【ITニュース解説】My Tech Stack for IG Exporter Chrome Extension
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「My Tech Stack for IG Exporter Chrome Extension」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
InstagramのフォロワーをエクスポートするChrome拡張機能の開発事例。初心者向けフレームワークWxtを使い、Reactなど既存のWeb技術で開発。複雑な設定を避け、効率的に拡張機能の仕組みを学べる点が紹介されている。(117文字)
ITニュース解説
特定のInstagramユーザーのフォロワーやフォロー中のアカウントリストを、CSVやJSONなどの形式でエクスポートするChrome拡張機能が開発された。この開発事例は、通常のWebアプリケーション開発の経験が豊富な開発者にとっても、Chrome拡張機能特有の開発プロセスが新たな挑戦であることを示している。しかし、適切な技術選定とフレームワークの活用により、初心者でも効率的に開発を進めることが可能であることも同時に明らかにされた。
この開発プロジェクトで採用された技術の中心には、「Wxt」というChrome拡張機能開発に特化したフレームワークが存在する。Wxtは、特に初心者にとって開発のハードルを大幅に下げる多くの特徴を備えている。Web開発では通常、Webpackのようなツールを使って複雑なビルド設定を行う必要があるが、Wxtはこれらの設定を自動化してくれるため、開発者は環境構築に時間を費やすことなく、すぐに機能開発に着手できる。また、特筆すべきは「ホットリロード」機能である。これは、ソースコードを保存すると、その変更が即座に開発中の拡張機能に反映される仕組みであり、修正と確認のサイクルを高速化させ、開発効率を劇的に向上させる。さらに、ファイルの変更を自動で監視してビルドを実行する機能や、静的型付け言語であるTypeScriptを複雑な設定なしに導入できるサポートも提供されており、開発者は拡張機能のロジックそのものに集中することが可能となる。
ユーザーが直接操作するユーザーインターフェース(UI)部分の構築には、現代的なWeb開発で広く採用されている「React」と「TypeScript」が使用された。これは、多くのWeb開発者が持つ既存のスキルセットをそのまま拡張機能開発に応用できることを意味する。使い慣れた技術でUIを構築できるため、学習コストを抑えつつ、質の高いコンポーネントを作成できる。また、拡張機能がデータを保存する仕組みとして「Chrome Storage API」が活用された。このAPIを使うことで、ユーザーの設定情報や作業の進捗状況などを、ユーザーのローカル環境に簡単かつ永続的に保存することができる。例えば、chrome.storage.local.setという命令でデータを保存し、chrome.storage.local.getという命令で保存したデータを読み出すという、直感的でシンプルな操作が可能である。
Chrome拡張機能の動作原理を理解するためには、その基本的な構造を知ることが重要である。拡張機能は、主に三つの要素で構成されている。一つ目は「バックグラウンドスクリプト」であり、これは拡張機能の「脳」として機能する部分である。ユーザーの目には見えない裏側で常に動作し、拡張機能の主要なロジックや、時間のかかる処理、イベントの監視などを担当する。二つ目は、ユーザーが設定変更などを行うための「オプションページ」や、ブラウザのツールバーから開く「ポップアップ」といったUI部分である。これらはReactなどで作られたWebページそのものであり、ユーザーとの対話を受け持つ。三つ目は、これらバックグラウンドスクリプトとUI部分が互いに通信するための「メッセージパッシング」という仕組みである。UIでユーザーがボタンをクリックするなどの操作を行うと、その情報がメッセージとしてバックグラウンドスクリプトに送信される。メッセージを受け取ったバックグラウンドスクリプトは、指示された処理を実行し、必要に応じて結果をUIに返す。この連携により、拡張機能は一つのアプリケーションとして機能する。
この開発経験は、Chrome拡張機能開発を目指す初心者にとっていくつかの重要な教訓を示している。まず、拡張機能開発を始める際は、基本的なAPIを一つひとつ学んでいくよりも、Wxtのようなフレームワークを利用する方がはるかに効率的である。フレームワークが複雑な設定や定型的な作業を肩代わりしてくれるため、挫折することなく本質的な機能開発に集中できる。そして最も重要なのは、Chrome拡張機能が特別なものではなく、HTML、CSS、JavaScriptといったWeb技術の延長線上にあるという認識を持つことである。Web開発の知識を基礎とし、そこにChromeが提供する専用のAPIを追加で学習することで、十分に開発が可能となる。この事例は、適切なツールとアプローチを選択すれば、Chrome拡張機能開発は初心者にとっても十分に挑戦可能で、やりがいのある分野であることを証明している。