【ITニュース解説】Inside React Query: What’s Really Going On
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Inside React Query: What’s Really Going On」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
React Queryは、APIから取得したデータをアプリ全体で効率的に管理するライブラリだ。データをキャッシュし重複取得を防ぐ。また、データ変更時に必要なコンポーネントだけを再描画することで、アプリのパフォーマンスを大きく向上させる。
ITニュース解説
React Queryは、単に便利なカスタムフックの集まりではなく、アプリケーション全体のデータフローを管理・調整するための高度な仕組み、いわばデータオーケストレーションエンジンである。このライブラリを単なるフックとして扱うと、意図しないデータの再取得や古いデータの表示、コンポーネントの過剰な再レンダリングといった問題を引き起こしかねない。React Queryが内部でどのように動作しているかを理解することは、より効率的で堅牢なReactアプリケーションを構築する上で極めて重要となる。
React Queryの全体像を理解する上で中心となるのがQueryClientである。これはアプリケーション全体のデータ取得に関する司令塔の役割を担う。全てのデータ取得要求を調整し、取得したデータをキャッシュとして管理し、アプリケーション内のデータの一貫性を保つ、信頼できる唯一の情報源として機能する。このQueryClientインスタンスは、アプリケーション全体で一貫して使用される必要がある。もしコンポーネントのレンダリングごとに新しいQueryClientインスタンスを生成してしまうと、その都度、独立したキャッシュが作られてしまう。これはReact Queryの根幹である状態の共有という利点を損なう行為であり、クエリ間の連携やデータ共有が不可能になる。そのため、QueryClientのインスタンスはコンポーネントツリーの外部で一度だけ生成するか、useStateを用いてコンポーネントのライフサイクル内で安定した参照を保つように実装することが不可欠である。
QueryClientが内部で保持しているのがQueryCacheであり、これはメモリ上に存在するデータ保管庫と考えることができる。QueryCacheは、実体としてはJavaScriptのオブジェクトであり、各クエリを識別するための一意なキー(queryKeyをシリアライズしたもの)をプロパティ名とし、その値としてQueryクラスのインスタンスを保持する構造になっている。この仕組みにより、アプリケーション内のどこからでも、同じキーを持つデータ要求は同じキャッシュデータにアクセスすることができ、不要なAPIリクエストを削減し、アプリケーション全体のパフォーマンスを向上させる。
QueryCacheに格納されているQueryインスタンスは、単にデータを保持するだけの存在ではない。これは、データ取得のライフサイクル全体を管理する高度なステートマシンとして機能する。各Queryインスタンスは、取得したデータそのものに加えて、データの状態(読み込み中、成功、エラーなど)、エラー情報、データが最後に更新された時刻、データが新鮮であると見なされる期間(staleTime)といった、豊富なメタデータを内部に保持している。そして、Queryインスタンスの最も重要な特徴は、自身を監視しているコンポーネント(オブザーバー)と、それぞれのオブザーバーがどの状態に関心を持っているかを正確に把握している点である。例えば、あるコンポーネントはデータの読み込み状態(isLoading)のみを必要とし、別のコンポーネントは取得したデータ(data)のみを必要としている場合、Queryはそれぞれの状態が変化した時に、関心を持つコンポーネントにのみ更新を通知する。この選択的な通知機能により、無関係な状態変化による不要なコンポーネントの再レンダリングが抑制され、アプリケーションの応答性が高まる。
ReactコンポーネントとQueryCacheの間を繋ぐ役割を果たすのがQueryObserverである。開発者がコンポーネント内でuseQueryフックを呼び出すと、内部的にはこのQueryObserverのインスタンスが生成される。QueryObserverは、コンポーネントと特定のクエリとの間に購読関係を確立する。これにより、コンポーネントはQueryインスタンスの状態変化を監視し、必要な通知を受け取ることができるようになる。つまり、useQueryは、コンポーネントが必要とするデータとその状態を宣言的に記述するためのインターフェースであり、その裏側ではQueryObserverがQueryCacheとの効率的な通信を実現している。
これらの構成要素、すなわちQueryClientがQueryCacheを管理し、QueryCacheが個々のQueryを保持し、QueryObserverがコンポーネントとQueryを繋ぐという一連のアーキテクチャを理解することで、React Queryは単なる便利なAPI呼び出しライブラリから、予測可能でスケーラブルなデータ管理層を構築するための強力なツールへと変わる。この内部構造の知識は、問題発生時のデバッグを容易にし、再レンダリングのパターンを理解してパフォーマンスを最適化し、より洗練されたデータ取得戦略を設計するための確固たる基盤となる。使い方だけでなく、その背後にある仕組みを理解することこそが、React Queryの真価を引き出し、アプリケーションの品質を向上させる鍵なのである。