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【ITニュース解説】The Algorithm That Made Google Rich — And Still Runs Under the Hood

2025年09月13日に「Medium」が公開したITニュース「The Algorithm That Made Google Rich — And Still Runs Under the Hood」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Googleの成功は、UIやデータセンター、Androidだけでなく、その基盤で稼働する「あるアルゴリズム」が築いた。このアルゴリズムは今もGoogleを富ませる中核であり続けている。

ITニュース解説

Googleが世界中で最も使われる検索エンジンとなり、巨大なIT企業へと成長した背景には、ただ使いやすいインターフェースや広大なデータセンター、そしてAndroidのような優れた製品群があるだけではない。その成功の根幹には、巧妙に設計された一つのアルゴリズムが存在する。それが「PageRank」と呼ばれるアルゴリズムだ。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このPageRankの物語は、いかに優れたアルゴリズムがビジネスと技術革新を駆動するかを示す好例となるだろう。PageRankは、Googleの共同創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって開発された。彼らがGoogleを立ち上げた当時、すでに多くの検索エンジンが存在していた。しかし、それらの検索エンジンには共通の課題があった。当時の検索エンジンの多くは、ウェブページ内に検索キーワードが何回出現するか、あるいはウェブサイトがどのようなカテゴリに分類されているかといった基準で検索結果の順位を決定していた。この方法では、キーワードを大量に詰め込んだだけの低品質なページや、内容の薄いページが上位に表示されることが頻繁に発生し、ユーザーは本当に欲しい情報を見つけ出すのに苦労していた。

ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、この問題を解決するために全く新しい発想を導入した。彼らはウェブページを学術論文に、ページ間のリンクを論文の引用関係に例えて考えたのだ。学術論文の世界では、多くの論文から引用されている論文、特に影響力のある質の高い論文から引用されている論文は、それ自体も価値が高いとみなされる。この考え方をウェブの世界に適用し、ウェブページ間のリンクを「投票」と解釈した。つまり、あるウェブページが他のウェブページにリンクを貼ることは、「このページは良い情報を持っている」と投票していることに等しい、と考えたのだ。

PageRankアルゴリズムの基本的な動作原理は次のようになる。まず、ウェブ上の全てのページは初期値として同じ「PageRankスコア」を持つ。そして、各ページから他のページへ貼られているリンクを通じて、このスコアが「投票」として配分されていく。あるページが複数のページにリンクを貼っている場合、そのページの持つPageRankスコアはリンク先のページへ均等に分け与えられる。例えば、PageRankスコアが100のページが3つのページにリンクを貼っていれば、それぞれのリンク先には約33ずつのスコアが渡される。重要なのは、この投票の重みが、投票する側のページのPageRankスコアによって異なる点だ。つまり、PageRankスコアが高いページからのリンクは、低いページからのリンクよりも大きな影響力を持つことになる。これにより、「質の高いページからリンクされているページもまた質が高い」という論文の引用関係の考え方が再現される。

このスコアの計算は一度では終わらない。ウェブページは互いに複雑にリンクし合っているため、PageRankスコアは反復計算によって決定される。最初に仮のスコアを割り当て、そこからリンクをたどってスコアを更新し、その更新されたスコアを使ってさらに次の反復計算を行う。このプロセスは、各ページのPageRankスコアがほとんど変化しなくなるまで繰り返される。これは、ウェブを仮想的な「ランダムウォーカー」がランダムにリンクをたどって移動している状況と捉え、そのウォーカーが各ページに滞在する確率を計算することに似ている。滞在確率が高いページほど、多くのリンクを集めている、あるいは質の高いページからリンクされているとみなされ、高いPageRankスコアが与えられる。

PageRankアルゴリズムは、当時の検索エンジンが抱えていた低品質なコンテンツの問題を一挙に解決した。ウェブ全体を一つの巨大なグラフ構造として捉え、その中の各ノード(ページ)の重要度を数学的に評価するこのアプローチは、革新的なものだった。これにより、Googleはユーザーが求めているであろう、信頼性が高く、関連性の高い情報を提供することに成功した。ユーザーはGoogleを使えば本当に役立つ情報にすぐにたどり着けると実感し、その結果、Googleは圧倒的な支持を獲得した。このユーザーからの信頼こそが、Googleが今日の広告ビジネスで成功を収めるための強固な基盤となったのだ。

もちろん、今日のGoogle検索エンジンはPageRankアルゴリズムだけでなく、何百もの異なる要因や、最新の機械学習技術を組み合わせて検索結果の順位を決定している。しかし、その根幹には、ウェブページ間のリンク構造を分析してページの重要度を評価するというPageRankの基本的な思想が脈々と息づいている。PageRankは、ウェブの分散された情報の中から価値あるものを見つけ出すための最初の、そして最も重要なステップだった。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このPageRankの物語は、複雑な問題を解決するために、いかに独創的な視点と数学的なアプローチが重要であるかを示している。単に既存の技術を組み合わせるだけでなく、根本的な問題点を見抜き、それを解決するための全く新しいアルゴリズムを設計する能力こそが、ITの世界で大きな価値を生み出す源泉となることを、PageRankは教えてくれるのだ。

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