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【ITニュース解説】生成AIはパブリッククラウド市場も拡大させる? 富士キメラ総研が市場拡大の要因を分析

2025年09月18日に「@IT」が公開したITニュース「生成AIはパブリッククラウド市場も拡大させる? 富士キメラ総研が市場拡大の要因を分析」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

富士キメラ総研は、生成AIやマルチクラウドの普及により、国内パブリッククラウド市場が2030年度に6兆円超へ大きく拡大すると予測した。これは、企業におけるクラウド活用がさらに進むことを示している。

ITニュース解説

富士キメラ総研の市場予測によると、国内のパブリッククラウドサービス市場は、2030年度には6兆2515億円という巨大な規模にまで拡大する見込みだ。この大幅な成長の背景には、マルチクラウドの利用が一般的になりつつあることと、AI、特に最近注目を集める生成AI技術の急速な普及がある。

まず、パブリッククラウドとは、自社でサーバーやネットワーク機器といったITインフラを所有せず、インターネットを通じて専門の事業者から必要なITリソースを借りて利用する形態を指す。例えば、ウェブサイトを公開するためのサーバーや、大量のデータを保存するストレージ、さらには複雑な計算処理を行うためのコンピューター資源などを、必要な時に必要なだけ、月額や従量課金で利用できる。これにより、企業は高額な初期投資を抑え、システムの構築や運用にかかる手間や時間を大幅に削減できる。また、事業の成長に合わせてITリソースを柔軟に増減できるため、ビジネスの変化に素早く対応できる点が大きなメリットである。

このパブリッククラウド市場の成長を後押しする要因の一つが、マルチクラウドの浸透だ。マルチクラウドとは、複数の異なるパブリッククラウドサービスを組み合わせて利用することを意味する。例えば、ある業務システムはA社のクラウドを使い、別のシステムはB社のクラウドを利用するといった形だ。なぜ企業はこのような方法を選ぶのかというと、それぞれのクラウドサービスが持つ得意分野を最大限に活用できるからである。特定のクラウドベンダーに依存してしまう「ベンダーロックイン」のリスクを避け、災害やシステム障害が発生した際にサービスが停止するリスクを分散できる。また、各クラウドの料金体系や提供機能を比較し、それぞれのワークロード(処理内容)に最適なクラウドを選ぶことで、コストを最適化し、より高性能なシステムを構築することも可能となる。こうした戦略的な利用が広がることで、複数のクラウドサービスに対する需要が増し、結果としてパブリッククラウド市場全体の拡大に繋がっている。

もう一つの主要な市場拡大要因は、AI技術の普及、とりわけ生成AIの登場と急速な進化である。AI(人工知能)とは、人間の知的な活動をコンピューターで模倣しようとする技術全般を指す。その中でも生成AIは、テキスト、画像、音声、プログラムコードなど、多様なデータを「生成」する能力を持つAIモデルである。例えば、文章から絵を描いたり、質問に答えて文章を作成したり、あるいは既存のデータから新しいデザインを提案したりと、その応用範囲は非常に広い。この生成AIは、企業の業務効率化や新たなサービス開発の可能性を大きく広げる技術として、世界中で大きな注目を集めている。クリエイティブな作業の支援から、カスタマーサポートの自動化、ソフトウェア開発の補助まで、多岐にわたる分野での活用が期待されているのだ。

このような生成AI技術を開発し、実際に利用するためには、非常に強力なコンピューターの計算能力と、膨大なデータを処理するためのストレージ、そして高速なネットワーク環境が不可欠である。特に、生成AIの学習や推論(与えられた情報から答えを導き出すこと)には、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる特殊な半導体が大量に必要となる。これらの高性能なインフラを自社で一から構築するには、途方もない初期投資と専門知識、そして維持管理の手間がかかる。そこで、パブリッククラウドがその解決策となる。クラウドベンダーは、すでに生成AIの学習や推論に必要な高性能なGPUサーバーや、大量のデータを効率的に扱うためのストレージ、そして関連するソフトウェア環境をサービスとして提供している。企業は、これらのクラウドサービスを利用することで、高額な設備投資なしに、必要な時に必要なだけ、最新の生成AI環境を利用できる。これにより、生成AIの導入障壁が下がり、より多くの企業が生成AIを活用できるようになる。結果として、生成AIの利用が拡大すればするほど、その基盤となるパブリッククラウドサービスの需要も高まり、市場全体がさらに大きく成長していくという好循環が生まれるのだ。

このように、マルチクラウドによる利用の多様化と最適化、そして生成AIという革新的な技術が、パブリッククラウドの新たな需要を掘り起こし、市場を牽引している。2030年度には6兆2515億円という規模に達するという予測は、国内のITインフラが大きくクラウドシフトし、AIが社会のあらゆる側面に深く浸透していく未来を示している。システムエンジニアを目指す人にとって、この市場の動きは非常に重要である。クラウドインフラの構築や運用、マルチクラウド環境でのシステム設計、そして生成AIを活用したアプリケーション開発など、新たなスキルや知識が強く求められるようになるだろう。この大きな変革期において、パブリッククラウドとAIに関する理解を深め、実践的なスキルを習得することは、今後のキャリアを築く上で不可欠な要素となると言える。

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