【ITニュース解説】「VS Code」と「Copilot」でローカルAIモデルを活用 Microsoftがガイドを解説
2025年09月25日に「@IT」が公開したITニュース「「VS Code」と「Copilot」でローカルAIモデルを活用 Microsoftがガイドを解説」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
MicrosoftはVS Code向けに、GitHub CopilotをローカルAIモデルで動かす「Foundry Local」の利用ガイドを公開した。データプライバシーを保ちつつ、料金を抑えAIアシスタントを利用できる。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上で、開発環境の理解は不可欠だ。現代の開発現場では、コードを書く「エディタ」と呼ばれるツールが中心的な役割を果たす。その中でも特に多くの開発者に愛用されているのが「Visual Studio Code」、通称「VS Code」だ。これは、単にコードを書くだけでなく、プログラムの実行やデバッグ、バージョン管理など、開発に必要なあらゆる機能を網羅した統合開発環境(IDE)に近い高性能なツールで、多種多様なプログラミング言語に対応している。
近年、開発効率を飛躍的に向上させる新たな技術として、人工知能(AI)を活用した「AIアシスタント」が登場している。その代表格の一つが「GitHub Copilot」だ。Copilotは、開発者がコードを書いている最中に、AIが文脈を理解し、次に書くべきコードの候補を自動的に提案したり、既存のコードから関数やクラスの骨格を生成したりする。まるで隣に熟練のプログラマーが座っていて、常にアドバイスをくれるような感覚で開発を進められるため、コーディング時間の短縮やバグの削減、そして新しい技術や言語の学習支援にも役立つ画期的なツールだと言える。
しかし、従来のGitHub Copilotを含む多くのAIサービスは、その処理の大部分をインターネット経由で接続されたクラウド上のサーバーで行っていた。これは、高性能なAIモデルを動かすために必要な膨大な計算リソースを、個人のPCで賄うのが難しいという技術的な背景があるからだ。クラウドを利用するメリットは、常に最新のAIモデルを利用でき、自分のPCの性能を気にせず手軽に高度なAI機能を利用できる点にある。一方で、デメリットも存在する。最も懸念されるのが「データプライバシー」の問題だ。開発中のコードや入力したデータがクラウド上のサーバーに送信されるため、機密情報や企業秘密を含むコードを扱うプロジェクトでは、情報漏洩のリスクが常に付きまとう。また、クラウドサービスの利用には料金が発生するため、利用頻度によってはコストが膨らむ可能性もある。
このような課題に対し、Microsoftは「VS Code」向けに「GitHub Copilot」を「ローカルAIモデル」で稼働させる新たな仕組みを導入するガイドを公開した。それが「Foundry Local」と呼ばれる拡張機能の活用だ。
Foundry Localとは、VS Codeにインストールして使う「拡張機能」の一つだ。この拡張機能は、通常クラウドで動作するGitHub Copilotの機能を、ユーザー自身のPC上で動作するAIモデル(ローカルAIモデル)を使って実現するための橋渡し役を担う。つまり、Foundry Localを導入することで、インターネットを介して外部のサーバーと通信することなく、自分のPCの計算リソースを使ってAIアシスタントの機能を利用できるようになるのだ。
この「ローカルAIモデル」を活用する最大のメリットは、何と言っても「データプライバシーの確保」にある。開発中のコードや入力されたデータが一切外部に送信されないため、企業秘密や個人情報、あるいはプロジェクトの機密性が非常に高い情報を含むコードであっても、安心してAIアシスタントの恩恵を受けられるようになる。これは、特に金融機関や医療機関、国防関連など、セキュリティが厳しく求められる分野でのAIアシスタント導入のハードルを大きく下げることにつながるだろう。自分のPC内で全ての処理が完結するため、情報漏洩のリリスクを極限まで抑えることができる。
次に、もう一つの大きなメリットが「料金の抑制」だ。クラウドベースのAIサービスは、利用時間や処理量に応じて料金が発生することが多い。Foundry LocalでローカルAIモデルを利用する場合、クラウド利用料やAPI利用料といった費用は発生しない。もちろん、ローカルでAIモデルを動かすためには、それなりの高性能なPC(特にグラフィック処理を担うGPU)が必要となる場合があり、そのための初期投資は発生する。しかし、長期的に見れば、継続的なクラウド利用料を支払うよりも、トータルコストを抑えられる可能性がある。これは、個人開発者やスタートアップ企業など、予算に限りがあるプロジェクトにとって非常に魅力的だ。
さらに、ローカルAIモデルの活用は「オフラインでの利用可能性」も広げる。インターネット接続がない環境や不安定な場所でも、PC内でAIモデルが動作するため、AIアシスタントの機能を利用できる可能性がある。これにより、場所を選ばずに開発を進められる柔軟性が高まることも期待できる。
しかし、 Foundy LocalによるローカルAIモデルの活用には、いくつかの考慮すべき点も存在する。先述したように、高性能なAIモデルをローカルで動かすには、それに見合ったPCのスペックが求められる。特に、AIの計算を高速化するGPUの性能が重要となるため、一般的なビジネスPCでは十分な性能が得られない場合がある。初心者がいきなり高性能なPCを準備するのはハードルが高いかもしれない。また、クラウドベースの最新AIモデルと比較すると、ローカルAIモデルは性能や機能面でわずかに劣る可能性や、モデルの更新頻度がクラウドほど頻繁ではない可能性も考慮する必要がある。さらに、Foundry Localの設定やローカルAIモデルの導入自体に、ある程度の技術的な知識が求められる場合があり、初心者にとっては導入障壁となる可能性もゼロではない。
今回のMicrosoftが公開したガイドは、AIアシスタントの活用において、開発者がデータプライバシーとコストの両面でより多くの選択肢を持てるようにする、重要な一歩だと言える。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような新しい技術動向を理解し、そのメリットとデメリットを把握することは、将来の開発現場で活躍するために非常に重要だ。AIが開発プロセスに深く関わる時代において、Foundry Localのような技術は、AIをより安全に、そして柔軟に利用するための道を開き、開発の可能性を大きく広げていくだろう。