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【ITニュース解説】SSDにパフォーマンスで負けても「HDDが不要になる」とは言えない訳

2025年09月15日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「SSDにパフォーマンスで負けても「HDDが不要になる」とは言えない訳」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

SSDの高性能化が進むが、HDDが不要になるわけではない。HDDにはSSDと異なる強みや適した用途があり、特に大容量データの保存やコスト面で優位性を持つ。システムを構築する上で、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが求められる。

ITニュース解説

近年、コンピューターのストレージデバイスとして、SSD(ソリッドステートドライブ)が急速に普及し、その高性能さから「HDD(ハードディスクドライブ)はもう不要になる」という声を聞く機会が増えた。SSDは、半導体メモリを使ってデータを記録するため、物理的な可動部品を持たない。これにより、データの読み書き速度が非常に速く、OSの起動やアプリケーションの立ち上がりが劇的に短縮される。また、衝撃に強く、消費電力も少ないため、ノートパソコンやスマートフォンなど携帯性の高いデバイスでの採用が進んでいる。

一方で、HDDは、磁気ディスク(プラッタ)が高速で回転し、その上を読み書きヘッドが移動してデータを記録する仕組みを持つ。この物理的な動作が、SSDと比較して読み書き速度の遅さや、衝撃に対する弱さにつながる要因となっている。こうした性能面での差が、HDD不要論の背景にあるのは確かだ。

しかし、本当にHDDの役割は終わるのだろうか。結論から言えば、それは違う。HDDにはSSDが持ち得ない、あるいは現時点では到達できない明確な強みがあり、特定の用途においては依然として不可欠な存在である。

HDDの最大の強みは、その圧倒的なコストパフォーマンスと大容量化の容易さにある。ギガバイトあたりの単価で比較すると、HDDはSSDよりもはるかに安価であり、同じ予算でより多くのストレージ容量を確保できる。これは、大容量のデータを扱う必要がある場面で決定的なメリットとなる。例えば、データセンターやクラウドサービスでは、顧客の膨大なデータを低コストで保存する必要があるため、SSDよりもHDDが積極的に利用されている。数百テラバイト、ペタバイトといった単位のデータを扱うシステムでは、HDDのコストメリットは計り知れない。

また、HDDは理論上、書き換え回数に制限がないという特性も持つ。SSDのメモリセルには書き換え寿命があり、特定の回数を超えると劣化が進む可能性があるが、HDDはその心配が少ない。この特性は、長期にわたるデータの保存や、監視カメラの映像のように継続的に新しいデータを書き込み続けるような用途において、高い信頼性を提供する。企業のバックアップデータや、アーカイブ(長期保存)されるデータなど、一度書き込んだら滅多に読み書きしないが、確実に保存しておきたい情報にとって、HDDは非常に適した選択肢となる。

さらに、HDDも技術革新の歩みを止めていない。近年では、HAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)やMAMR(Microwave-Assisted Magnetic Recording)といった新技術が開発され、磁気記録密度を向上させることで、さらなる大容量化と性能向上が図られている。これにより、1台のHDDで数十テラバイトという大容量を実現できるようになり、今後もその容量は拡大していく見込みだ。HDDは決して「古い技術」として停滞しているわけではなく、現代のデータ社会を支える基盤技術として進化を続けている。

では、具体的にどのような場面でHDDが活躍するのか。前述のデータセンターやクラウドサービスのインフラはもちろん、個人のパソコンや企業内システムにおいても、役割分担が可能だ。例えば、OSや頻繁に使うアプリケーションは高速なSSDにインストールし、大量の写真や動画、文書ファイルといったデータは容量単価の安いHDDに保存するといった使い分けが一般的だ。これにより、システムの全体的な応答速度を維持しつつ、コストを抑えて大容量のストレージを確保できる。ネットワークに接続して複数のユーザーで共有するNAS(Network Attached Storage)も、大容量と安定稼働が求められるため、HDDが主要なストレージデバイスとして採用されている。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、ストレージデバイスの選択は、構築するシステムの性能、コスト、信頼性を大きく左右する重要な決定要素となる。SSDとHDDは、どちらか一方が優れていて他方が不要という関係ではなく、それぞれに異なる強みと最適な用途を持つ。これらの特性を深く理解し、システムの要件に合わせて適切に使い分けることが、効率的で堅牢なシステムを設計・構築するための鍵となる。HDDは、そのコスト効率と大容量、そして進化し続ける技術によって、これからも私たちのデータ社会を支え続ける不可欠な存在である。

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