【ITニュース解説】wazuh / wazuh

2025年09月06日に「GitHub Trending」が公開したITニュース「wazuh / wazuh」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Wazuhは、パソコンやサーバー、クラウド上のシステムを守るオープンソースのセキュリティ基盤。XDRやSIEM技術で脅威を統合的に監視・検知し、不正アクセスやサイバー攻撃からシステムを安全に保護する。

出典: wazuh / wazuh | GitHub Trending公開日:

ITニュース解説

Wazuhは、現代のIT環境におけるセキュリティの課題に対応するために開発された、非常に強力なオープンソースのセキュリティプラットフォームである。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このWazuhが何を提供し、なぜ重要なのかを理解することは、将来のキャリアにおいて不可欠な知識となるだろう。

まず、「Wazuh」という名前自体が、このセキュリティソリューションの名称だ。それは、PCやサーバー、クラウド上のシステムなど、様々なIT資産を不正アクセスやサイバー攻撃から守るための総合的な仕組みを提供する。ここでいう「プラットフォーム」とは、セキュリティ対策に必要な様々な機能が一箇所にまとめられ、相互に連携して動作する土台を意味する。個別のツールをバラバラに導入するのではなく、一つのシステムで全体を監視・管理できるため、効率的で抜け目のないセキュリティ体制を構築できる点が大きな特徴だ。

次に、「オープンソース」という点が重要だ。オープンソースとは、そのソフトウェアの設計図となるプログラムコードが一般に公開されており、誰でも自由に利用、改良、再配布できることを指す。Wazuhも例外ではなく、その透明性の高さから、世界中の開発者やセキュリティ専門家によって常に検証され、改善されている。これにより、特定の企業に依存せず、常に最新の脅威に対応できる柔軟性と信頼性を持ち合わせている。また、利用コストを抑えられることも、多くの組織にとって大きなメリットとなる。

Wazuhの提供する主要な機能として、「Unified XDR and SIEM protection」と説明されている。ここに二つの重要なキーワード、「XDR」と「SIEM」が登場する。これらは現代のサイバーセキュリティにおいて中心的な役割を果たす概念であり、Wazuhがこれらを「統合(Unified)」して提供することで、より包括的な保護を実現しているのだ。

まず「XDR」について解説しよう。XDRは「Extended Detection and Response」の略で、「拡張された検知と対応」と訳される。従来のセキュリティ対策では、パソコンやサーバーといった個々の「エンドポイント」に焦点を当てたEDR(Endpoint Detection and Response)が主流だった。しかし、現代のサイバー攻撃は非常に巧妙化しており、エンドポイントだけでなく、ネットワーク、メール、クラウド環境、ID管理システムなど、様々な場所から侵入しようとする。XDRは、これらの複数のセキュリティレイヤーから情報を収集し、それらを横断的に分析することで、攻撃の全体像を把握し、より迅速かつ効果的に脅威を検知し、自動的に対応する仕組みだ。例えば、あるパソコンから不審な動きが検出された場合、同時にネットワーク上の通信やクラウド上のログも確認し、攻撃がどこまで広がっているのか、どのような手口なのかを統合的に判断し、適切な防御策を講じることができる。これにより、単一のシステムでは見逃されがちな、複雑な攻撃パターンも早期に発見し、被害の拡大を防ぐことが可能になる。

次に「SIEM」についてだ。SIEMは「Security Information and Event Management」の略で、「セキュリティ情報とイベント管理」と訳される。これは、企業内のあらゆるITシステム、例えばサーバー、ネットワーク機器、アプリケーション、データベースなどから日々生成される膨大な量のログデータやイベント情報を一箇所に集約し、リアルタイムで監視、分析するシステムだ。SIEMの主な目的は、集約された情報の中からセキュリティ上の脅威や異常なパターンを検知し、セキュリティ担当者に警告することである。例えば、ログイン失敗の連続や、普段アクセスしない時間帯からのアクセス、大量のデータ転送など、不審な挙動があった場合に、SIEMはそれらを自動的に検知してアラートを発する。これにより、セキュリティインシデントが発生した際に、迅速に状況を把握し、原因を特定するための調査を効率的に行うことができる。また、セキュリティコンプライアンス(法規制や業界基準の遵守)の監査証跡としても重要な役割を果たす。

WazuhがこれらXDRとSIEMの機能を「統合(Unified)」して提供している点は非常に重要だ。本来、XDRとSIEMはそれぞれ異なる強みを持つシステムだが、別々に導入すると、データの収集や管理が重複したり、システム間の連携が複雑になったりする課題がある。Wazuhはこれらを一つのプラットフォームとして提供することで、セキュリティ情報の収集から分析、脅威の検知、対応までの一連のプロセスをシームレスに行うことを可能にする。これにより、セキュリティ運用の効率が向上し、より深い洞察に基づいて迅速な意思決定ができるようになる。つまり、XDRが様々な場所から集めた詳細な情報をSIEMの仕組みで長期的に蓄積し、より高度な分析や相関関係の特定に活用できるということだ。

この統合された保護が対象とするのが、「endpoints(エンドポイント)」と「cloud workloads(クラウドワークロード)」である。 「エンドポイント」とは、ネットワークの末端に接続されるデバイスのことで、具体的には従業員が使うパソコン、会社内のサーバー、スマートフォン、タブレットなどがこれに該当する。これらのデバイスは、マルウェア感染や不正アクセスなどのサイバー攻撃の主要な標的となりやすい。Wazuhは、これらのエンドポイントにエージェントと呼ばれる小さなプログラムを導入することで、デバイスの活動状況、ファイルの変更、システムの脆弱性などをリアルタイムで監視し、異常を検知・防御する。

一方、「クラウドワークロード」とは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などのクラウドサービス上で稼働しているシステムやアプリケーション、データ、データベースなどを指す。企業がクラウドの利用を進める中で、クラウド環境特有のセキュリティ課題も増えている。例えば、クラウドの設定ミス、不正なAPIアクセス、仮想サーバーの脆弱性などが攻撃の足がかりとなることがある。Wazuhは、これらのクラウド環境からのログや設定情報を収集し、潜在的な脅威や設定の不備を検知することで、クラウドワークロードのセキュリティを確保する。クラウド環境でもオンプレミス環境と同様に、包括的な監視と保護を提供できる点が強みだ。

このように、Wazuhは「オープンソース」という透明性と柔軟性を持ちながら、XDRとSIEMという二大セキュリティ概念を「統合」し、パソコンやサーバーといった「エンドポイント」から、クラウド上のシステムである「クラウドワークロード」まで、企業のIT環境全体を多角的に保護する包括的なセキュリティプラットフォームである。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような総合的なセキュリティソリューションの仕組みを理解し、実際に触れてみることは、今後のIT業界で活躍するための貴重な経験となるだろう。サイバーセキュリティの重要性が高まる現代において、Wazuhのようなツールを使いこなす能力は、将来のシステムを安全に構築・運用する上で不可欠なスキルとなるに違いない。

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