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【ITニュース解説】Show HN: C++ Compiler Support Page

2025年09月08日に「Hacker News」が公開したITニュース「Show HN: C++ Compiler Support Page」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

C++の主要コンパイラ(GCC、Clang、MSVCなど)が、最新のC++標準規格や新機能をどの程度サポートしているか、その対応状況を一覧で確認できるウェブサイトが開設された。C++での開発時に役立つ情報源だ。

出典: Show HN: C++ Compiler Support Page | Hacker News公開日:

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、プログラミング言語は開発の基礎となる重要なツールだ。その中でもC++は、OSや組み込みシステム、ゲーム開発、高性能なアプリケーションなど、幅広い分野で使われている強力な言語である。C++は、処理速度の速さやメモリを直接操作できる柔軟性が特徴で、システムの中核を担う部分の開発によく利用される。

しかし、C++を使ってプログラムを作る際には、「コンパイラ」という特別なソフトウェアが不可欠になる。我々が書くプログラムのコードは、人間が理解しやすいように英語のような単語や文法で記述された「ソースコード」と呼ばれるものだ。しかし、コンピュータは0と1で構成される「機械語」しか直接理解できない。そこでコンパイラが登場する。コンパイラは、このソースコードを機械語に翻訳し、コンピュータが実行できる「実行可能ファイル」に変換する役割を担っている。もしコンパイラがなければ、私たちが書いたプログラムはただのテキストファイルであり、コンピュータを動かすことはできない。

C++には様々なコンパイラが存在する。代表的なものとしては、GNU Compiler Collection(GCC)、Clang、そしてMicrosoft Visual C++(MSVC)などがある。これらはそれぞれ異なる開発元によって提供されており、対応するOSや開発環境も異なる場合がある。たとえば、GCCやClangは主にLinuxやmacOSといったUNIX系のOSで使われることが多く、MSVCはWindows環境での開発に特化していることが多い。

C++は非常に歴史の長い言語だが、現在でも活発に進化を続けている。C++の進化は「ISO標準」と呼ばれる国際的な規格によって定められている。数年ごとに新しい標準規格が発表されており、C++11、C++14、C++17、C++20、そして最新のC++23といったバージョンが存在する。これらの新しい標準規格では、プログラムをより効率的に、より安全に、そしてより簡潔に書くための新しい機能や文法が追加されていく。例えば、C++11で導入されたラムダ式やスマートポインタは、それまでのC++プログラミングを大きく変え、よりモダンな書き方を可能にした。C++20では、コルーチンやモジュールといった大規模な新機能が追加され、開発効率の向上やビルド時間の短縮に貢献している。

しかし、新しいC++標準で導入された機能が、すぐにすべてのコンパイラで利用できるようになるわけではない。各コンパイラの開発チームは、新しい標準規格が発表されると、その新しい機能を自分たちのコンパイラに実装する作業を進める。この実装作業には時間がかかるため、標準規格がリリースされても、実際にその機能が使えるようになるまでにはタイムラグが生じるのが一般的だ。また、コンパイラのバージョンによってもサポート状況は異なる。古いバージョンのコンパイラでは、当然新しい標準規格の機能は利用できない。

ここで、今回紹介する「C++ Compiler Support Page」(cppstat.dev)が非常に役立つツールとなる。このウェブサイトは、主要なC++コンパイラ(GCC、Clang、MSVC)が、C++の各標準規格(C++11、14、17、20、23など)のどの機能をどの程度サポートしているかを一覧で確認できるページだ。具体的には、C++の各標準規格で追加された個々の機能ごとに、どのコンパイラのどのバージョンがその機能を「完全にサポートしているか(緑色)」、「部分的にサポートしているか(黄色)」、あるいは「全くサポートしていないか(赤色)」が視覚的にわかりやすく表示されている。

たとえば、あなたがC++20で導入されたある新機能を使ってプログラムを書きたいと思ったとき、このサイトを見れば、GCCの特定のバージョンでは完全にサポートされているが、MSVCではまだ部分的なサポートにとどまっている、といった具体的な状況を把握できる。これにより、自分の開発環境で使っているコンパイラのバージョンで、目的の機能が利用できるかどうかを事前に確認することが可能になる。これは、特に複数のOSや開発環境で動作するプログラムを作成する「クロスプラットフォーム開発」を行う際には非常に重要な情報となる。なぜなら、あるOSでは問題なくコンパイルできるコードが、別のOSではコンパイルエラーになる、といった事態を避けることができるからだ。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この種の情報を理解し、活用できる能力は非常に重要だ。プログラミングの学習段階では、特定のコンパイラや開発環境に依存してコードを書くことが多いかもしれない。しかし、実際のシステム開発では、既存のプロジェクトの制約上、古いコンパイラのバージョンを使わざるを得ない場合や、特定のOS向けに開発を行う際に利用できるコンパイラが限られている場合がある。そのような状況下で、最新のC++標準の知識があるだけでなく、それが「実際に使えるか」という現実的な視点を持つことが求められる。

もしプログラムがコンパイルエラーになった場合、単なる文法ミスやロジックの間違いだけでなく、利用しているコンパイラがその構文や機能をサポートしていない可能性も視野に入れる必要がある。特に、オンラインのサンプルコードや教材で最新のC++機能が使われている場合、自分の開発環境がそれをサポートしているかどうかを確認する習慣を身につけることは、問題解決能力の向上に直結する。

C++ Compiler Support Pageのようなツールは、C++の進化とコンパイラの実装状況のギャップを埋め、開発者がよりスムーズに、かつ正確にプログラミングを進めるための貴重な情報源となる。最新の技術動向を追いかけることはもちろん大切だが、それが実際の開発現場でどのように使え、どのような制約があるのかを理解することも、優秀なシステムエンジニアになるための重要な一歩と言えるだろう。

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