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QLC(キューエルシー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

QLC(キューエルシー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

キューエルシー (キューエルシー)

英語表記

QLC (キューエルシー)

用語解説

QLCとは、NANDフラッシュメモリの一種であり、「Quad-Level Cell(クアッドレベルセル)」の略である。NANDフラッシュメモリは、電位差を利用してデータを記憶する不揮発性メモリであり、SSD(Solid State Drive)などのストレージ製品に広く利用されている。QLCは、1つのメモリセルに4ビットの情報を格納する技術を指す。これは、他のNANDフラッシュメモリの種類であるSLC(Single-Level Cell、1ビット/セル)、MLC(Multi-Level Cell、2ビット/セル)、TLC(Triple-Level Cell、3ビット/セル)と比較して、最も多くのビット数を1セルに格納する方式である。

NANDフラッシュメモリのセルは、フローティングゲートトランジスタと呼ばれる構造を持ち、このフローティングゲートに電荷を蓄えることでデータを記憶する。蓄えられた電荷の量によって電圧レベルが変化し、この電圧レベルを読み取ってデータを識別する仕組みである。QLCの場合、1セルあたり4ビットを格納するため、2の4乗、つまり16種類の異なる電圧レベルを識別する必要がある。例えば、0000から1111までの16通りの情報が1つのセルに保持されることになる。これにより、単位面積あたりの記憶密度が飛躍的に向上し、結果としてSSDの大容量化と製造コストの低減が可能になるという大きなメリットがある。

しかし、16段階もの微細な電圧レベルを正確に識別する必要があるため、QLCにはいくつかの課題も存在する。まず、データの書き込み速度が低下する点が挙げられる。16種類の電圧レベルの中から目的のレベルに正確に電荷を注入・制御するには、他の方式と比較してより多くの時間と精密な制御が必要となるため、セルへのデータ書き込み(ページプログラム)に時間がかかる。次に、書き込み寿命(耐久性)が短くなる傾向にある。NANDフラッシュメモリは、データの書き換え(プログラム/イレースサイクル、P/Eサイクル)によってセルの絶縁膜が徐々に劣化し、電荷の保持能力が低下する。QLCは微細な電圧レベルの変化を検出するため、この劣化の影響を受けやすく、わずかな電荷の変動でもデータエラーにつながりやすいため、相対的に書き換え可能回数が少なくなる。一般的に、SLCが数万から数十万P/Eサイクル、MLCが数千から一万P/Eサイクル、TLCが数百から数千P/Eサイクルであるのに対し、QLCは数百P/Eサイクル程度とされている。

さらに、読み出し速度も影響を受ける場合がある。16段階の電圧レベルの中から正確なレベルを判別するには、より高度な読み出しアルゴリズムと、ノイズや温度変化に対する高い耐性が必要となる。そのため、読み出しエラーのリスクも高まり、データの正確性を保証するために、より強力な誤り訂正符号(ECC)が不可欠となる。また、データ保持期間(リテンション)も課題となる場合がある。電荷が微細であるため、長期間通電せずに放置した場合、電荷が徐々に失われ、データが劣化する可能性が高まる。

これらの特性から、QLCはデータの書き込み頻度が比較的低く、読み出しが主となるような大容量ストレージの用途に適している。例えば、一般的なコンシューマ向けPCの大容量SSDとして、OSやアプリケーション、ゲームライブラリなど、一度書き込んだら頻繁に書き換えることのないデータの保存に利用されることが多い。また、データセンターにおけるコールドストレージやアーカイブ用途など、アクセス頻度が低く、容量単価を重視する環境でも採用が進んでいる。

QLCが登場したことで、SSDは従来のHDD(Hard Disk Drive)に比べて圧倒的な速度と省電力性を持ちながら、容量あたりのコスト面でも競争力を持つようになってきた。システムエンジニアとしては、ストレージを選択する際に、QLCの特性を理解し、そのメリットとデメリットをワークロードに合わせて適切に評価することが重要となる。高速な書き込み性能や高い耐久性が求められる用途(例:データベースのジャーナル、頻繁なログ書き込み)では、SLCやMLC、あるいはTLCベースのSSDが依然として有利である。一方、大容量でコストを抑えたい場合や、ほとんど読み出しが中心となる用途では、QLCは非常に魅力的な選択肢となる。SSDのウェアレベリングやガベージコレクションといった内部管理技術、そして強力なECCによって、QLCの弱点はある程度補われているが、本質的な特性を理解した上での設計がシステムの安定稼働には不可欠である。QLCは、SSD市場における容量と価格のブレークスルーをもたらし、より多くのユーザーに高速ストレージの恩恵を提供する重要な技術であると言える。

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