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【ITニュース解説】The Last YAML File You’ll Never Write

2025年09月13日に「Medium」が公開したITニュース「The Last YAML File You’ll Never Write」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

システム開発でよく使う設定ファイル、YAMLの手動記述は手間がかかる課題だった。本記事は、この課題を解決し、YAMLファイルをもう書かなくてよくなる新技術を紹介。手作業から解放され、設定作業が自動化・効率化。エンジニアは開発に集中できる。

出典: The Last YAML File You’ll Never Write | Medium公開日:

ITニュース解説

システム開発の現場では、ソフトウェアの動作や環境を設定するために、さまざまなファイルが使われる。その中でも「YAML(ヤメル)」という形式は、人間が読み書きしやすく、かつ機械も処理しやすいことから、広く利用されている設定ファイル形式の一つだ。特に、近年のクラウド技術やコンテナ技術の普及に伴い、アプリケーションのデプロイやインフラの管理を行う「Kubernetes(クバネティス)」のようなシステムでは、YAMLが設定ファイルの主流となっている。

しかし、このYAMLファイルを書くことには多くの課題が伴う。YAMLは、データを階層的に記述するために「インデント(字下げ)」を用いるが、このインデントが少しでもずれると、ファイル全体が無効になってしまい、システムが正しく動作しない原因となる。また、設定する項目(フィールド名)のスペルミスや、期待されるデータの型(数値であるべきところに文字列を書いてしまうなど)の間違いも頻繁に発生する。これらの間違いは、実際にシステムを動かしてみるまで気づきにくいことが多く、デバッグ(問題の原因を探し、修正すること)に多大な時間と労力がかかることがある。

特に、Kubernetesのように非常に多くの設定項目を持つ複雑なシステムの場合、一つのアプリケーションを動かすだけでも何十、何百行ものYAMLファイルを記述し、複数のファイルを連携させて管理する必要がある。このような状況では、設定の変更や追加を行うたびに、人為的なミスが発生するリスクが高まり、開発者の生産性を大きく低下させてしまうのだ。さらに、YAMLの構文やKubernetesのリソース定義の学習コストも決して低くなく、初心者にとっては大きな壁となる。最近では生成AIを使ってYAMLを自動生成する試みも増えているが、生成されたYAMLが常に正しいとは限らず、結局は人間が内容を検証し、修正する必要がある点は変わらない。

このような課題に直面したのが、ウェブサイトやアプリケーションを簡単に構築・デプロイできるプラットフォーム「Web Jadugar(ウェブ ジャドゥガー)」の開発チームだ。彼らは、バックエンドで高度なKubernetesのインフラを利用しているが、ユーザーにはその複雑さを一切意識させずに、直感的でシンプルな操作体験を提供したいと考えていた。そのためには、裏側で動くKubernetesの複雑な設定を、開発者自身が直接YAMLファイルとして記述する手間を減らし、より信頼性の高い方法で設定を管理する必要があったのだ。

そこで彼らがたどり着いた解決策が、「型付けされた設定」と「プログラマブルなインフラ」というアプローチだ。これは、設定をYAMLのようなテキストベースのファイルで直接記述するのではなく、プログラミング言語を使ってコードとして定義するという考え方である。Web Jadugarでは、Go言語というプログラミング言語を採用した。

具体的には、Go言語の「構造体(struct)」という機能を使って、設定の項目やその型(例えば、この設定項目は必ず文字列であるべき、数値であるべき、といった定義)を厳密に定めてしまう。これにより、開発者が設定を記述する際に、もしインデントが間違っていたり、存在しないフィールド名を記述したり、間違った型の値を設定しようとしたりした場合、プログラムをコンパイルする段階で(つまり、システムを実際に動かす前段階で)エラーとして検出されるようになる。

これは非常に大きなメリットだ。YAMLを直接書く場合は、実行時になって初めてエラーが発覚し、原因特定に時間がかかることが多いが、プログラミング言語を使うことで、IDE(統合開発環境)によるコード補完機能の恩恵を受けたり、静的解析ツールによる自動チェックを受けたり、さらにはユニットテスト(プログラムの個々の部分が正しく動作するかを検証するテスト)を記述して設定の正しさを保証したりすることが可能になる。開発者は、Go言語のコードとしてインフラの構成を定義し、それを実行することで、最終的にKubernetesに適用されるYAMLファイルを自動的に生成・デプロイする仕組みを構築した。この方法では、開発者は直接YAMLファイルを書く必要がなく、Go言語のコードを通じて、より安全かつ効率的にインフラを管理できる。

このアプローチは、単にYAMLを書く手間を省くだけにとどまらない。設定がプログラミング言語で記述されることで、設定の信頼性が飛躍的に向上する。エラーの早期発見が可能になるため、デバッグにかかる時間を大幅に削減でき、開発者の生産性が向上する。また、設定の変更履歴をバージョン管理システム(Gitなど)で管理しやすくなり、誰がいつ、どのような変更を加えたのかが明確になるため、チームでの共同作業がスムーズになる。さらに、設定自体もプログラミングコードとして扱えるため、再利用可能なコンポーネントとしてまとめたり、共通のロジックを適用したりすることも容易になり、システム全体のメンテナンス性が向上する。

もちろん、この技術によってYAMLファイルが完全に世の中から消え去るわけではない。最終的にKubernetesはYAML形式の設定ファイルを必要とするため、バックエンドではYAMLが生成されている。しかし、開発者が直接手書きでYAMLファイルを修正する機会は格段に減り、より堅牢で、より効率的なシステム開発が可能になる未来が訪れると言えるだろう。これは、システムエンジニアを目指す上で、設定管理の未来像として理解しておくべき重要なトレンドの一つだ。

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