【ITニュース解説】The Next.js 15 Atelier: Mastering the Composition of Server and Client
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Next.js 15 Atelier: Mastering the Composition of Server and Client」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Next.js 15は、サーバーとクライアントの役割を明確に分けるReact Server Componentsを導入する。データ取得やUIの骨格はサーバー、対話操作はクライアントと、コンポーネントの「目的」で使い分け、より効率的で整理されたWebアプリ開発を可能にする。
ITニュース解説
Webアプリケーションの開発では、ユーザーの目に触れる画面を表示し操作を受け付ける「クライアント(Webブラウザ)」と、データや複雑な処理を管理する「サーバー」という二つの異なる環境が常に存在していた。これまでの開発では、どちらの環境でどのコードを実行するか、またその間でどのようにデータをやり取りするかといった点に、開発者は多くの時間と労力を費やしてきた。例えば、サーバー側でページの初期表示を生成するSSR(サーバーサイドレンダリング)や、事前に静的なHTMLファイルを生成するSSG(静的サイト生成)、ユーザーが画面を開いてからデータを取得するクライアントサイドフェッチなど、様々な方法が混在し、その選択と管理は非常に複雑で、開発者の負担は大きかった。
Next.js 15で導入されるReact Server Components(RSCs)は、この長年の課題に対し、根本的に新しい解決策を提示する。これは単なる新しい機能ではなく、サーバーとクライアントの役割をどう捉え、どのように組み合わせてアプリケーションを構築するかという、開発の考え方そのものを変えるものである。
これまでの開発では、「このコードはサーバーで安全に動くか?」「ブラウザの機能(windowオブジェクトなど)が必要か?」といった、「どこでコードが動くか」という実行環境の視点でコンポーネントを設計していた。しかし、Next.js 15とRSCsが提案する新しい考え方は、「このコンポーネントの最も重要な目的は何だろうか?」という「目的」に焦点を当てる。この問いに対する答えによって、コンポーネントはサーバー側で動くべきか、クライアント側で動くべきかが明確に区別される。
サーバーコンポーネントは、主にデータの取得、ページの全体的な骨格の構成、およびビジネスロジックの実行を担当する。その性質は静的で非同期な処理に適しており、サーバーの強力な能力を活用できる。例えば、データベースへ直接アクセスしてデータを取得したり、Node.jsのモジュールを利用して複雑な計算を実行したりすることが可能である。サーバーコンポーネントは、最終的にHTMLやデータ、処理中のPromiseといった「素材」を出力し、これらを組み合わせてページの構造を作り上げる。これにより、Webアプリケーションの初期表示に必要なデータを効率的に準備し、ユーザーに素早く提供できる。
例えば、商品の詳細ページを考える。このページの骨格を構成する部分(商品名や説明文の表示など)は、サーバーコンポーネントとして実装される。ここでは、データベースから直接商品情報を取得し、そのデータを使ってページの基本的なレイアウトを組み立てる。データの取得のために、クライアント側でよく使われるuseEffectのようなフックは必要なく、非同期関数を直接利用してデータをawaitできる。これにより、データ取得の処理がシンプルになり、読み込み中の状態を管理するための余計なコードも削減される。
一方、クライアントコンポーネントは、ユーザーとの対話性、状態管理、およびブラウザ特有の機能(ブラウザAPI)へのアクセスが主な目的となる。その性質は動的で、ユーザーの操作に同期的に反応する必要がある。具体的には、ボタンのクリックイベントへの応答、フォームの入力値の管理、アニメーションの実行などに適している。useStateやuseEffectといったReactのフックは、クライアントコンポーネントでのみ利用可能である。クライアントコンポーネントは、ファイルの先頭に'use client';という特別な宣言を記述する必要がある。この宣言は、「このコンポーネントはブラウザの環境で実行されることを意図している」という明確な意思表示であり、単なるパフォーマンスのヒントではない。
先ほどの商品の詳細ページの例で言えば、「カートに追加」ボタンのようなユーザーが直接操作する部分はクライアントコンポーネントとして実装される。このボタンは、クリックされたときに商品の数量を管理したり、カートに商品を追加する処理をサーバーに送信したりといったインタラクティブな動作を行うため、ブラウザの環境で動作する必要がある。useStateを使って数量を管理したり、ボタンがクリックされたときに呼び出されるhandleAddToCart関数を定義したりする。
この新しいモデルの鍵となるのは、サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントがどのように連携するかという点である。サーバーコンポーネントからクライアントコンポーネントへは、関数やイベントハンドラを直接渡すことはできない。代わりに、データやシリアライズ可能なプロパティ(props)だけを渡す。これは、サーバーコンポーネントが「何を表示すべきか」という設計図を提供し、クライアントコンポーネントがその設計図に基づいて「どのように動作すべきか」をユーザーのブラウザ上で実行するという役割分担を意味する。この厳密な分離により、セキュリティが向上し、ブラウザにダウンロードされるコードの量(バンドルサイズ)が削減され、さらに初期表示の静的プリレンダリングといった高度な最適化が可能になる。
このような新しい開発モデルに移行するためには、開発者の思考様式も変化させる必要がある。まず、「サーバーファースト」の考え方を持つことが重要だ。全てのコンポーネントをサーバーコンポーネントとして設計することを初期設定とし、インタラクティブ性やブラウザ特有の機能が必要な場合にのみ、その部分を「インタラクティブな島」として切り出し、クライアントコンポーネントとしてマークする。そして、これらのクライアントコンポーネントは、できるだけコンポーネントツリーの深い位置に配置することで、サーバー側で処理できる範囲を最大化する。データ取得に関しては、クライアント側でuseEffectを使ってフェッチするパターンから脱却し、サーバーコンポーネントで直接非同期にデータをawaitする方法に慣れる必要がある。これにより、ローディング状態もより宣言的に管理できる。また、サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントの間でプロパティを通じてデータを渡すモデルを積極的に受け入れ、明確なデータフローを意識することで、コンポーネントの予測可能性とテストのしやすさが向上する。
Next.js 15とReact Server Componentsは、単なる技術的なアップデートにとどまらず、Webアプリケーション開発におけるサーバーとクライアントの役割分担と協調のあり方について、より深い考察を促すものである。開発者は「このコードをどうすれば動かせるか?」という技術的な実現可能性だけでなく、「このコードの目的から見て、サーバーとクライアントのどちらで処理するのが最も適切か?」という、より本質的な問いに向き合うことになる。この新しい考え方を取り入れることで、開発者は、パフォーマンスとスケーラビリティに優れるだけでなく、構造的にも美しく、意図が明確なアプリケーションを構築できるようになるだろう。