【ITニュース解説】おっしゃれなチャットアプリを作る(AI SDK + AI Elements + Next.js + Bedrock)

2025年09月08日に「Qiita」が公開したITニュース「おっしゃれなチャットアプリを作る(AI SDK + AI Elements + Next.js + Bedrock)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Vercel製のUIライブラリ「AI Elements」を使い、モダンなAIチャットアプリを開発する手法を解説。Next.js、Amazon Bedrock、Vercel AI SDKを組み合わせ、ストリーミング表示を実現する実装が学べる。

ITニュース解説

近年、ChatGPTに代表される対話型の生成AIアプリケーションが急速に普及し、多くの人々がその可能性に注目している。このような高度なAIチャットアプリケーションを自ら開発してみたいと考えるシステムエンジニア志望者にとって、どこから手をつければ良いのかは大きな課題となる。ここで紹介する技術的なアプローチは、最新のツールを組み合わせることで、初心者でも洗練されたデザインと高度な機能を持つAIチャットアプリケーションを効率的に構築する方法を示すものである。具体的には、Webアプリケーションフレームワークの「Next.js」、Vercel社が提供する「AI SDK」と「AI Elements」、そしてAmazon Web Servicesの「Amazon Bedrock」を連携させて開発を進める手法だ。

この開発手法で中核となる技術要素を一つずつ見ていく。まず基盤となるのが「Next.js」である。これは、WebアプリケーションのUI、つまりユーザーが直接見て操作する画面部分を構築するための人気ライブラリであるReactをベースにしたフレームワークだ。Webサイトやアプリケーションを構築するための骨格や便利な機能を提供し、開発者はこれに従うことで、効率的かつ高品質な開発が可能になる。次に重要なのが「Vercel AI SDK」だ。SDKとはソフトウェア開発キットの略で、特定の機能を実現するためのツールセットを指す。このAI SDKは、AIモデルとの通信を簡単にするためのもので、特にAIが生成した文章を少しずつリアルタイムで表示する「ストリーミング」機能を容易に実装できる点が最大の特徴だ。ユーザーは応答が完了するのを待つ必要がなく、AIが思考しながらテキストを生成しているかのような体験を得ることができる。

そして、このアプローチで特に注目されているのが「AI Elements」である。これはVercel社が提供するUIコンポーネントライブラリで、AIチャットアプリケーションに必要な画面部品が予め用意されている。例えば、会話の履歴を表示するタイムライン、ユーザーが質問を入力するためのテキストボックス、AIの応答が表示されるメッセージバブルなど、デザイン性の高い部品が揃っている。開発者はこれらの部品を組み合わせるだけで、まるでChatGPTやClaudeのようなプロフェッショナルな見た目のチャット画面を迅速に構築できる。これにより、デザインに関する専門知識がなくても、直感的で使いやすいアプリケーションを作成することに集中できるのだ。最後に、AIの頭脳部分を担うのが「Amazon Bedrock」である。これはAmazon Web Servicesが提供するサービスで、Anthropic社のClaudeやAmazon独自のTitanなど、世界中の高性能な生成AIモデルをAPI、つまりサービス間の接続口を通じて簡単に利用できるようにしたものだ。自前でAIモデルを運用・管理する複雑さから解放され、必要な時に必要なだけ高度なAI機能を手軽にアプリケーションに組み込むことが可能になる。

これらの技術を組み合わせることには、いくつかの大きな利点がある。第一に、開発効率が劇的に向上する点だ。Next.jsでアプリケーションの土台を作り、AI SDKでAIとのデータ送受信を実装し、AI Elementsで見た目を整えるという役割分担が明確であり、特にUI開発にかかる時間を大幅に短縮できる。従来であればデザイナーやフロントエンドエンジニアが多くの時間を費やしていた画面設計と実装を、AI Elementsが肩代わりしてくれるからだ。第二に、優れたユーザー体験を提供できる点である。AI SDKによるストリーミング表示は、ユーザーの体感的な待ち時間を減らし、対話のスムーズさを向上させる。また、AI Elementsによって作られる洗練されたインターフェースは、アプリケーション全体の品質と信頼性を高める効果がある。第三に、高い柔軟性と拡張性を確保できる点も挙げられる。バックエンドで利用するAIモデルはAmazon Bedrock上で自由に選択・変更できるため、アプリケーションの目的に最適なモデルを常に利用できる。

実際の開発プロセスは次のような流れになる。まず、Next.jsを使って新しいプロジェクトを開始し、基本的なアプリケーションの骨格を準備する。次に、Vercel AI SDKをプロジェクトに導入し、サーバー側で動作するAPI処理を記述する。このAPIは、ユーザーから送られてきたメッセージを受け取り、それをAmazon Bedrockへ送信し、Bedrock上のAIモデルから返ってくる応答をストリーミング形式でフロントエンドに送り返す役割を担う。画面側、つまりフロントエンドでは、AI Elementsライブラリから必要なUIコンポーネントを呼び出して配置する。例えば、Chatコンポーネントを画面全体に配置し、その中でユーザーとAIの発言をMessageコンポーネントで表示していく。そして、ユーザーが入力ボックスにテキストを打ち込み送信ボタンを押した際に、先ほど作成したAPIが呼び出されるように処理を接続する。これにより、一連の対話の流れが完成する。

総じて、この開発手法は、モダンなWeb技術とクラウドサービスを巧みに組み合わせることで、AIチャットアプリケーション開発のハードルを大きく下げるものだ。特に、UIコンポーネントライブラリであるAI Elementsの活用は、機能だけでなく見た目の品質も重視される現代のアプリケーション開発において非常に強力な武器となる。複雑なAIとの通信処理はAI SDKが、高性能なAIモデルの提供はAmazon Bedrockが、そして洗練されたUIの構築はAI Elementsがそれぞれ担当することで、開発者は全体のロジック構築に集中できる。これからAIを活用したアプリケーション開発に挑戦しようとする初心者にとって、この一連の技術スタックは、学びやすく、かつ実践的な成果を得やすい、優れた出発点となるだろう。