【ITニュース解説】Practical Approach to Network Security Group Setup

2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Practical Approach to Network Security Group Setup」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

クラウドのセキュリティ機能NSGは、仮想マシンへの通信を制御するファイアウォールだ。ASGで仮想マシンをグループ化し、グループ単位で通信ルールを設定することで、IPアドレスに縛られない柔軟な管理が可能になる。(112文字)

ITニュース解説

クラウドコンピューティング環境でシステムを構築する際、セキュリティの確保は最も重要な課題の一つである。外部からの不正なアクセスを防ぎ、内部のシステムを保護するために、様々なセキュリティ機能が提供されている。その中核となるのが、ネットワークセキュリティグループ、通称NSGである。NSGは、クラウド上に構築された仮想的なネットワークにおけるファイアウォールとして機能する。具体的には、仮想マシンやデータベースといったクラウドリソースへのネットワーク通信を制御する役割を担う。この制御は、インバウンドトラフィック(リソースへの着信通信)とアウトバウンドトラフィック(リソースからの発信通信)の両方に対して行われる。NSGの動作原理は、あらかじめ定義された「ルール」に基づいている。それぞれのルールは、特定の通信を許可するか、拒否するかを定めたもので、送信元のIPアドレス、宛先のIPアドレス、通信に使われるポート番号、そしてTCPやUDPといったプロトコルの種類といった条件を組み合わせて設定される。これにより、例えば「特定のIPアドレスからのみ、Webサーバーのポート80番へのアクセスを許可する」といった、きめ細やかなアクセスコントロールを実現できる。

実際にNSGを用いてセキュリティを設定する際には、まず対象となる仮想環境を準備する必要がある。典型的な例として、Webアプリケーションを運用する構成が挙げられる。この場合、ユーザーが直接アクセスするWebサーバーなどが配置される「フロントエンド」区画と、データベースサーバーなど内部処理を担うサーバーが配置される「バックエンド」区画にネットワークを分割することが一般的である。それぞれの区画はサブネットと呼ばれ、クラウド上に構築した仮想ネットワーク内に作成される。そして、各サブネットに仮想マシンを配置する。この構成において、セキュリティルールをより効率的に管理するために役立つのが、アプリケーションセキュリティグループ、通称ASGという機能である。ASGは、複数の仮想マシンに共通の役割を示す「タグ」を付けるようなものと理解できる。例えば、フロントエンドに配置された複数のWebサーバーを「Webサーバーグループ」として一つのASGにまとめることができる。このようにグループ化しておくことで、セキュリティルールを設定する際に、個々の仮想マシンのIPアドレスを一つ一つ指定する必要がなくなる。代わりに、「Webサーバーグループからの通信」といった形で、グループ名を指定してルールを定義できるため、管理が大幅に簡素化される。システムの規模が拡大し、仮想マシンの数が増減した場合でも、ASGに所属させるだけでルールが自動的に適用されるため、柔軟性と保守性が向上する。

ASGによって仮想マシンのグループ化が完了したら、次はいよいよNSGを作成し、具体的な通信ルールを設定していく。NSGは、個別の仮想マシンのネットワークインターフェース、あるいはサブネット全体に対して関連付けることができる。特定の仮想マシンだけにルールを適用したい場合は前者、サブネット内のすべてのリソースに共通のルールを適用したい場合は後者を選択する。一般的には、サブネットに関連付けることで、その区画全体のセキュリティポリシーを一元的に管理できるため、よりシンプルで間違いの少ない運用が可能となる。例えば、バックエンドサブネット全体にNSGを関連付ければ、そのNSGで定義されたルールが、バックエンドに配置されているすべての仮想マシンやデータベースに適用されることになる。ルールの作成は、NSGの最も重要な設定項目である。ここで、どのような通信を許可し、何を拒否するのかを具体的に定義する。ルールには、送信元、宛先、サービス(ポート)、プロトコル、アクション(許可/拒否)、そして優先度といった要素が含まれる。例えば、「フロントエンドのWebサーバー群から、バックエンドのデータベースサーバーへのアクセスのみを許可する」というルールを作成する場合を考える。このとき、送信元には先ほど作成したフロントエンド用のASGを指定する。宛先は、NSGがバックエンドサブネットに関連付けられているため、そのサブネット内のリソースとなる。サービスとしてデータベースが使用するポート番号を指定し、アクションを「許可」に設定する。

さらに具体的な例として、「フロントエンドグループに属する仮想マシンから、バックエンドの仮想マシンへSSHで接続して管理作業を行う」というシナリオを考える。この場合、バックエンドサブネットに関連付けられたNSGに、新しいインバウンドルールを追加する。送信元には、個別のIPアドレスではなく、フロントエンド仮想マシンが所属するASGを指定する。これにより、将来的にフロントエンドの仮想マシンが増えたり入れ替わったりしても、ルールを変更する必要がなくなる。宛先は、このNSGが適用されているバックエンドサブネット内のリソースである。サービスには、リモート管理で標準的に使用される「SSH」を指定する。これは、通常TCPプロトコルのポート番号22番に対応している。アクションは「許可」を選択する。最後に、優先度を決定する。NSGには複数のルールを設定でき、それぞれに数値で優先度が割り振られる。数値が小さいほど優先度が高く、通信が発生した際には、まず優先度の高いルールから順に評価される。そして、最初に合致したルールの内容が適用される。この仕組みにより、特定の通信だけを許可し、それ以外はすべて拒否するといった設定が可能になる。このSSH接続を許可するルールを設定することで、定められた管理者のみが安全にバックエンドのサーバーをメンテナンスできるようになる。一方で、インターネット上の不特定多数のコンピューターからのSSH接続試行は、このルールに合致しないため、デフォルトで存在する拒否ルールによってブロックされる。このようにNSGとASGを適切に組み合わせることで、クラウド環境において、役割に基づいた動的で管理しやすい、強固なネットワークセキュリティを構築することが可能となる。これは、安全なクラウドインフラを設計・運用する上で不可欠な知識である。