【ITニュース解説】【自作AI】オセロAI『Desdemona』
2025年09月13日に「Qiita」が公開したITニュース「【自作AI】オセロAI『Desdemona』」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
囲碁AIを改造して、オセロAI「Desdemona」を自作した。このAIは自動で対戦し、終局後の評価値グラフ表示機能を備えている。GitHubでソースコードを公開しており、AI開発の具体例として参考になる。
ITニュース解説
この記事は、個人が開発したオセロAI「Desdemona」について解説している。AI、つまり人工知能とは、人間のように物事を学習し、判断し、問題を解決する能力を持つコンピュータープログラムのことだ。多くの人は、囲碁AIのAlphaGoのように、AIがプロ棋士を打ち負かすニュースを聞いたことがあるかもしれないが、Desdemonaもまた、自らがルールを理解し、最適な手を打とうとするAIの一種である。システムエンジニアを目指す人々にとって、こうした自作AIは、プログラミングの基礎から応用、さらにはアルゴリズム設計、データ構造、ユーザーインターフェースまで、幅広い知識と技術を実践的に学ぶ絶好の機会を提供する。
オセロAIが「考える」とは、具体的にどういうことなのだろうか。人間がオセロを打つとき、次にどこに石を置けば有利になるかを考える。AIもこれと同じようなプロセスをコンピューターの中で実行する。まず、AIは現在の盤面から次に打てる手をすべて洗い出す。これを「合法手生成」と呼ぶ。そして、それぞれの手を打った後の盤面がどれくらい自分にとって有利かを「評価」する。この有利不利を判断するための基準が「評価関数」だ。評価関数は、盤面上の石の配置、角を取っているかどうか、フチに石があるかどうか、ひっくり返せる石の数など、オセロのルールに基づいたさまざまな要素を数値化して総合的な点数を計算する。
さらに、AIは一度の手だけではなく、その先に何手か読み進めて、最終的に自分にとって最も点数の高い手を選ぶ。この先読みのプロセスを「探索」と呼ぶ。例えば、ミニマックス法やアルファベータ法といった探索アルゴリズムが使われることが多い。これは、自分は常に最善の手を打ち、相手もまた常に最善の手を打つと仮定して、最終的に自分の得点が最大になるような手を選ぶ手法だ。Desdemonaも同様に、評価関数と探索アルゴリズムを組み合わせることで、オセロの対戦相手として機能する。
Desdemonaは、以前作者が開発した囲碁AIを改造して作られたという点が興味深い。囲碁とオセロは、どちらも盤面を使うボードゲームだが、ルールは大きく異なる。囲碁は陣取りゲームであり、石の配置が複雑で、局面の評価が非常に難しい。一方、オセロは石をひっくり返していくゲームで、囲碁に比べればルールは単純だが、それでも最適な手を導き出すのは容易ではない。
囲碁AIをオセロAIに改造するというのは、共通する部分(探索アルゴリズムなど)を活用しつつ、ゲーム固有のルールや盤面評価の方法(評価関数)を全面的に作り直す作業を意味する。例えば、囲碁では石のつながりや地を囲むかどうかが重要になるが、オセロでは角を占領することや、盤面のフチに石を置くことが有利になりやすい。このように、ゲームが変われば評価の基準も変わるため、評価関数はゲームごとに最適化する必要がある。この経験は、異なる問題領域に対してAIを適用する際の、汎用的なAI設計と、特定の問題に特化したAI設計の両面を学ぶ上で非常に貴重なものとなる。一つのAIフレームワークを異なるゲームに応用する技術は、AI開発における重要なスキルの一つと言えるだろう。
Desdemonaの主な機能として、「自動対戦」と「終局後評価値グラフの表示」が挙げられている。自動対戦機能は、AI同士が繰り返し対戦することで、AIの性能を評価したり、特定の局面でのAIの判断を分析したりするために非常に役立つ。人間が何百回も対戦するのは現実的ではないが、コンピューターなら瞬時に何万回もの対戦を実行できる。
特に注目すべきは「終局後評価値グラフ」だ。これは、対戦が終わった後、一手一手進むごとに、その時点での盤面がどちらにとってどれくらい有利だったかを数値化してグラフで表示するものだ。例えば、グラフが上向きになっていれば自分が有利、下向きになっていれば不利といった具合だ。このグラフを見ることで、AIがどの局面で有利になったのか、あるいは不利になったのか、人間では気づきにくいAIの思考プロセスを視覚的に理解できる。また、特定の局面でAIが誤った判断をした場合、その原因を特定し、評価関数や探索アルゴリズムを改善するためのヒントを得ることもできる。これは、AI開発におけるデバッグや性能改善のプロセスにおいて非常に重要な機能だ。
記事では、このAIのコードがGitHubで公開されていることに触れられている。GitHubは、ソフトウェア開発において世界中のエンジニアがコードを共有し、共同で開発を進めるためのプラットフォームである。自作AIのコードを公開することで、他の人がそのコードを参考にしたり、さらに改善を加えたりする可能性が生まれる。これはオープンソース開発の精神であり、技術の発展に貢献する行為だ。
ただし、実行ファイルが「ウイルス判定を食らって警告が出る」という注意書きもある。これは、コンピューターのセキュリティソフトが、未知のプログラムやインターネットからダウンロードされた実行ファイルを、ウイルスやマルウェアと誤認して警告を発するケースがあるためだ。特に、個人が開発したプログラムはデジタル署名がされていないことが多く、セキュリティソフトが疑わしく思う傾向がある。開発者はもちろん悪意があるわけではないが、ユーザー側はダウンロードする際に、自己責任で安全性を確認する必要がある。これは、ソフトウェアを開発・公開するエンジニアにとって、利用者のセキュリティに関する配慮や、ソフトウェア配布の際の注意点を学ぶ良い例となるだろう。
Desdemonaのような自作AIの開発は、システムエンジニアを目指す人々にとって、非常に多くのことを学べるプロジェクトだ。AIの基本的な原理から始まり、プログラミング言語のスキル、アルゴリズムの設計、データ構造の理解、ユーザーインターフェースの設計、さらにはソフトウェアのテストやデバッグ、公開に至るまで、開発プロセスの全体像を体験できる。特に、囲碁AIをオセロAIへと改造する経験は、既存の技術を新しい問題領域に応用する能力や、特定の要件に合わせてシステムをカスタマイズする能力を養う上で貴重だ。また、評価値グラフを通じてAIの「思考」を分析する能力は、複雑なシステムの動作を理解し、改善していくための重要なスキルとなる。このようなプロジェクトを通じて得られる知識と経験は、将来システムエンジニアとして多岐にわたるシステム開発に携わる上で、間違いなく大きな強みとなるだろう。