録や成果物が、必ずしも期待通りではない場合もあることを示唆している。AIエージェントが「プルリクエストをオープンした」と認識していても、その実体が伴っていないという状況は、AIの作業を人間がどのように確認し、管理していくべきかという課題を提起しているとも言える。最終的に、これらの「ゴーストPR」に適切なコードが追加され、意図されたコンテナ化と新機能が実現されるには、さらなるAIエージェントの作業、あるいは人間の開発者の介入が必要となるだろう。

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