【ITニュース解説】Starting My OpenMRS Journey: Why I'm Diving Into Legacy Medical Software
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Starting My OpenMRS Journey: Why I'm Diving Into Legacy Medical Software」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Java開発者がスキルアップのため、オープンソース医療システム「OpenMRS」に取り組む。レガシーと最新技術が混在する大規模な実用プロジェクトで、他者のコードを読み理解する力を養い、実践的なスキル向上を目指す。複雑なシステムへの挑戦を通じ、SEとしての成長を図る。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、日々の学習は非常に重要だ。しかし、ただ知識を詰め込むだけでなく、実際に手を動かし、実践的なスキルを身につけることが何よりも求められる。今回紹介する記事は、まさにそんな実践的な学習を追求する一人のJava開発者の挑戦について書かれている。彼は、自身のスキルアップのために、世界中で使われている医療系のオープンソースソフトウェア「OpenMRS」という大規模プロジェクトに飛び込むことを決意した。
記事の書き手は、2〜3年の経験を持つJavaバックエンド開発者だ。現在の仕事では、小売業界のクライアントプロジェクトに携わっているが、そこで得られる学びが少なく、新しい技術やアイデアを試す機会が限られていると感じていた。開発者にとって、自身の成長が停滞していると感じることは大きな課題だ。彼は、受動的な学習ではなく、自らプロジェクトに深く関わることで最も効果的に学べるタイプだと自己分析している。そのため、既存のチュートリアルをただこなすだけでは物足りず、かといってゼロから自分のアイデアを形にするのも難しいと感じていた。チュートリアルは基礎を学ぶには良いが、実際の開発現場で直面する複雑な問題解決の能力は、本物のプロジェクトを通してしか身につかないことが多い。
そこで彼が目をつけたのが、オープンソースプロジェクトへの参加だった。オープンソースプロジェクトとは、ソフトウェアのソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に利用、改良、再配布できるプロジェクトのことだ。彼は、本物のコードベースに触れ、他の多くの開発者たちが書いたコードを読み、理解する能力こそが、開発者にとって最も価値のあるスキルだと考えている。実際に多くの企業では、既存の巨大なシステムを理解し、その上で新しい機能を追加したり、不具合を修正したりする能力が非常に高く評価される。オープンソースプロジェクトには、実際に社会で利用されているソフトウェアが多く、活発なコミュニティが存在するため、コードの読み書きだけでなく、他の開発者との協力やコミュニケーション能力も磨くことができる。彼は、アクティブなコミュニティがあり、実際に使われ、明確な目的を持つソフトウェア、そして自身の得意なJavaを技術スタックに持つプロジェクトを探し始めた。
数時間の調査を経て、彼が見つけたのが「OpenMRS」だった。OpenMRSは、医療システムという非常に専門的で複雑な領域のソフトウェアだが、世界中の多くの国で実際に利用されている。記事の書き手は、このソフトウェアが2004年にケニアの病院のために開発され、その後、国際的な大規模プロジェクトへと成長したという歴史に感銘を受けている。医療システムは、技術的な側面だけでなく、医療に関する深い知識(ドメイン知識)も必要とされるため、開発者にとっては非常に挑戦的な分野だ。しかし、それだけに、ここで得られる経験は他に代えがたいものとなるだろう。
彼がOpenMRSで直面すると予想される技術的な課題も少なくない。記事からは、OpenMRSのコードベースが非常に複雑であることが伺える。例えば、「レガシーなSpring MVC + JSPとモダンなアプローチが混在している」とある。Spring MVCやJSPは、JavaでWebアプリケーションを開発するためのフレームワークや技術であり、これらは比較的昔から使われている技術だ。一方で、「モダンなアプローチ」とは、より新しい設計思想や技術要素、例えばSpring Bootのようなものを指している可能性がある。多くの大規模なシステムでは、時間の経過とともに新しい技術が導入されつつも、過去に開発された部分がそのまま残されることが多く、異なる時代の技術が共存する「レガシーコード」が課題となる。このようなコードベースを理解し、新しい機能を追加したり、改善したりすることは、システム全体の構造や技術の変遷を深く学ぶ絶好の機会となる。彼の経験によれば、OpenMRSは巨大なコードベースを持っているようだ。
現在の彼の知識と、これから学ばなければならないことについても、正直な姿勢で語っている。彼はOpenMRSが医療システムであり、Spring Bootバックエンド(一部)を使用しており、実際の病院で使われていることは知っている。しかし、「Encounters」や「Observations」といった医療ドメイン固有の専門用語が何を意味するのか、コードベースの実際の規模はどのくらいなのか、そして国際的なコミュニティで英語を使って適切にコミュニケーションが取れるのかといった不安も抱えている。これらは、新しい分野に飛び込む際に誰もが感じる、ごく自然な感情だ。特にドメイン知識の習得は、コードを理解する上で不可欠な要素となる。
彼の今後の計画は非常に具体的だ。まず、最初の1週間で開発環境のセットアップを行う。これは、どんなプロジェクトに参加するにしても最初に行うべき重要なステップであり、環境構築の過程でプロジェクトの構造や依存関係について最初の洞察を得ることができる。そして、今後の進捗や、直面した困難について、週ごとにブログで発信していくという。このような情報発信は、自身の学習を記録するだけでなく、同じような挑戦をしている他の開発者との交流のきっかけにもなる。もしあなたがシステムエンジニアを目指しているのであれば、このような一人の開発者の挑戦から、実践的な学習の姿勢や、未知の領域に踏み出す勇気、そしてコミュニティとの関わり方など、多くのヒントを得られるだろう。彼のOpenMRSへの挑戦は始まったばかりだが、この経験が彼自身の開発スキルを大きく向上させることは間違いない。