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【ITニュース解説】SSD、HDDの常識を覆したキオクシア「245TB・新型SSD」の正体

2025年09月11日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「SSD、HDDの常識を覆したキオクシア「245TB・新型SSD」の正体」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

キオクシアが、従来の常識を覆す245.76TBの超大容量新型SSDを発表した。この記事では、なぜそこまでの大容量を実現できたのか、その技術的な秘訣を解明。さらに、製品の具体的な特徴や、競合製品との違いを解説する。

ITニュース解説

キオクシアが発表した245.76TBの新型SSDは、従来のストレージの常識を大きく塗り替える画期的な製品であり、システムエンジニアを目指す上でその技術的背景と将来性を理解することは非常に重要だ。データセンターにおける情報処理の根幹を支えるストレージ技術は常に進化しており、この新型SSDはその最先端をいくものと言える。

まず、この圧倒的な容量「245.76テラバイト」が何を意味するのかを考える。テラバイト(TB)は1兆バイトを表し、私たちの身近なPCやスマートフォンでは数十GBから数TB程度のストレージが一般的だ。それが245.76TBともなると、一般的なデスクトップPCのストレージを数百台分も詰め込んだ容量に匹敵する。このような大容量ストレージは、主にクラウドサービスプロバイダーや大規模なデータセンターで利用され、膨大なデータを効率的に保存・管理するために不可欠となる。

この大容量を実現した秘訣は、主に三つの技術的要素にある。一つ目は、キオクシア独自のNANDフラッシュメモリである「BiCS FLASH」の積層技術だ。SSDの核となるNANDフラッシュメモリは、データを保存するセルを縦方向に積み重ねることで容量を増やしていく。高層ビルの階数を増やすように、この積層数を増やすことで、一枚のNANDチップあたりのデータ密度を飛躍的に高めている。この技術の進化が、大容量化の土台となっている。

二つ目は、データ格納方式として「QLC(Quad-Level Cell)」を採用している点だ。NANDフラッシュメモリのセルには、1セルあたりに保存できるビット数に応じて、SLC(1ビット)、MLC(2ビット)、TLC(3ビット)、そしてQLC(4ビット)といった種類がある。QLCは1つのセルに4ビットの情報を記録できるため、他の方式に比べて同じ物理サイズでより多くのデータを保存できる。これにより、容量あたりのコストを抑えつつ、大容量化をさらに推進することが可能となる。ただし、QLCはセルあたりのビット数が増えるほど、データの読み書き速度や書き換え寿命(耐久性)において課題が生じる傾向がある。キオクシアはこの課題に対して、コントローラー技術やエラー訂正技術を組み合わせることで、実用的な性能と信頼性を確保していると考えられる。

三つ目は、フォームファクタ(物理的な形状とサイズ)に「EDSFF E3.S」を採用していることだ。これは、データセンター向けに標準化された新しいSSDの形状で、従来のサーバーラックに効率的に搭載できるよう設計されている。EDSFF E3.Sは、限られたサーバー内部のスペースに多数のSSDを搭載することを可能にし、単位容積あたりのストレージ密度を最大化する。これにより、データセンター全体の設置面積や電力消費量を抑えながら、より多くのデータストレージを提供できるというメリットがある。このフォームファクタの採用は、単にSSDの容量を増やすだけでなく、データセンター全体の運用効率とコストパフォーマンスを向上させるための戦略的な選択と言える。

この新型SSDの特徴とメリットは、まさに現代のITインフラが直面する課題を解決するものだ。データセンターでは、AI(人工知能)の学習データ、ビッグデータ解析、クラウドストレージ、ストリーミングサービスなど、日々生成される膨大なデータを高速かつ確実に処理する必要がある。245.76TBのSSDは、このような用途において、従来のHDD(ハードディスクドライブ)では実現できないレベルの高速アクセスと圧倒的な容量密度を提供する。HDDと比較して、SSDは可動部品がないため物理的な故障に強く、消費電力も少ない。これにより、データセンターの運用コスト(電気代、冷却コストなど)を大幅に削減し、TCO(総所有コスト)の低減に貢献する。

競合製品との違いについてだが、245.76TBという単一SSDあたりの容量は現時点では業界最高クラスであり、特にEDSFF E3.Sという省スペースなフォームファクタでこの大容量を実現している点がキオクシアの強みとなっている。他のメーカーも大容量SSDを開発しているが、この容量とフォームファクタの組み合わせにおいてキオクシアは一歩リードしていると言えるだろう。これは、キオクシアがNANDフラッシュメモリの開発から製造までを一貫して手掛ける垂直統合型のビジネスモデルを持つため、NAND技術の最先端を自社でコントロールできる優位性があるためと考えられる。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような最新ストレージ技術の動向を追うことは、将来のシステム設計やインフラ構築において非常に役立つ。ストレージはシステムの性能、信頼性、コストに直結する重要な要素であり、その選択はシステムの成否を左右することもある。大容量、高速、低消費電力という特徴を持つ新型SSDは、クラウドネイティブなアプリケーションやデータ集約型のサービスを構築する上で、強力な基盤となるだろう。ストレージ技術の進化は止まることがなく、今後もより大容量で高性能、そしてコスト効率の良い製品が登場し続ける。これらの技術が、どのようなビジネス課題を解決し、どのような新しいサービスを生み出すのかを常に考え、学び続ける姿勢が、優れたシステムエンジニアになるためには不可欠だ。

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