GNU(グニュー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

GNU(グニュー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

グヌー (グヌー)

英語表記

GNU (グニュー)

用語解説

GNU(グニュー)とは、UNIX互換のオペレーティングシステムをフリーソフトウェアとして開発・配布するプロジェクト、およびそのプロジェクトによって開発されたソフトウェア群の総称である。

概要として、GNUプロジェクトは1983年にリチャード・ストールマンによって開始された。当時、UNIXは広く利用されていたが、そのほとんどがプロプライエタリ(私有)なソフトウェアであり、ソースコードが公開されていなかった。ストールマンは、ユーザーが自由に利用、変更、再配布できるオペレーティングシステムを開発することで、ソフトウェアの自由を推進することを目的とした。GNUは「GNU's Not UNIX」の再帰的頭字語であり、UNIXではないことを意味しているが、UNIXの設計思想や機能を模倣している。

GNUプロジェクトは、オペレーティングシステムの主要なコンポーネント、例えばコンパイラ(GCC)、テキストエディタ(Emacs)、ライブラリ(glibc)、シェル(Bash)などを開発した。これらのソフトウェアは、GNU General Public License(GPL)などのフリーソフトウェアライセンスに基づいて配布され、ユーザーは自由に利用、変更、再配布することができる。GNUプロジェクトのソフトウェアは、多くのオペレーティングシステムで利用されており、特にLinuxカーネルと組み合わせて使用されることが多い。

詳細について説明する。GNUプロジェクトの最も重要な成果の一つは、GNUコンパイラコレクション(GCC)である。GCCは、C、C++、Fortran、Javaなど、複数のプログラミング言語をサポートするコンパイラであり、多くのプラットフォームで利用可能である。GCCは、フリーソフトウェア開発の基盤となるツールであり、他のフリーソフトウェアプロジェクトの開発にも貢献している。

GNU Emacsは、拡張性とカスタマイズ性に優れたテキストエディタである。Emacsは、プログラミング、文書作成、メールの送受信など、さまざまな用途に利用できる。Emacsは、Lispプログラミング言語による拡張が可能であり、ユーザーは自分のニーズに合わせて機能を拡張することができる。

GNU Cライブラリ(glibc)は、Cプログラミング言語で使用される標準的なライブラリである。glibcは、入出力、文字列操作、メモリ管理など、さまざまなシステムコールをサポートする。glibcは、多くのオペレーティングシステムで利用されており、Cプログラムの移植性を高める役割を果たしている。

GNU Bashは、UNIXシェルであり、コマンドラインインターフェースを提供する。Bashは、コマンドの実行、スクリプトの記述、環境変数の設定など、さまざまな操作を行うことができる。Bashは、多くのLinuxディストリビューションでデフォルトのシェルとして採用されている。

GNUプロジェクトは、オペレーティングシステムの開発だけでなく、さまざまなアプリケーションソフトウェアの開発も行っている。例えば、GNU Image Manipulation Program(GIMP)は、画像編集ソフトウェアであり、Adobe Photoshopなどのプロプライエタリなソフトウェアの代替として利用できる。GNU Octaveは、数値計算ソフトウェアであり、MATLABなどのプロプライエタリなソフトウェアの代替として利用できる。

GNUプロジェクトのソフトウェアは、Linuxカーネルと組み合わせて使用されることが多い。Linuxカーネルは、オペレーティングシステムの中心的な部分であり、ハードウェアとのインターフェースを提供する。GNUプロジェクトのソフトウェアとLinuxカーネルを組み合わせることで、完全なオペレーティングシステムを構築することができる。このようなオペレーティングシステムは、一般的にGNU/Linuxと呼ばれる。

GNUプロジェクトは、ソフトウェアの自由を推進するために、さまざまな活動を行っている。例えば、フリーソフトウェアの定義を明確化したり、フリーソフトウェアライセンスの作成や普及を行ったりしている。GNUプロジェクトは、ソフトウェアの自由を重要な価値としており、ユーザーがソフトウェアを自由に利用、変更、再配布できる権利を擁護している。

GNUプロジェクトは、フリーソフトウェアコミュニティの重要な一部であり、ソフトウェア開発に大きな影響を与えている。GNUプロジェクトのソフトウェアは、多くのオペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアで利用されており、ソフトウェアの自由を推進する上で重要な役割を果たしている。システムエンジニアを目指す上で、GNUの理念と技術を理解することは、ソフトウェア開発の基盤を理解する上で不可欠である。

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