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【ITニュース解説】Oracle vs Indian IT: The Story of Builders and Renters

2025年09月12日に「Medium」が公開したITニュース「Oracle vs Indian IT: The Story of Builders and Renters」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Oracleがわずか一週間で業界に大きな衝撃を与えた。インドIT企業との間で「構築者」と「借りる側」という役割の違いが浮き彫りになり、ビジネスモデルの変化が注目される。

ITニュース解説

近年のIT業界は、技術の進化とともに企業のビジネスモデルにも大きな変化が訪れている。その中でも特に注目されるのが、従来のシステム構築・運用方法から、インターネットを介してサービスを利用する「クラウドコンピューティング」への移行である。かつて企業のシステムは、自社内にサーバーやネットワーク機器を設置し、ソフトウェアを導入して運用する「オンプレミス」と呼ばれる形態が主流だった。しかし、クラウドコンピューティングの普及により、これらのハードウェアやソフトウェアの導入・管理を自社で行う必要がなくなり、必要な時に必要な分だけサービスとして利用できるようになった。この変化は、IT業界の巨人であるOracleと、世界のITサービスを支えるインドのIT企業との関係にも大きな影響を与えている。

Oracleは、長年にわたりデータベース管理システム(DBMS)の分野で世界をリードしてきた企業である。彼らは企業の基幹システムを支える高性能なデータベースソフトウェアを提供し、その導入、運用、保守には専門的な知識と技術が必要とされてきた。しかし、クラウド時代への対応として、Oracleは自社製品をインターネット経由でサービスとして提供する「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を強化している。特に注目すべきは「Autonomous Database」と呼ばれる技術である。これは、データベースの運用管理、例えばパッチ適用、バックアップ、チューニング、セキュリティ対策といった煩雑な作業を、人の手を介さずに自動で行うことができる画期的なサービスである。これにより、顧客はデータベースの管理に割くリソースを大幅に削減し、より本質的なビジネス課題に集中できるようになる。

一方、インドのITサービス企業は、世界の多くの企業に対し、システムの導入、カスタマイズ、運用、保守、コンサルティングといった幅広いサービスを提供することで成長してきた。これらの企業は、Oracleのようなソフトウェアベンダーが開発した製品を顧客の環境に導入し、その後の安定稼働を支援する役割を担ってきた。彼らのビジネスモデルは、専門的なIT人材を豊富に抱え、クライアント企業のシステムを円滑に運用することで価値を提供するものであった。彼らは、自らゼロから革新的なテクノロジーを開発するというよりも、既存の優れた技術を顧客のために最適化し、活用する「利用する側」としての立ち位置が強かったと言える。この観点から、彼らはIT業界の「賃借者(Renter)」と表現されることもある。

Oracleが自社の主要製品であるデータベースを、クラウドサービスとして直接提供し、さらにその運用管理をAutonomous Databaseによって自動化する戦略は、インドのITサービス企業の伝統的なビジネスモデルに直接的な影響を与える。これまでインドのITサービス企業が提供してきた、データベースの導入、設定、パッチ適用、バックアップ、トラブルシューティングといった多くの運用・保守サービスは、Oracleのクラウドサービス自身が自動で提供するようになるため、人間の手による介入の必要性が減少する。これは、顧客にとっては運用コストの削減や効率化につながるメリットがある一方で、インドのITサービス企業にとっては、これまで収益の柱としてきたサービスの一部が不要になることを意味する。

この状況は、IT業界における「構築者(Builder)」と「賃借者(Renter)」の関係性の変化として捉えることができる。「構築者(Builder)」とは、Oracleのように、自ら革新的なテクノロジーやプラットフォームを開発し、その基盤を築き上げる企業を指す。彼らはIT業界全体の方向性を決定づけるような、根本的なソリューションを提供する。対して「賃借者(Renter)」とは、インドのITサービス企業のように、既存のテクノロジー(「構築者」が生み出したもの)を借り受け、それを活用して顧客の具体的な課題解決やシステムの運用を支援する企業を指す。Oracleの戦略は、構築者が提供するサービスの範囲が広がり、賃借者の役割が縮小していくという変化を象徴している。

この大きな変化は、インドのITサービス企業に対して、単なるシステムの運用や保守といった従来のサービス提供から、より高付加価値なサービスへとビジネスモデルを転換することを強く促している。今後は、顧客企業のビジネスを深く理解し、クラウドサービスを最大限に活用して、新たなビジネス価値を創造するコンサルティング能力や、独自のアプリケーション開発、あるいは特定の業界に特化したソリューション提供といった、より戦略的な役割が求められるようになる。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、この動向は重要である。将来のITプロフェッショナルは、単に既存のシステムを運用するだけでなく、絶えず進化する技術を取り入れ、自動化された環境の中で、いかに新しい価値を生み出すかという視点を持つことが不可欠となるだろう。技術の変化に対応し、より創造的で戦略的な役割を担う能力が、これからのシステムエンジニアには強く求められる。

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