【ITニュース解説】The next Pokémon looks a bit like Minecraft
2025年09月12日に「The Verge」が公開したITニュース「The next Pokémon looks a bit like Minecraft」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
新しいポケモンのスピンオフゲーム「Pokémon Pokopia」が発表された。本作は、これまでのポケモンとは異なりMinecraftのようなブロック状のグラフィックが特徴だ。プレイヤーは人間の姿になったメタモンを操作する。
ITニュース解説
新たなポケモンのスピンオフゲーム「Pokémon Pokopia」が発表された。このゲームはこれまでのポケモンシリーズとは大きく異なるビジュアルスタイルを採用しており、特に人気ゲーム「Minecraft」に似たブロック状のグラフィックが特徴である。プレイヤーは人間の姿に変身したメタモンを操作し、ゲームの世界を探索したり、さまざまな活動を行ったりするとされている。
この「Minecraftのような見た目」という点が、システムエンジニアを目指す上で非常に興味深い技術的側面を含んでいる。従来のポケモンシリーズは、滑らかな曲線で構成されたキャラクターモデルや背景が特徴の、いわゆるポリゴンベースのグラフィックを用いてきた。しかし「Pokémon Pokopia」では、ゲーム全体が立方体のブロック(ボクセル)で構成される「ボクセルグラフィック」を採用していると考えられる。ボクセルとは、3次元空間における最小単位のブロックを指し、2次元画像の最小単位であるピクセル(画素)の3D版と考えると分かりやすいだろう。このボクセルが多数集まることで、ゲーム内の地形や建造物、キャラクターなどが形成される。
ボクセルグラフィックの採用にはいくつかの技術的な背景とメリットがある。一つは、開発の効率性である。ブロックを組み合わせるだけで地形やオブジェクトを生成できるため、ゼロから複雑な3Dモデルを作成するよりも、開発コストや時間を抑えられる場合がある。特に広大なオープンワールドのようなゲームを作成する際には、プロシージャル生成(アルゴリズムに基づいて自動的にコンテンツを生成する技術)との相性が良く、膨大な量のコンテンツを効率的に作り出すことが可能になる。二つ目は、ユーザーによる創造性や破壊の自由度を高めやすい点だ。Minecraftが良い例だが、ボクセルで構成された世界では、プレイヤーがブロックを積み重ねて建造物を作ったり、ブロックを破壊して地形を変化させたりといった自由度の高いインタラクションを実現しやすい。これは、ゲームシステムに直接的に影響を与える技術的選択と言える。三つ目は、独特のアートスタイルを確立できることだ。ボクセルアートは、他のゲームと差別化された視覚的な印象を与え、視覚的な一貫性を保ちやすいという特徴を持つ。
しかし、ボクセルグラフィックには技術的な課題も存在する。ボクセルは一つ一つが独立したデータであるため、広大な世界を表現しようとすると、そのデータ量が非常に膨大になる可能性がある。これを効率的に管理し、スムーズに描画(レンダリング)するためには、高度なデータ構造(例:オクツリーなど)や最適化技術が必要となる。例えば、プレイヤーの視点から遠いブロックは詳細度を下げて描画したり、見えないブロックは描画しないといった工夫が不可欠である。システムエンジニアは、このようなデータ管理と描画性能のバランスを取りながら、ゲームが快適に動作するための基盤を設計する役割を担う。
ゲームのもう一つの特徴である「ヒトに変身したメタモンを操作する」という点も、システム設計の観点から興味深い。メタモンというポケモンの特性である「変身」能力が、ゲームプレイのコアメカニクスにどう組み込まれるかという点だ。プレイヤーキャラクターが特定の姿に変身できるシステムは、キャラクターモデルの切り替え、それに伴うアニメーションの制御、変身前後の能力値やアクションの管理など、多岐にわたるゲームロジックの実装を伴う。例えば、ヒトの姿から他のポケモンやオブジェクトに変身することで、新たな探索ルートが開けたり、謎解きが可能になったりといったゲームプレイが想定される。これは、システムがプレイヤーの行動に応じて動的にゲーム世界の状態を変化させる能力を意味し、そのための複雑な状態管理やイベント処理の設計が必要となる。
「Pokémon Pokopia」はスピンオフ作品であり、本編シリーズとは異なるゲーム性やアプローチを試す場として位置づけられる。ゲーム業界では、既存の知的財産(IP)を活用しつつ、新しい技術やデザイン思想を取り入れたスピンオフ作品を開発することで、新たなユーザー層の開拓や技術的な挑戦が行われることが少なくない。システムエンジニアの視点からは、既存のブランドイメージを保ちつつ、異なるゲームエンジンや開発手法を適用する際の課題や解決策を探る機会となる。例えば、ボクセルベースのゲームエンジンを新たに採用するのか、あるいは既存のゲームエンジンにボクセル表現を取り入れるためのカスタマイズを行うのか、といった技術的判断が開発プロジェクトの成功に大きく影響する。
このように、ゲームの見た目やキャラクター設定一つをとっても、その背後にはシステムエンジニアが解決すべき多岐にわたる技術的な課題や設計の選択肢が存在する。ボクセルグラフィックの採用は、単なるアートスタイルの変更ではなく、データ管理、レンダリング効率、ゲームプレイの自由度、そして開発プロセス全体にわたるシステム的な影響を伴う重大な決定である。システムエンジニアを目指す者にとって、このようなニュースは、エンターテインメントの裏側にある技術と、それがユーザー体験にどう結びつくかを学ぶ良い機会となるだろう。